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豊富で豪華な写真資料、充実した解説、この内容で定価2500円は安い。素晴らしい仕事。
amazonのなか見検索で、内容をぱらっと見ることができるので是非にお薦め。
江戸から明治にかけての女性の髪型が再現して結い上げられ、詳細に紹介されています。
この再現がすごい。イラスト説明とかとは迫力が違っていて、百聞は一見にしかず的な明晰さ。
身分や年齢、時代によって違う結い方や飾りの施し方が豊富に掲載されていて、その流行とか変遷についても解説される。
ぱっと見た感じ、「髪、黒っ!」っていうのが最初の印象。
からすの濡れ羽色という言い回しがぴったりの、黒ぐろ艶つや。
かつらをつかって再現されてるんだから髪質をどうこういうのもおかしな話なんだけど、直毛黒髪っていう髪質が美しく映えるように考えられた髪型なんだと思う。だから、黒髪の黒さ、つややかさがぱっと見の印象としてクる。迫力。
そういや、韓国の髪型も黒髪を活かした造形なのかも。「チャングム」とか「ファン・ジニ」の、身分の高い女性や芸妓の髪型とか見ると思い当たる。
巻き毛やカール、逆毛をつくったり粉をうってふわふわさせるスタイルとは違い、まとめ髪の面を平滑に調えたり、あるいはさらさら流したり、つやと毛流れを強調するのが黒髪直毛を活かす特徴なんだろうなー。
簪(かんざし)や笄(こうがい)、手絡(てがら。髪にかける布)、丈長(たけなが。結んだ根元に締める紙帯)とか、様々な飾りも黒髪がより映えるように施されてると思う。
鼈甲(べっこう)の簪なんか、つやつやに調えられた黒髪に挿されると、飴みたいな黄色が黒髪とのコントラストで引き立てあい、クールでセクシーでかっこいい。粋ってやつ。子どもには似合わない感じの取り合わせ。
鬢(びん。横髪)のあたりの張り出し具合は面長な顔立ちに映えるだろうなー、とか、なで肩のほっそりした体格に合う髷(まげ)の大きさのバランスとか、全身トータルのスタイルとして考えても見事なデザインだと思う。
髪型っていう、身近な事柄だけに時代の風俗を反映していて、大変興味深い。