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小沢一郎はなぜTVで殴られたか 「視える政治」と「視えない政治」 みんなのレビュー
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紙の本
密室政治から公開型政治へ。殴られつつ小沢一郎が登場したテレビCMの経緯を材料に,政治手法の変化を活写
2001/03/06 18:16
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投稿者:嶌 信彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルは,キワモノ本のような印象を与えるが,実は「政治手法」の変遷を日本とアメリカについて比較しながら,最近のテレビ・ポリティックス,劇場型テレビ民主主義の問題点などにも言及した好著だ。著者は,25年間にわたり政治記者として日本の政界を取材し続け,4年余のワシントン特派員生活の経験も踏まえ,豊富なエピソードを織り込んで日米政界の政治手法を活写している。
著者は,サブタイトルにある「視える政治」と「視えない政治」という分析視点により,過去から現在の政治状況の変化や行方,その相克と政治家達の思惑,そして国民がメディアを通じて発信される政治手法をどう見抜くべきか,などについても示唆を与えている。「視えない政治」とは,かつての料亭,待ち合い,密室などを舞台とした根回しの政治,いわば旧体質,旧秩序型の政治手法,「視える政治」とは,公開型,テレビ討論,ショー的演出をとりまぜた“テレビ重視型”の政治スタイルといえようか。
アメリカで「視える政治」へのターニング・ポイントは1960年のケネディ,ニクソンの大統領選からといわれ,日本は90年代,とりわけ印象深いのは細川首相の登場だっただろう。それ以前の日本の政治は,田中角栄,金丸信,竹下登らが「視えない政治」の主役を演じたが,80年代後半以来のテレビの際立った影響力の増大で,「視えない政治」は胡散臭いものとみなされ始め,政権・政党の支持率にまで大きく反映するようになった。テレビなどを通じた「視える政治」でいかにふるまい,上手にメッセージを発信したり,演出するかが重要になってきたのである。
本書では,かつて「視えない政治」の主役の1人であり,実力者だった小沢一郎氏が,2000年6月の衆議院選挙で,ホホをビシビシと殴られながらも真っ直ぐに前進する話題のCMの経緯をプロローグに描きながら,いまや「視える政治」こそが国民受けし,同時に政治体質や手法そのものを変え始めてきたことをさまざまな具体例で実証している。真正面から政治手法の変化と意味を,ベテラン記者らしくリアリティーをもってノンフィクション風にまとめあげた筆力は素晴らしい。
著者は,また「視える政治」の裏でなお脈々と「視えない政治」がさらに奥深いところで息づいていると指摘し,特にアメリカのクラブ社会の実情やワシントン政界とハリウッド・スター達のコネクションのエピソードは興味深く読んだ。
(C) ブックレビュー社 2000-2001
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