サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

E.T.A.ホフマンの世界 生涯と作品 みんなのレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー1件

みんなの評価0.0

評価内訳

  • 星 5 (0件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本

見高名な美術史家が照らしだす「マルチ」なホフマン

2001/02/07 18:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小沼純一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

今年2001年は、夏目漱石が『吾輩は猫である』がモデルにした長篇『牡猫ムルの人生観』の主人(猫?)公、E.T.A.ホフマンの実在の飼い猫「ムル」が天に召されて180年目にあたる——と、この本を読んで始めて知った。その翌年に作家自身も亡くなっているから、来年はホフマンの没後180年ということにもなる。
後々にバレエになった『コッペリア』とか『くるみ割り人形』、あるいはオペラ『ホフマン物語』といった作品は知られているけれど、実際にこのドイツ・ロマン派の作家の作品に触れているかといわれれば、せいぜい文庫になっている数冊程度というのが、一般の傾向にちがいない。それでも、日本では隣国フランス同様早くから本国ドイツよりはるかに評価が高かったのだという。

本書はコンパクトながら、この作家の生涯をたどりながら、あいだに重要な作品についての解説をおりこんで進行してゆく。時代のながれ、風潮と、そのなかを生きてゆく作家ホフマン。そしてその生から生み落とされる作品。その作品のなかに、時代を読み込み、また時代への照射を読む。
 「不気味、グロテスク、奇形、歪んだ像。ホフマンの作品における文体の特徴は、外界と内界をつなぐ通風口が狭められたこと、その接触が中断されたこと、相互交流の流れが妨げられたこと、それに両者の不一致がますます大きくなったことについての感覚の表現にある。こういった感覚は、個人的にのみ知覚され、意識の歴史からは制約される。ホフマンはこれを繊細な感覚能力によって拾い上げ、形象のイメージとしてつくりあげるのだ。」

 「悪魔は万物の上におのれの尻尾をのせている」というホフマンの確信、モットーを、筆者がときに反復して検証していることも、本書を一貫させる構成の要素だ。こうした手腕をみせる著者は、1929年ドレスデン生まれの人物。1975-86年にはベルリン美術館の館長を、83-86年にはベルリン芸術アカデミーの造形芸術部長を務めた美術史家である。編著『ベルリン1919-1933——芸術と社会』は岩波書店から邦訳もあるので、ご存じの方も多かろう。ホフマン自身がもともとは音楽家として身を立て、デッサンやカリカチュアの腕前を誇り、その後に文学へと移行していった「マルチ」な人物であったことを考えれば、著者ロータースが、逆に、美術畑から文学へと視線を向け、ホフマン像を浮かび上がらせているのも、自然なことといえるかもしれない。

もちろんホフマンの作品を知っていればよし、なんとはなしに興味をもっているというひとでも、良き入門書になる本である。 (bk1ブックナビゲーター:小沼純一/文筆業・音楽文化論研究 2001.02.08)

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。