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サッカーの敵 みんなのレビュー

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みんなのレビュー12件

みんなの評価4.0

評価内訳

12 件中 1 件~ 12 件を表示

紙の本

だからサッカーはおもしろい

2002/09/29 13:10

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:片桐真琴 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「サッカーの敵」とは何とも刺激的なタイトルだ。内容は、といえば、タイトルほど刺激的なわけではないが、Jリーグを見慣れた目からみれば、そこに語られているエピソードは十分に刺激的である。

本書は、ウガンダ生まれのイギリス人サッカージャーナリストのクーパー氏が、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ大陸の計22カ国を9ヶ月かけて旅したその集大成である。世界の多くの国でいかにサッカーが大きな影響力を持っているか−時には政治すら動かす!−ということを示すエピソードに事欠かない。政治家はサッカーを自らの浮揚のために利用する。代表選手の選考だけでなく試合のメンバーにすら口を出す。クラブあるいはそのオーナーは八百長をしかけ、時にはフーリガンを雇うことさえ厭わない。サポーターも、社会階級や宗教、人種・民族によって応援するクラブが厳然と分かれ、クラブを通して激しく対立する。

著者が見聞きし、この本で紹介されているだけでも日本の“クリーン”なサッカーになれている私は、他の本である程度知っていたとはいえ、驚きを隠せない。サッカーをめぐって、こんなにも人々が熱くなり、熱中し、まさに人生そのものであるかのようにのめり込んでいるのだ。だからこそ、本書で紹介されているような、驚くべき“事件”の数々は起きるのだろう。著者もまたサッカーに並々ならぬ熱意を持った一人だ。そうでなければ、こんなサッカーの暗部を聞かされるとサッカーに幻滅し、本書がただの告発の書になってしまっていただろう。本書を一読し、私は逆にますますサッカーの奥深さに気づかされ、今以上にサッカーを好きになりそうだ。サッカーの裏側を知っておくことは、サッカーをより深く知るためには大切なことである。読むのに骨は折れるが、ぜひ本書を手にとって読んでみて欲しい。

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紙の本

大いなる不条理

2002/06/23 11:31

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:じゃりン子@チエ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 しかしワールドカップというのはすごいものだ。国中、世界中がこんなに同じ方角を向いている。アメリカのナショナリズムに彩られ、「冬季五輪なんて金持ちしか出られない不公平で金まみれの競技会だ」なんて批判をあちこちから頂戴したソルトレイク五輪の後なので、一つのスポーツだけが繰り返される競技会をみんなでせっせと見ている様子がなんだか、妙に感慨深い気分。変なスポーツ。
 多分90分走り回って一点二点で決着が付いてしまうあの不条理さが楽しいんだろう。残酷でスリリング。シンプルイズベストという言葉を思い出す。おそらくサッカーに匹敵する程シンプルな団体競技は他に、ない。究極の合法的不条理か。それにしてもおそろしいのは、その不条理さがグラウンドの中だけでなく、外の世界にも影響を及ぼすところだ。
 日本対ロシア戦が目前に迫った頃「日露戦争以来の…」と言い出す人が日露両国から出てきたそうで、そういったアオリが嫌いな私は「なーにいってんだあ、おまえら」と思っていた。が、良くも悪くもサッカーというのはそういった極端なセンスの積み重ねの歴史らしい。この本を読むと、そこのところが非常によく分かる。
 一言で要約すると「世界各国のサッカー周辺事情」の本なのだが、話のでかい挿話が延々と続く。1992年の戦争によってやっとユーゴスラヴィアから脱退し、独立国となったクロアチアにとって母国の代表が勝つこと、またはイングランドのウェンブリーでの親善試合を認められることが、そのまま国の誇りや威信になる。アフリカ諸国にとっては、ワールドカップが唯一公正に世界の国と競い合える機会。だが、それでも出場する国は皆アフリカの中でも豊かな国だ。西欧諸国のインタビューアーは皆、一番目に「試合の前に鶏を焼くのか」と尋ねる。本当は呪術はおまじない程度のものだって。偏見、金銭、国状…。アフリカには戦うものが多い。
 仰天したのはアルゼンチンの章。1978年、1976年の軍によるクーデターの後に行われたワールドカップはさながらヒットラーのベルリン五輪だった。
アルゼンチンを豊かに見せるために政府はイメージ戦略を行った。まずスラムの破壊。貧困地域にはブルドーザーが持ち込まれ、住民たちは試合が開催されなかった都市か、砂漠に送られた。政治的容疑者は軍によって「清掃」された。将軍が彼等と外国人ジャーナリストとの接触をおそれたからだ。ちなみに、アルゼンチンがワールドカップにあたって契約したのはNYの宣伝会社だ。彼等がこういった戦略を勧めたかは分からない。
 買収疑惑もある。アルゼンチンはどうしてもペルーに4対0で勝たなければならなかった。金に困っていたペルー軍部に、軍政仲間は小麦と(おそらく武器をも)無償提供し、中央銀行のペルー資産の凍結を解除した。結果、試合は6対0,アルゼンチンの勝利で終わった。「本当に賄賂が支払われたかは分からない」とは付け加えてあるけど、ねえ。アルゼンチンの記述に字数を割きすぎた。この国に限らずショッキングな記述はある。
 しかし、スキャンダラスな内容とは別に、この本には品格がある。著者がサッカーを愛しているからだ。彼はこの不条理なスポーツを追求することに対してきわめて慎重になっている。文化、国勢、政治について話を広げながら余分な偏見に振り回されない記述が素晴らしい。ウガンダ生まれの英国ジャーナリストというのが関係しているのかな?
 その単純さ故に、その国の特質をも露呈するスポーツ、サッカー。サッカーを「知ろうとする情熱」と「盲信しないバランス感覚」を持つこの本は、その謎に迫るための非常に刺激的なテキストだ。だからこそアジアの章がないことが悔しいが(アメリカ大会後の出版なんだけどなあ)。
 そして、こんな記述が痛い。
「国が荒廃していればいるほど、ワールドカップは大事件になる」
 なるほどねえ。

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紙の本

2001/03/25朝刊

2001/03/28 15:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「戦争は異なる手段をもって継続される政治」と説いたのは「戦争論」のクラウゼヴィッツだった。サッカーもしばしば「戦争」に例えられてきたが、本書はその戦争の奥深くに潜む政治や経済、社会とサッカーの濃密な関係をリポートした力作だ。
 本書は今やサッカー不毛の地ともいえる旧東独・ベルリンのルポで始まる。この一節の主人公は、秘密警察長官が会長を務める地元チームではなく、「誤った」旧西独のクラブや西独代表チームを応援したために国外追放された。
 国家元首から一ファンまで、二十二カ国でインタビューを重ねた著者によれば、ウクライナではサッカークラブが犯罪組織となって国家経済を牛耳り、カメルーンでは、大統領が国民を動員し、試合結果も決めてしまう。
 アルゼンチン人に言わせれば、マラドーナは世界最高の選手であると同時に、「ギャングに払う金もいちばんだった」。巨大化するクラブは地元密着を通り越し、「軍隊か、あるいは教会ほどに不滅の存在」となる。著者がつきつけるのは、スポーツを超えたサッカーのもう一つの顔だ。
 得点シーンや細かい技術の描写はほとんどない。その分、ノンフィクションとしての完成度は高く、サッカーの基礎知識があれば、おもしろみはさらに増すはずだ。
 残念ながら、本書でアジアは無視されている。日韓共催が決まるあたりから、二〇〇二年のワールドカップを描く続編を、是非、著者には望みたい。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001

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2004/10/05 19:50

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2007/05/06 13:23

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2010/08/07 23:38

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2010/12/29 20:14

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2011/01/07 13:11

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2009/09/28 20:32

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2011/10/09 17:09

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2013/08/26 10:11

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2023/04/03 23:11

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