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紙の本
将棋の歴史を考察するスリリングな本
2001/06/13 02:26
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投稿者:sfこと古谷俊一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在は関西将棋会館の将棋博物館の館長である木村九段が、将棋専門誌に連載した記事を増補改定したものです。
興福寺から出土した11世紀の駒が持駒あり向けであったことを軸にして、世界各地の将棋・チェス類似のゲームの伝播や変化とその理由から、日本の現在の将棋がいかにして形成されたかを、最新資料を駆使して論じています。
ビッグチェスなどと呼ばれる駒数の多い巨大ゲームは、技量が上がると勝敗がつかなくなることへの対策として、良く行なわれてきたこと。そしてそののち、ゲームシステムを改善するというのが主流になるあたりは、たいへん興味深いものです。ウォーゲームでもビッグゲームが一時期ありましたが、ああいうのは普遍的なんですね。
玉にあたる駒の行動を制限して詰みやすくするか、駒の移動力をあげて局面の変化がつきやすくするのが正道だったようですが、日本では持駒として再利用できることにすることで局面の多様化と展開の緊張感・スピード感をもたらしたようです。対策としてわずかだがなかなか思いつかないアイデアを投入するだけで、優れたゲームができあがるあたりが、わくわくします。
チェスや将棋がいかに洗練されていったのかが良くわかり、大変勉強になりますね。「一手差で勝負が決まる」ということ自体が、すごいんですね。
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