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江戸服飾史談 大槻如電講義録 みんなのレビュー

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紙の本

江戸の服飾と反骨精神

2002/02/20 22:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 江戸時代の服飾の歴史は、幕府の倹約令と密接なつながりを持っている。江戸時代も初期の頃は、金ぴかなど派手な着物が普通だった。しかし、幕府の倹約令で華美なものが禁止されると、人々は地味なものに魅力を見出してゆく。また、一見地味な着物でありながら、見えない裏地に金をかけたり等、いわゆる「粋」が生まれる。江戸人は、ただ唯々諾々とお上に従っていたわけではないのだ。上から押さえつけられれば、そこからまた新たなものを生み出す。そう考えると、幕府の倹約令もなかなか好いものであったかのようにまで思えてくる(自分は華やかな着物が苦手で、地味で粋な着物が大好きなのだ……)。また、禁止されたものも、「咽喉元過ぎれば熱さを忘れる」の言葉通り、そのうち復活する。本書では、そうした江戸人の反骨精神の他に、着物や髪型の変化に、大火も関連付けて説明している点が面白い。他の本を読んでも分からなかった様々な疑問が、本書のおかげで氷解した。
 大槻如電は元仙台藩士で、明治時代においては敗者である。その為、明治の藩閥政府には猛烈に反発したという。作者自身も反骨の人であったのだ。自分はそういう人物に弱い。

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紙の本

わかりやすい、面白い、江戸の男と女のきもの談義

2001/05/24 18:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:近藤富枝 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「服飾史」というものは、これを語ろうとすると、大変むつかしいものである。なぜならその時代の政治、経済、美術、文学、世相など、あらゆることに精通していないと一時代の服飾を知ることができないからだ。

 本書は明治三十一年というからざっと百年昔に大槻如電(おおつきじょでん)という人が、三越呉服店の依頼で講義したものをまとめたものである。さて著者の如電であるが、この人の名を私は永井荷風の作品のなかで知っている。そこで巻末の履歴を読むと幕臣の子孫で、一家に著名な学者が多く、如電も和漢洋の学問に通じてことに邦楽への造詣(ぞうけい)が深かったという。しかし藩閥(はんばつ)政府に反撥して文部省の職を辞したというので、全く荷風好みの人物だと思う。

 読み終って驚ろいたのは、今日通用している江戸服飾に関する解説書は大方この本がもとになっていることである。大体服飾史というのは難かしくて、読むのが面倒なものだが、これは講演がもとだからわかり易いのでありがたい。
 しかも服飾の流れを説くのに幕府が六回発した節倹の法令によっている。これもとてもユニークである。
 改革のたびに風俗に異変がおこる。贅沢をいましめて法令が出、一時は質素になるがやがてまた華美(はで)になってしまう。時には法令の目をくぐるための工夫があり、そのため新しい流行が生れたり、技術の向上が行われたりする。そのあたりの呼吸がこと細く書かれているのでとても面白い。

 歌舞伎の阿古屋の琴責に出てくる武士たちが金ピカの衣裳なのは、芝居だからでなく、慶長から寛永のころはこれが当時の風俗だったと言う。これはかなり意外で勉強になった。
 また武士が縞の着物を表向きに着るようになったのは天保の節倹令のあとで、それまでは紋付小袖にかぎっていたというのもはじめて知った。袖なしの羽織や、女が上着の襟に黒繻子の半襟をかけるのもこの改革からでやはり節倹のためであった。従って縞物ばかりでなく紋付へもかけたという。

 私は旗本のお姫様の赤の振袖を持っているが、これには半襟はもとより共襟さえもない。不思議だと思ってその道の方に聞いたら、お姫様は節倹の必要がないからという答に、“なるほど”と思ったことがある。
 ある旧家の嫁が「長襦袢をこしらえたい」と言ったら、長襦袢は賤しい勤めをする者が着るので、素人(しろうと)の堅い家では半襦袢に腰巻と別々に着るものでいけないといった話も面白い。現代では長襦袢全盛で、半襦袢に腰巻の方が略式になっているではないか。これまで知らずにいた男性の服装が本書でよくわかったのがありがたい。

 表紙は三井本家のとし(金へんに長という字)子が「剪採」(せんさい)という絹を使って作った切り絵細工による「元禄花見踊り」である。とても美しいのであわせて鑑賞していただきたい。 (bk1ブックナビゲーター:近藤富枝/作家 2001.05.25)

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