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哲学的思考 フッサール現象学の核心 みんなのレビュー

  • 西 研 (著)
  • 税込価格:2,75025pt
  • 出版社:筑摩書房
  • 発行年月:2001.6
  • 発送可能日:購入できません

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紙の本

〈生活のなかの対話〉としての哲学

2001/06/26 11:05

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小田中直樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 僕は哲学の素人だけど、前に本屋で、本当に〈ふっと〉『ヘーゲル』(日本放送出版協会、一九九五年)って本を手にとって買ったことがある。なんで買ったのかよく覚えてないけど、「大人のなりかた」って副題に〈うぅむ〉と感じたのかもしれない。そんなわけで、同じ著者、つまり西さんの今度の本にもぱっと飛びついたけど、苦労した。なんたって四百ページぎっしり〈フッサール〉なのに、僕はほとんど〈なんだそりゃ〉の世界。フッサールに関心がないので、こまかく読んでも意味ないし、第一わからない。だから、〈なぜ西さんの仕事が「うぅむ」なんだ〉って考えながら、一気に読んでみた。
 今じゃもう昔話だけど、二〇年近く前に〈ポストモダン思想〉が輸入されて、一部で流行ったことがある。西さんによると、これってけっこう根が深い。〈世の中の常識には根拠あるんだから、大切にしろ〉っていう〈モダン思想〉に対して、ポストモダン思想は〈常識なんて根拠ないんだから、押付けないでくれ〉っていった。〈常識の根拠〉を〈真理〉って言換えると、これって〈真理は存在するか〉って大問題になる。しかも、〈ある〉って考えると人に押付けたくなるし、〈ない〉って考えると〈オマエに関係ないじゃん〉になって、どっちも〈トホホ〉な態度に行着く。さて、どうしよう。今から一世紀近く前に、この問題を解決しようとしたのがフッサールだった。彼がたどりついた答は〈根拠はないけど、常識はある〉って考えること、そして〈常識はどうやって出来上がってくんだろうって問題を考えることが大切〉ってことだった。こんなフッサールの思想を、この本で西さんはゆっくりと読解いてゆく。
 この本が爽快なのは、とてもバランス感覚がいいからだ。とりあえず三点。第一、この本はフッサールの哲学を扱った〈哲学史〉でもあり、西さんの思想を書いた〈哲学〉でもある。僕の印象だと、〈哲学史〉の本は〈生き生き感がなくて眠い〉し、〈哲学〉の本は〈勝手に行っちゃってついていけない〉。でも、西さんの本は〈生き生き観があって、でもついていける〉って感じがする。それは、西さんが、僕らに代わって、フッサールにも(哲学者としての)西さん自身にも「本当か」って問い続けてるからだ。
 第二、別の本(『実存からの冒険』、毎日新聞社、一九八九年)で、西さんは「学者のなりそこね」って自己紹介してる。これって(生活は大変かもしれないけど)〈玄人〉と〈素人〉をつなぐ大切なポジションだ。難しいことを難しくいうのは簡単だけど、難しいことを簡単にいうのは難しい。西さんも多分わかってて、この本でも僕らに〈届く〉文体を使ってる。このバランス感覚って〈ありがとう〉だ。
 第三、〈哲学がなくても生活はできる〉し、〈生活と関係ない哲学も「あり」〉だろう。でも、一番格好いいのは〈生活のなかで哲学する〉ことだ。西さんがフッサールに関心を持ったのは「私たちがいま経験しつつある〈世界像の危機〉に対抗する」ためだった。哲学ってとてもアクチュアルなんだ。こんな西さんのバランス感覚は、〈生活のなかで議論しようよ〉っていう対話の意志に裏打ちされてる。
 でも〈バランス感覚がいい〉ってことは〈二つ合わせて二で割る〉って意味じゃない。フッサールがやったこと、そして多分西さんがやりたいことは、〈どちらを選ぶか〉って問題を出されたとき、〈どちらか選んで突走る〉んじゃなくて〈問題そのものを問題にする〉ことだ。これってすごくラディカル。このラディカルさの裏には、〈自由と連帯は両方とも大切だし、両立できる〉、さらには〈哲学は日常生活を生きるための力にならなきゃいけない〉ってメッセージがある。僕が西さんの仕事に「うぅむ」と感じたのは、このメッセージに共感したからかもしれない。というわけで、重いので寝っころがって読めない分だけ割引いて、評価は四つ星。

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2017/08/31 19:28

投稿元:ブクログ

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