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紙の本
縄文時代の巨木信仰と、弥生時代の鳥の表象への信仰との不連続な関係を考えるシンポジウムの記録
2001/09/05 18:15
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投稿者:宇波彰 - この投稿者のレビュー一覧を見る
青森の三内丸山遺跡の6本の柱は、20メートルの高さであったと推定されている。この柱の役割については、さまざまな説があって確定していない。しかし、巨大な柱は三内丸山だけにあったものではなく、縄文時代を代表する記号として、各地で発見されている。本書は、この「巨木」を縄文時代の代表的な記号として、また、細い柱の上部に鳥のかたちのものを付けた「鳥竿」を弥生時代の記号として考え、しばしば「不連続」として捉えられてきた両者の関係を考えようとしている。
まず大林太良は、ヨーロッパで「柱」というものが、ギリシア以来どのように信仰され、考えられてきたかを総括的に語る。そして、古代のインドやケルト民族においても柱への信仰が存在していたことが示唆されている。
次に萩原秀三郎は、最近しばしば話題にされる中国長江上流の古代文明である三星堆文物に数多くの鳥の造形があることに注目し、中国で古代から鳥信仰が存在したことを指摘する。崔吉城は、「韓国における鳥竿」において、「村の入り口や境界などに立てられる」「ソッテ」と呼ばれる鳥竿について、数多い写真を用いて説明している。こうして、中国・朝鮮での鳥竿についての情報を提示したあと、渡辺誠は「弥生の鳥信仰」において韓国の鳥竿と日本の弥生時代の鳥の表象とを結びつけて考察する。
巨木と鳥竿についての6人のこのような講演のあとには、ギリシャ文化の研究者として著名な吉田敦彦の司会による出席者全員による討論が収録されている。本書は、日本だけではなく、世界の各地に残されている巨大な柱と鳥竿という文化遺産を、多様な角度から論じたユニークでしかも示唆に富む講演・シンポジウムの記録である。本書によって、日本の大きな柱や鳥の表象の意味が広い視野から再検討されることになるであろう。 (bk1ブックナビゲーター:宇波彰/札幌大学教授 2001.09.06)
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