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紙の本
未だ主人公は愛せないけれども、最高だ
2021/11/14 15:51
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投稿者:dsukesan - この投稿者のレビュー一覧を見る
2巻に入って、俄然面白くなる。
佐藤優の言っていた、人を侮ること、侮られまいと足掻くことが、実感として腑に落ちる物語だった。
なべ長がガラッと雰囲気を変えるのは、245ページでこれは手打ちだと思ったところからだろう。『他人には言えぬ悩みや悲しみや、クタクタに疲れた体や押し殺した怒りやー様々のストレスで爆発寸前の、自分自身との手打ちなのだ。』
『俺、わからねえもの。自分がどこの誰だか、何をしてるんだか、ずっとわからねえんだ。』
『ぼくは暗澹とした。真っ暗な底知れぬ、不可解な人生の淵を覗き込むようなきぶんになった。』
人間の価値とか、あり方、大きさ、真摯さというものは、決して出世とか、見た目や、表面的な行動だけで測ることはできないということ。そしてややもすると、自分でも自分の持っているそうした資質を忘れて日々生きているということがあるということに、気付かされた。プリズンホテルの魅力が漸く腹に落ちてきた。
其れにしても、主人公の作家は、事情はわかるけど、ちっとも理解できない。解説の人たちが書いてる様な、愛があるとは感じられず、愛すべきキャラクターとは思えないなぁ。その点では、鉄砲常の言葉に痺れる。『女子供をなかせるような外道は、この鉄砲常が活かしておかんですよ』
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名作だ
2021/02/23 14:48
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひょんなことから冬春夏秋という順序で読んだ。秋は名作だ。大衆小説と蔑む向きもあるかもしれ合いが,エンターテイメントでなければ小説とはいえない。著者にはこういう本を書いて欲しい。最近は小難しい小説を書きたいみたいだが,是非向かいの極道小説を書いて欲しい。
本書を名作だというのは,まず勧善懲悪であること。昔ながらの物語の王道である。人はなぜ物語を好むかと言えば,実社会の非道さから逃れるためなのだ。現実社会は残酷だ。卑しい悪人が得をして善人が割を食うのが実社会なのだ。そのために物語があり,その中で悪が滅びで善人が報われることで安心して過ごせる。つまり精神病にかからなくて済んでいるわけだ。で,このシリーズは一見ひどい奴に見える小説家(モデルは本人か)を主人公に,報われない人々が最後は救われるようにできている。素晴らしい。娯楽小説のお手本だ。是非,続編を出してほしい。
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B級グルメの傑作
2020/03/13 12:15
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者の得意技である 人情もの 任侠もの ユーモアもの 全開、B級グルメの傑作である。
こてこての人情噺の間にうずもれてしまいがちだが、下記のよう技巧を凝らしている点は、「稀代のストーリーテラー」の呼び名通りだと思う。
・晩秋の奥日光の風景描写。
・緊迫した話を一気に進めず一呼吸置くためにユーモラスな短い話を間に挟む。
・演劇の三一致の法則にも似た、
ひとつの場所--プリズンホテル
ひとつの時 --一泊二日
で絡み合う話をまとめ上げている。
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笑って、少しほろりと出来るドタバタ人情喜劇だが、どこかで人間というのは大差ない生き物だと思えて来る。
2019/01/29 09:37
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
笑って、少しほろりと出来るドタバタ人情喜劇だが、どこかで人間というのは大差ない生き物だと思えて来る。特に、一般的には対極にあると見える、警察とヤクザを一つの「檻」の中に放り込んで自在に泳がせて描いた本作は実に愉快である。とは言え、本作の魅力は何といってもどこか普通とずれた登場人物の魅力でしょう。何しろ誰をとっても程度の差こそあれ社会一般からずれてるのだから可笑しくない訳がない。唯一人、普通だった筈の花沢一馬ホテル支配人すら既にプリズンホテルに馴染み始めている。とは言え、やはり最も歪んでいるのは私=木戸孝之介でしょうね。残り2シーズン(冬・春)でどう変わっていくのかが楽しみ。