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紙の本

ICカードの先に見える社会

2002/08/20 17:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ユヴスケ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者たちは全員が経済産業省におけるICカード関連の実務担当者。まず始めに書いておくと、この本は読み物としてはさほど面白いわけではないし、資料やデータの大部分もウェブにあるものの上、技術解説も詳しいわけではないので、好奇心だけで買うと後悔する。ただし、ICカードに関する官僚側の思惑を記した資料としての価値は大きい。
 気がついたことは2点。まず1点目は、経済産業省のICカードにおける狙い。個人でのICカードのメリットは、各種カードが1枚のカードの乗り入れることで持ち歩くカード枚数を減らすことや、免許など各種の身分証明書に替わるものということを、大きくアピールしている。が、もっと突き詰めて考えると、これはハードウェアで暗号を処理できるツールを常に個人が持ち歩くようになる、ということなのだ。
 今後の社会生活を送る際の個人の身分証明に、もっとシステムレベルで堅いものを導入しようとする流れは、レッシグのCODEを持ち出すまでもなく当たり前のものになりつつある。そのソリューションとして公開鍵暗号を処理可能なカードを国民一人々々に携帯させる、というのが経済産業省の考える答えのようだ。
 2点目は、これはICカードに限らないのだけど、経済産業省の人間をはじめとする頭の良い人間が考えている未来の社会像について。第8章でこんなことを書いている。少々長いが引用しておく。
< 「どこの会社」、「どこの学校」といった「ブランド」が意味を持たない時代になれば、会社や学校が私たちの身分を認め、その証明書を発行するという方法ではなく、所属する会社や学校を私達が選択し、私達が生まれたときに与えられたIDカードの中の「所属」欄のデータを書き換えるという方法があり得るのです。運よくICカードはそういうことを得意としています。主役は会社や学校ではなく、私達なのです。会社や学校などの組織が私達を管理しているのではなく、私達が組織の一員になっているのです。会社や学校から与えられるカードは、終身雇用や学閥などにもつながる妙な帰属意識を煽っていると思うのは考えすぎでしょうか。(P172)>
 また、
<私達は自分の存在が絶対であることを認識し、所属する組織は一時的なものであることを認識すべきなのかもしれません。「流動性の時代」にICカードが登場したことの因果を感じざるに入られません。(P173)>
という記述もある。縦割りの最たる行政の人間がいっても説得力がない、というのは置いといて、いかにも頭の良い連中が考えそうなことだ。唯一、個々人を絶対のものとして、社会的なものを後天的な「属性」として書き換え可能なものと見なす。これは「原子論的な個人」そのものだ。
 確かに流動性は必要だと思う。ただし、社会における流動性といったとき、「アイデンティフィケイション(ID)の流動性」と「関係の流動性」のふたつの面があると思う。現在では、このふたつはほぼ重なっているが、ICカードはこれを分断して「関係」の流動性は高めても、「ID」においては逆に著しく減少させるおそれがある。そうなったとき、最終的に残るのは「個人と国家」の関係だけになる可能性がある。良いか悪いかは別にして、これは監視社会を通り越してディストピアそのものだ。
 では、その属性を記した「ICカード」と「本人」を具体的に結びつけるものはなんだろう。指紋、声紋、光彩などバイオメトリクスに利用できる要素は各種あるが、「生まれたときから」という条件が付くとどれも難しい。ではどうするのか。究極的にいってしまえば、生誕時から変化しない個人を特定する物理的に唯一のものは遺伝子しかない。つまり、行政の進めるICカード社会は必然的に遺伝情報を必要とすることになるのだ。
B.M.Factory

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