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政治制度としての陪審制 近代日本の司法権と政治 みんなのレビュー
- 三谷 太一郎 (著)
- 税込価格:5,500円(50pt)
- 出版社:東京大学出版会
- 発行年月:2001.9
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紙の本
2001/10/21朝刊
2001/10/24 22:17
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は近代日本政治史研究の第一人者。今年一月の司法制度改革審議会のヒアリングで陪審制が民主主義にとっていかに重要な制度であるかを論述した意見表明は各方面から注目を集め、「国民の司法参加」の議論に大きな影響を与えた。
本書は司法改革審における著者の意見表明の内容を「序論」として収容している。A・ハミルトン、トクヴィル、J・S・ミル、A・スミスらの所論を引用しつつ、陪審制が米英の民主主義の中で果たしている役割の重要性をたたみかけるように論じている部分は説得力がある。
日本においても陪審制は自由民権期に福沢諭吉らによって提唱され、大正デモクラシー期に平民宰相・原敬の強い政治的リーダーシップによって制度化された。本書の「本論」では日本で陪審制が導入された政治過程に光を当てている。かなり専門的な内容だが、精読するとあの困難な時期になぜ日本で陪審制が導入されたかがよくわかる。この部分は著者の旧著「近代日本の司法権と政党」をそのまま収容したものである。
司法改革審は国民の司法参加の方法として裁判員制度の創設を答申した。欧州の参審制に近い制度である。米英型の陪審制は見送られたが、裁判員制度が導入されれば、国民の司法参加は大きく前進する。「司法制度をいかに変えるかという問題は、デモクラシーの質をいかに高めるかという問題と深く関連している」という言葉が印象的である。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001
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