紙の本
もっとこの本は注目されるべきだ
2001/12/12 12:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「身体感覚を取り戻す」と同じぐらい興味深い身体論の本なのに、注目度が薄いのは、やはり書名に問題があるのではないか。実は整体の技術に関する記述はほとんどない。参考になるのは、不眠に効く背伸ばし運動のやり方と、眼の疲れをとるためのアクビを出す方法で、あとは身体論の話。
いろんな話があちこちから飛び出すのだけど、面白かったのは身体と音楽の関係。著者によると、身体感覚が人々にあった数十年前はロックのグルーヴ感が有効だったけど、身体感覚が希薄な現代人にとってはそのグルーヴもあまり効果的ではなく、むしろレディオヘッドの『Kid A』的な浮遊感が効く、というもの。整体の本でレディオヘッドが出てくるとは思わなかった。著者の懐の深さを痛感した。
紙の本
身体論の入門書
2002/06/20 15:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:森亜夫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
すでに指摘されているように、この本は私たちが普段考えるような「整体」についての本ではない。逆に「整体」という言葉が、ここまで広い範疇を含んでいるのかと驚くような広い身体技法について言及されている。
白眉は、やはり身体論から見る文明論である。著者はそんなところは余技で書いているのかもしれないが、身体論から見る現代社会論は非常に新鮮である。とくにいじめについての記述など、考えさせられる(この部分だけでも、学校関係者は必読であろう)。
もっとも重要であるはずの実際の整体技術が、新書という制約からか、説明と図が離れていて、ぱっと見て理解は難しい。また、図も、一部しかなく、それは残念である。もっと、図入りで大判の実技編の刊行を望むものである。
投稿元:
レビューを見る
目次
序章「胸騒ぎの腰つき」の謎
第一章身体はメディアである
第二章「不眠」の腰つき
第三章身体観を整体する
第四章身体が心をドライブする−「われ思う、前に身体あり」
第五章身体が世界を生む
第六章身体をめぐる空間−この二〇〇年間の変貌
第七章「胸騒ぎの腰つき」と進歩主義
あとがきと謝辞
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
心理学で不安ととらえられる現象は、整体では胸の緊張であり、腰推をゆるめれば解消する。
つまり身体が心をドライブしているのだ。
整体とワークショップで20年間見つづけてきたかずかずの身体の物語から、医学とは異なる身体像を提示し、気持ちのいいからだを手に入れる方法を紹介する。
[ 目次 ]
序章 「胸騒ぎの腰つき」の謎
第1章 身体はメディアである
第2章 「不眠」の腰つき
第3章 身体観を整体する
第4章 身体が心をドライブする―「われ思う、前に身体あり」
第5章 身体が世界を生む
第6章 身体をめぐる空間―この200年間の変貌
第7章 「胸騒ぎの腰つき」と進歩主義
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
「気」や「ツボ」を使わずに説明をしようとしているのは、好意的。
だけれども、それによりクリアになった部分もあれば、必要以上に説明がややこしくなっているようにも思う。
ものすごくよく考えている作者なのはわかるけど、それほど難しくもない同じような内容が、わざわざいろんな現代思想的な難しいいい方でなされるので、なにが著者の言いたいことなのか、よく分からなくなる。
いや、こういうことを現代思想的なタームを使って説明するのはいい。
それは適切だと思う。
ただ、やりすぎってだけで。
「気」や「ツボ」を使わないというのを厳密にやりすぎたんじゃないかなあ。
そういう説明をしてもいいから、もうちょっとテンポよくやって、肝心なところではそういう言葉も使う。というあたりがバランスが取れそうに思います。
玄侑宗久の現代語訳般若心経をご参考あれ。
投稿元:
レビューを見る
身体と、世界は密接な関係を持って、循環している。現代の世界は、その身体を忘れてしまっているような気がする。効率に追われる会社組織。それは、身体自身を、機械のように駆動することによって、廻る世界のあり方。まるで全てを資本という物に変えてしまう勢いにたぎっている世の中に、身体そのものの価値を復興させ、世に問う好著であった。
投稿元:
レビューを見る
整体のやり方について書かれているわけではなくて、なんだか哲学的な内容。
非常に面白いのだけど、小難しくて取っつきにくいかな…。
投稿元:
レビューを見る
20180731読了
2001年発行。新書だけあって内容は難しめ。さらっと流し読みが多かった。楽しくて主体的に集中しているときと、義務感で集中しているときでは骨盤の縮みかたが違っていて、楽しいときのほうが本物の集中、というのは前にも別の著作で読んでとても興味深かった点。