紙の本
前衛芸術家としての自信と,原点としての少女時代
2012/04/27 22:29
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
前衛芸術家としての自身と,これまでおこなってきた 「ハプニング」 などのパーフォーマンスにつよい自信をもっていることがわかる. 著者を評価するおおくの評論が引用されていて,それが自信につながっているようだ. この本における自身に関するいいまわしは,驕りともうけとれる. しかし,驕ってつぶれていく作家とはちがうことは,これまでの著者の活動からわかる.
この本では,ひとを裸にする 「ハプニング」 や特異な創作物が著者の少女時代の経験に由来していることもしめされている. これまで不可解だった部分が,この本によってわかってくる.
紙の本
生きることは描くこと
2002/10/31 15:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:penerope - この投稿者のレビュー一覧を見る
もうかれこれ10年前、自分は絵描きになってやると息巻いていた20歳の頃。休日にはたった独りで美術館巡りをしてた時期、品川の原美術館ではじめて彼女の作品を知った。
狂おしい程の反復、点、黄色と黒に彩られたかぼちゃがなぜそんなに僕の興味をかき立てたのかはわからないが、とにかく僕は夢中になって彼女のことを知ろうとし、いろんな本を買いあさってはどんどんのめりこんでいった。もちろん彼女の小説も読みまくった。
この希有なアーティストは精神を患っているようだ。彼女自身のビジュアルもそうとう過激だが、本書に書かれている事実をまのあたりにして僕はひどく動揺してしまう。
「人生のスピードを上げるのよ!」といったのは鈴木いずみだったろうか。高速回転しながら爆走する鉄の塊のイメージは草間弥生にもあてはまるだろう。とにかく自分の欲望にこれだけ忠実になれなければいいものが創れないのだろうかと僕は不安になるけれど、この、決して自分では体現できない猛スピードの人生は僕をとことん魅了してやまない。生きることそのものは創造することでしか成り立たない、その究極がこの本には記されている。みんなも驚いてほしい、岡本太郎のシンプルなメッセージが多くの芸術家の卵たちに愛されているのとは対局の表現で、草間弥生は発熱し続けている。
僕の携帯電話には黄色いかぼちゃがぶら下がっている。生きることに無関心になった瞬間にはこのかぼちゃをぎゅっと握りしめ、「まだまだだ」とつぶやいてみる。どこまでも生きてやろう、創ってやろうという声が胸の内で反響する。
投稿元:
レビューを見る
5年前に東京都の現代美術館でアラーキーの企画展とコラボで企画展をやっていて見に行きましたが、ほんとにすごかった。ドットの世界、衝動的な映像、ハプニング。最近注目されていますね。草間ワールドすごい。この人の人生は壮絶です。
投稿元:
レビューを見る
すごい!!
この一言に尽きます。
彼女の揺ぎ無い自信。
作品に賭ける熱い思いが伝わってきました。
複雑な家庭環境で強迫神経症に侵され、困難を背負っていても、必死に前向きに生きている姿に感動。
なんだか、力をもらいました。
文章の描き方も素敵です。
もっともっと彼女の作品を見たい!と思いました。
投稿元:
レビューを見る
草間弥生の半生が時代とともに分かる本。
この頃のニューヨーク、見ていない時代の事が映像を見るように
伝わってくる。
そして、何故水玉なのか。。。
も分かって、より好きになる。
投稿元:
レビューを見る
スキャンダルの女王か。
否。体が震えるほどの表現の源泉。老いてなお生まれ出る。
「精神と神経の病巣からくるもの−−−
それこそが私が芸術を作りつづける根本的な原因なのである」
投稿元:
レビューを見る
図書館で、ふと見かけて何気なく読んでみた。
彼女の精神性、またそこから生まれる言葉や作品の軌跡が本書の軸ではあるのだけれど、、、、
とにかくドナルドジャッドや、ウォーホールやらとNYで同時代を過ごした日本人アーティストが、いまだに現役の一線にいるという事実に改めて驚きを感じたのが率直な感想。
投稿元:
レビューを見る
草間彌生と言う人を、名前とドットでしか認識していなかった。
そんなときたまたま本屋さんで見つけて衝動買いしてしまった本。
畜生、なんでもうちょっと早く調べなかったかなあ、と思う。
宇宙や世界に溶けてしまいたい気持ちや雰囲気は中学とか高校の時、自分も毎日のように感じていた気がする。
だから草間さんの作品を見てるとなんだか懐かしくなっちゃうね。
今でも時々「ああ、拡散してえなあ」とか頭に浮かぶしなあ。
生きてきた中での気持ち、強迫観念、ハダカ・ハプニング、なんでもあり。
自分の平凡な人生じゃ味わえないねえ。
大阪国際美術館にいま、作品が置いてあるってさ。
行かなくては!しゅつどーーーーーーーーーーーーーーーーう
投稿元:
レビューを見る
彼女の中の恐怖や不安という負の感情から生まれてくる物が、こんなに素晴らしい作品を産み出してたんだ!!
この人が生きているこの時代に生まれて来た事が本当に嬉しい事だと思った。
同じ時代に彼女の作品を見て感じる事が出来るのは本当に幸せな事だ
投稿元:
レビューを見る
テレビで直島の特集をやっていて、カボチャのオブジェを見て、見たことあるな、誰の作品なんだろうと思って調べたところ、草間彌生氏の作品だと知る。写真を見て、ピンクのオカッパヘアで、80歳を超えてる女性芸術家だと知り、興味を持ち知りたいと思いこの本を読みはじめた。
既成の観念
投稿元:
レビューを見る
めぐちゃんへ
先週草間弥生の作品を見に行きましたが「わからない‥けどなんかすごい!」って感じだったので、ぜひこの本で草間がどんな人なのか教えてください?
図書館になくて現品買うような事態になったら言ってください〜近々買う本だったので払います!
よろしく〜!まつ
♪感想♪
私、クサマとはお友達になれない。
だってこの本半分以上が自慢と自己顕示。自画自賛に辟易でした。まあ、実際すごい人だし、何かを成し遂げた人の自伝はこうなるのでしょうが。
クサマは繰り返し、渡米するまで感じていた閉塞的な家と故郷への嫌悪感を言っていて、それが創作の源だと述べています。
多分、周囲に対する嫌悪感に押し潰されないために芸術があったんじゃないかな。クサマの両親は仲良くなかったみたいだし、田舎は息がつまるし、そういう気持ち、分かるような気もする。
でも普通の人は芸術を武器に必死で戦わなくてもなんとか世の中と折り合いをつけていく訳で…自分の中から必死に何かを吐き出し続けなければ世の中にいられない、芸術家とは大変だな、と思いました。
途中までは、クサマは社会とか世界が嫌いで、でもなんとかそこで生きるために芸術を続けてるんだと…(字数オーバー!?コメント欄に移ります)
投稿元:
レビューを見る
圧倒される表現の根底にあるものがシンプルなものであること、
だけども怖いくらいに使命感に満ちている。
芸術って?表現って?なんかわからんけどすごいな。。だった読む以前にくらべ、非常にわかりやすく入ってくる。
投稿元:
レビューを見る
これから、六本木アートナイトに行くので、気分を盛り上げるために読んでみた。
私が初めて草間弥生の作品を見たのは、たぶん2000年くらいだったと思うが、その時の感想が「怖い」だった。アートを見て、身体的な影響がでるという経験は後にも先にもあれだけ。
そして本を読んでわかったのは、その感想はあながち間違いではないということ。
いまや水玉のカボチャは人気で、直島の撮影スポットになっている(みんなピースして写真を撮っている)が、その背景にすごい人生経験と壮絶な開拓者精神があるというのは、本を読んでみないとわからない。(そういう私も写真とったけどね)
投稿元:
レビューを見る
ジョゼフコーネルがこんな風に書かれるとは!ショックというかむしろ納得。にやり。全体的に主観がすぎてそこがむしろ良い。文章もとてもわかりやすく、草間作品の見方が少し変わる気すらする。
投稿元:
レビューを見る
2012年のベスト10に入るんじゃないだろうかってくらいよかった。。
「ああ、あの水玉の変わったおばちゃんね」と、アートに全く関心のない母でさえ、草間彌生を知っている。直島に浮かぶかぼちゃの前で写真を撮る人々は、その水玉の表現の由縁は思いもよらないのだろうなと思う。
大学卒業後、アメリカで前衛的な現代アーティストとして創作。
ヒッピーの女王と呼ばれ、クサマ・ハプニングというパフォーマンスを展開。それは男女が公の場で集団で裸になって、ボディペインティングして、セックスを公共の場で行ったり・・するもの。日本では、その思想を理解されることなく、出来事だけを見て、国の恥と言われていた。
怖くて怖くて仕方がない。
だからセックスを扱う。
幼いころから水玉に自分が飲み込まれる幻覚を観たり、人と触れるということが怖かったりと、草間彌生が表現してきたものは、恐怖となるもの。
恐怖を乗り越えるために、徹底的に直視して、表現する。
圧倒的な苦しさから生まれる表現、生きるために表現する。
草間彌生、大好きになったー。
それにしても、トリエンナーレの水玉のトヨタ車とかどう思っているんだろ。。
今、83歳。
今が一番楽しい、表現したいものはとめどなく出てくるからちっとも困らないらしい。
命の灯が消えるまで、表現し続けてほしいと思う。
すごい、83歳だ。。