紙の本
良い本です
2024/03/31 10:34
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
大久保利通の外交手腕が、存分に発揮されたと見るべきなのでしょう。しかし、兵士達の不満はつのっていきます。 第六巻が楽しみです。
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大久保利通の梃子でも動かない粘り腰と伊藤博文の寝技
2005/05/04 10:06
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投稿者:くりぴょん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この巻では、大久保利通による台湾出兵(不満武士のガス抜き)の戦後処理についてと帰国後の自由民権運動をはじめとする、政情不安について書かれています。大久保は自分でまいた台湾出兵という種を、自ら北京に赴き李鴻章と折衝し、刈り取ります。会議の席上、梃子でも動かない大変な粘り腰をみせます。このシーンは、圧巻です。また、帰国後に岩倉・大久保の元勲政治による政情不安を取り除くため、伊藤博文が木戸を再び政界に戻す説得シーンも見所があります。伊藤博文といえば、昔の1000円札の人としかイメージがありませんが、さすが紙幣になる人、それだけの行動と実績を残していました。
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大久保の執念、実を結ぶ。
2015/09/20 09:33
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投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
愚挙としか言いようのない台湾出兵を何とか収拾させるべく北京へ渡った内務卿・大久保利通。彼の開戦をも辞さない姿勢とねばり強い交渉、卓越した外交戦術は実を結んだ。
なぜ司馬遼太郎がこの長編においてどちらかといえば脇役の事件である台湾出兵騒動にこれほどの紙数を割いたのかずっと疑問だったが、後から読み返すと色々と伏線が引かれていたなと思う。まあ細かいこと考えずにそのまま読めばいいだろう。
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幼馴染みであった西郷隆盛と大久保利通。その西郷は薩摩藩士をいたく可愛がり、大久保利通は新政府の明治政府を大切にし、その二人の思想の違いが二人を引き裂いたという感じでしょうか・・・。下手なドラマを見るより、二人の苦悩が感じ取れるこの本はとてもよく出来ています。
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小説で連載物は中身の要約するのがちょっと難しいので、感じたことを記しておきます。
徐々に明治維新を実施した人々の魅力というのに惹かれてきている。
このころの日本と言うのは、各自が大儀を持っていた。
これが、日本が日本であることの証拠なのではないだろうか。
西洋化が進むことで、意識の伝承はマニュアル化され、その奥に潜む信念というのが伝わらなくなってきていないだろうか。
この信念を教えるのが、倫理であり道徳であるはずだかが、今の日本の学校教育ではこういった授業は軽視している。
今は道徳って無くなったんだっけ?
どちらにしても、道徳教育において、日本(中国)の哲学というのを教えるべきじゃないだろうか?
少なくとも、今の親の年代に、過程において信念を伝えるのを期待するのは難しいだろうから、塾代わりの教室が必要なのかな。
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大久保利通がはるばる清国までいって李鴻章と談判する巻。もしかしたら清と戦争になっちゃうかも?ならないかも?やっぱりなっちゃうかも??果たして大久保利通の腹のうちは如何?教えて、大久保さん★ 大久保さんの寡黙さが周囲に不安を与えまくっている様子が可笑しい。結果から言えば戦争にはならなかったわけですが、台湾の先住民が日本人を殺害した件で清国(台湾の宗主国)から賠償金をゆすり取ろうとしてるヤクザな日本は無茶。木戸孝允は「清と戦争になったら日本は大挙して北京を攻撃できたとしても、その地にずっと拠有できるワケないよ」ということを仰っていますが、これは見事な予言です。のちの太平洋戦争までこの予言は常に的中することになるのですから。陸軍では谷干城が登場。台湾出兵にホイホイついてった宮崎八郎との邂逅。ルソーの思想の蔓延・社会主義に沸騰の兆し。中江兆民デターーー!!変人!変人!!
「明治八年・東京」の章では…大阪会議がおもしろすぎる!!必死に木戸孝允を政府へひっぱり込もうとする大久保さんが可笑しい。伊藤博文は媒酌人。木戸さんは良い迷惑。「大久保に待受けられ、直に突入、是には随分困り申し候……例のねばりづよく……」のコメントには爆笑した。
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大久保の、台湾出兵に関する交渉が中国と行われ、非戦の結果となる。彼の交渉能力は抜群である。この結果を良しとしないのは、清との戦争を期待していた士族たちであり、彼らの鬱憤はたまるばかり。政府との軋轢は徐々に大きくなっていく。
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台湾に侵攻した日本は、大久保に全権を持たせ清国との交渉を開始した。
交渉決裂すれば即戦争という状況の中、英国の奔走により、軟着陸する。
この外交が国内の不平士族には、弱腰に映り、また自由民権という思想も各処で芽生え始め、内乱の緊張感が高まる。
2008/03/18
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大久保利通の外交術を主題として取り扱っている。
圧倒的に不利な立場で、征台の正当性を認めさせ、その兵費の賠償金を出させるという無理難題を呑ませるという離れ業をやってのける。戦争を掛け物にして、九割九部外交の果実だけを勝ち取る確信があったという。
西郷はあっさり諦め、大久保はひつこくくいさがる性質が比較される。
清国の実質的権力者である李鴻章を無視し、外交本部に直談判しにいくという出鼻のくじき方が爽快だ。
まともに行っても、うやむやにしてくるタイプには、相手の最終意思決定機関に飛び込み、
単刀直入に要件を切り出し、論点がずれないよう、また出た言葉について、一つ一つ言質をとり、つかんではなさない姿勢が大事だ。
会議は終始水掛け論だが、話を長引かせ、相手の矛盾をつき、自分の正当性を地道に訴えて、糸口を探るしかないのである。
そして、相手が折れたらすぐには飛びつかず、また拒否もせず態度をあいまいにして、話題をそらしてみるテクニックが使われている。
また、会議の当事者だけでなく、英国公使や顧問を裏で調整させ、仲裁させていくことも必要である。
メンツも意識しながら、相手を追い詰めすぎないよう信義も醸し出す配慮を見せている。
終始本音は言わず、遠回しに伝えることで、相手のペースに乗らないことも外交にここまで役立つとは思わなかった。
谷干城の宮崎八郎への言葉「旧幕府は変わりようもない政権だったが、いまの政権はたとえ百時よからぬことがあっても、変わる可能性のある政権である、君たちが変えてゆけばよいだけであり、転覆させたところでどうにもならぬ」
この巻より、宮崎八郎が主役になり、ルソーの民約論が出てくる。
古学「具体的・実証的」荻生徂徠・朱子学「抽象的」
肥後県令安岡良亮、新撰組近藤勇を斬首刑
植木学校。中江兆民、森有礼
安藤昌益、ルソーと近い思想。江戸中期
ミル自由論
評論新聞海老原穆
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司馬遼太郎に初チャレンジした作品。が、10作もあり読むのに2ヶ月超もかかってしまったww
舞台は戊辰戦争後の明治初期。西郷隆盛を大きな軸として揺れ動く日本政府の動向をあらゆる人物の観点から追っている。よくもここまで調べたなって感心してしまう
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全巻通読後のレビュー。
全10巻という超大作であるが、もともと毎日新聞に連載された小説であるから、多々同じ記述が見られる。
しかしながら、明治維新後の日本の姿を鳥瞰的手法で世界史と関連付けて論じられている点で、日本近現代の始まりを理解する際の基礎理解には最適の入門書であると考える。
島津久光という超保守派の考え方から、維新を支えた革新派の面々の考え方が手に取るように分かる小説である。重要なのは士族の不満、百姓の不満がどのようなものであったか、であるが、それもこの小説では網羅されている。
物語は維新開始直後から、西南戦争(明治10年)を経て翌年の紀尾井坂の変(大久保の死)、さらに川路利良の病没までを描く。
明治維新は天皇の威を借りた王政復古という形でスタートした。それが後に軍の独走いうものを招くが、この時点ではそうせざるを得なかったということも、小説中で書かれている。
後の日本を支えていく山県有朋、伊藤博文、板垣退助、軍人で乃木希典、川村純義などが登場する。
西南戦争は8巻の半ばくらいから始まる。桐野、篠原ら薩摩隼人に担がれた西郷、悲劇のような最後の激闘である。西郷が桐野や篠原といった兵児(へこ)を最も愛し、彼らと生死をともにしたことは、西郷をうかがい知る上で、見逃せない点である。
西南戦争の中身についての描写は一流である。
時間がない方にも、8~10巻は読むことをお勧めしたい。
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遅まきながらこの革命にやがて思想性を付加しようとする運動がおこるのだが、しかしすでに革命を遂げて権力を握った太政官政府にとっては、遅くやってきた思想などは、邪魔物か、敵でしかない(237頁)
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善悪は別として、今の政治家に大久保利通のような信念と凄みを兼ね備えた傑物がいるだろうか。民主党の平成維新って言葉の遊びにすぎない。今の政治にはなにも期待できない。
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明治7年、大久保利通が清国で繰り広げた外交劇は非常に印象的だ。平行線の交渉の場をあらゆる手段を用いて粘り強く挑むその姿には感動を覚える。どのような辛い立場であっても糸口を見つけるために頑なに挑み続けている一面を劇的に描いている。
外交に限らず交渉において妥協をせずに自分の目標・目的に少しでも近づけるように努力することの大切さをしみじみと感じた。
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征台騒動終息。宮崎八郎評論新聞入社まで。明治政府のゴタゴタ、大久保利通の対清交渉など話の内容は面白いのだが、司馬遼臭が鼻について長く読めない。