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紙の本

猫好きのためのミステリー

2003/06/09 15:21

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:成瀬 洋一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 不気味な館に怪しげな人物が続々と集まり、奇怪な連続殺人が起こるという展開ながら、猫の魅力やそのブリーダーについての蘊蓄が満載の作品。
 とはいえ、小説としてはまだまだこなれていないと思う。猫はもちろん酒から陶磁器に至るまでの蘊蓄は、物語として必要な話題ではあるがちょっとくどく感じられるし、逆に文体はあっさりとして比較的現代的で、とりたてて明治時代の怪事件という点を意識させるようなものでもない。猟奇な物語とコメディ・リリーフのバランスも今ひとつ。謎解きにしても、ミステリーとして見るには謎の密度や解き方に不満が残る。
 1つ1つの素材や着眼点は悪くないし、ことさら文句を言うようなものではないかもしれないけれど、全体としての読後感がなんとなく収まりが悪いものになってしまうのだ。だから、思いっきり現代風にするかレトロに走るか、あるいはシリアスかコメディに偏らせた方が、もっと面白く読みやすくなったのではなかろうか。
 物語すべての中心に猫が鎮座していて、まさに猫好きが猫好きのために書いたような一作。

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2009/08/31 22:58

投稿元:ブクログ

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