紙の本
軟弱な男が嫌いですね。どんなにミステリとして優れていても、カワイイって女に言わせたい作者の心根が見えちゃって。作品の採点は高いですが、続編を手にすることはないです
2005/08/23 20:15
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「人ととの付き合いが苦手で引きこもりがちの生活をしている鳥井真一。彼のことが心配でたまらない保険会社の営業をしている坂木司。かれが持ち込む不思議をあっさりと解き明かす鳥井と司の友情」覆面作家の清々しい推理連作集。
この本は、もしかすると巻末についている著者との対談を読みながら、楽しむのがいいかもしれません。私は、二編まで読んだところで作者のことが気になってしまい、対談を軽く読んだのですが、作品のリズムというか成り立ちみたいなところがおぼろげに分かり、いっそう楽しめました。
スーパーで坂木と鳥井が買い物をしているときに出会った商品が崩れる事故。司が救った女性は、なぜか彼に喧嘩腰で食って掛かってくる。美人の彼女との出会いが、引きこもりの生活をしている鳥井の興味を引いて「夏の終わりの三重奏」。駅で見かけた盲目の美青年。声をかけた司に、ある日彼から相談が「秋の足音」。
歌舞伎の女形として売り出し中の石川助六。彼のもとに届けられる不思議な贈り物。送り主のあまりの無神経さに、真意を探って欲しいと「冬の贈り物」。駅前のロータリーで、誰かを待ち続ける10歳くらいの少年。名刺を渡した司に、子供からの電話が「春の子供」。鳥井と坂木が解決した事件の関係者の、門出を祝う「初夏のひよこ」。
どれも、大げさな事件ではありません。殺人事件などは一つもないし、謎自身も決して難しいものではありません。それで居て、あるいはだからこそ心地いいのです。ここには、根っからの悪人は一人も出てきません。引きこもり生活をしながら、コンピュータ関係の仕事をしている探偵役の鳥井真一などは、もう好青年の見本でしょう。
坂木司の鳥井への依存ぶりは、正直やりすぎの感がしないでもないですが、決してバカというわけでもなく人がいいという印象。司に牙を剥く女性 巣田香織もだが、陰のある美青年 塚田基も、歌舞伎の石川助六も、警察官の滝本と小宮のコンビも、引退した職人の木村老人も、みんな良い人です。
むしろ良過ぎるくらいだから、私はこの作品のなかでは、少しだけ毒が有る「秋の足音」が好き。この短編のテーマは、有る意味、小説全体を貫くものであるといっても良いかもしれません。人間の心の奥底にあるもの、善意の奥に仄見える小さな悪意や企み、その自然さとそれを受け容れていく鳥井の思いがいいのです。
鳥井が披露する料理というのもいいです。それに遠慮せずに舌鼓をうつ坂木や高校時代の同級生の滝本、先輩の無遠慮に気兼ねしながら、それでも楽しげに食事をする小宮も実に性格がいいのです。中でも、鳥井が作るカレーを手で食べる時の喜び、官能性といった思いもよらない発見もあります。
読んでいて、多分、ミステリ好きの人であれば誰もが北村薫の推理小説との類似を思うでしょう。加納朋子でもいい。それは寺田結美、松谷明子との対談を読めば、納得がいきます。その中で人間関係を書きたかったそうです。それは男女、友達、親子、夫婦、仕事仲間など。ともかく、北村薫『六の宮の姫君』が好きだという著者の気持ちがよく分かります。それでいて、作者の姿は上手にカーテンの向こうに隠されているのです。それも北村薫登場の時を思わせるます。
クライムクラブの一冊。このシリーズ初のソフトカバーですが、作家達が若手ということを考えれば、むしろこのスタイルのほうが合う気がします。ソフトといっても、しっかりした造本だし、ちょっとシュールな感じのカバーデザインが目を引きます。味わいのある字体もいい。閉口するのは、鳥井と坂木が余りに涙もろいこと、ここだけは行き過ぎなでしょう。
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初めての作家の作品です。
独特の雰囲気をかもし出している作品で、外資系の保険会社に勤める坂木司は、滅多なことでは外に出ない引きこもりの探偵、鳥井真一の助手をして、日常の謎を解くというスタイルの作品です。この2人の性格に異存ずる部分が大きく、それが作品の特徴でもありますが、5つの作品が連作短編になっているのも特徴です。
登場人物が次の作品にも登場してきて、次第に登場人物が増えていく感じです。
このあたりも、作者の意図があると言うことで、この作品は前から順番に読まれて、最後の作者インタビューは最後の最後にとっておきましょう(^^)
いくつかの重要なテーマもあって、それ自体をもっと掘り下げても面白かったかなって思いましたが、それすらも、あまり突っ込むことなく、さらりと感じてしまうのが、この作品の雰囲気のように思いました。
派手な殺人もなく、トリックと言うものもなく(謎解きはありますが、あまり謎解きに関してコメントするのも野暮かも)、この作品も、雰囲気を楽しむ作品かもしれません。
2004.4.28
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いわゆる『普通の会社員』坂木とひきこもり探偵の鳥井が一緒に日常の小さな事件をといていくお話。ミステリーじゃなくて、『人間の心』をめぐって書かれていて、ふと考えさせられる作品。
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友人から面白いと聞いていたので読んでみました。
引きこもりの名探偵というのが、新鮮に感じました。
解かれる謎の多くも、日常の謎で、殺人とかは出てきません。代わりに、人の優しさとかそういったものに触れている作品だと思います。
本質的に、登場する人物が皆良い人なんです。
引きこもりだったり、男性恐怖症だったり、視覚障害を抱えていたりするけれど、とても良い人ばかりで。
だからこそ逆に、「自分」というものを見つめなおしたくなるのかも。
自分は人に優しく出来ているのか。
主人公の坂木司と、探偵役となる引きこもりの鳥井真一との関係も友情というにはちょっと複雑な部分を持っています。
鳥井にとって、坂木は世界で唯一自分を必要としてくれた人間で、何よりも最優先されるべき人物。坂木が泣けば悲しくて、自分も涙を流してしまう。そして、坂木の前ではまるで子どものように振舞う時がある。
坂木は、その鳥井を支えているようで、実は鳥井に支えられている部分がある。共依存の関係に近いのかな?
坂木と鳥井は、友人であり親子であり。
でも、親子ではないから、互いの存在がいつ失われてしまうのか常に不安であったりもする。
いっそ恋人になってしまった方がお互い楽になるんじゃないかな、とか思ったりしました。「親友」という関係でいるから常にお互い不安になるんじゃないのかなあ。読みながら何度も、「いっそその枠を壊してしまえ!」と思ってしまいました(汗)
ミステリーというよりは、人間関係の方に重点が置かれていると思います。
登場する人物も個性的で面白いです。木村のおじいさんが好きv
続編があるようなので、二人の関係がこれからどう変化していくのか、興味深いです。
著者は覆面作家らしいんですけど、女性……なのかな?
キャラクターの設定とかからは女性という感じがしたんですけど、でも対談を読むと男性なのかな、という気もしてくる。うーん。
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ひきこもり探偵・鳥井と坂木君のおはなしです。奇麗事だらけのお話しだけど、全然いやみじゃないです。素敵なお話です。
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サイン入り!に惹かれて買いました。主人公に関わった人達が次の話にも出てきてなかなか楽しいです。自分も人に優しくありたい、と思います。
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時折見せる不安げな鳥井の姿に胸が締め付けられます。そしてお決まりの食卓を囲むシーンは、人の温かさを感じますね。心の繋がりというか。いいですよね、ああいうの。
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家族から受けた仕打ちと少年時代のいじめから引きこもり気味な鳥井と、そんな彼を引っ張り出そうとする唯一無二の親友坂木の話。坂木が世間で身近に起こる難問奇問を、頭の切れる鳥井の所へ持ち込み、それをにわか探偵となってバッサバッサと解決していく短編集。3部作1冊目。バッサバッサと解決する所がちょっと安易過ぎる気がするが、少しずつ変化を見せる鳥井は面白い。尊大で口の悪い所が魅力と表現される鳥井だが、あまりに度を越した口の悪さがたまに引っかかる。2部以降の変化に期待したい。
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坂木も鳥井も私に似てる部分がある。だから、頑張れそうな気がします。人との繋がりは大切、改めてそう思った。
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ひきこもり探偵シリーズ1。
自他共に認めるひきこもりの鳥井さんが坂木の持ってきた謎を嫌々ながらも解決してくれる上に、いつも後味が暖かい雰囲気で癒されマスvv
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引きこもり探偵の第一弾。作者と同じ名前の主人公"坂木 司"と引きこもりの"鳥井"が謎解きを繰り広げるお話。どうやら私は、ミステリーが好きと言いながらも人情ものに弱いようです...。
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初坂木司でデビュー作なのかな?
引きこもり探偵と称される鳥井探偵と僕(主人公?)坂木が日常の謎を解くほのぼのミステリ。なイメージ。
坂木と鳥井の距離感がっ…(不純)。
読後思わずほんわかした気持ちになってしまいます。
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癒されます。
お腹が空きます。
この本を見ながらお菓子を食べてしまう率、99%(笑)
希少価値が高いです。
是非ハードカバーでの購入を勧めたい本です。
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同じ学部の友人に借りて読みました。その前に別の友人にも勧められていたので、かなり期待して読んでしまったのがいけなかったかも。…期待が大きすぎて、拍子抜けした感じがありました。でもまた間をあけて読んだらまた印象が変わるかもな〜と思っています。
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「ひきこもりの友人」と紹介されていたのでさぞや現実的な話なのかと思ったら全くそうではなかった。むしろ幸せそうで全く深刻な物語ではなかった。