紙の本
ドラゴンズファンにはたまらない本
2016/04/20 18:47
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投稿者:よしくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
中日ドラゴンズの大エースだった今中慎二投手の書いた本です。
昔から大のドラゴンズファンだった私には内容すべてがすごくよかった。
ただ、本人は引退したくなかったというような記述があったし、星野監督が退任することになってフロントの意向か(?)、引退しなくてはいけなくなったような記述があり、残念です。
個人的にはボロボロになってもいいから現役をもっと続けてほしかったです。たとえ他球団に移籍したとしても。
たしか他球団からのオファーもあったような記述がありましたが、ご本人は中日のエースとして引退することを選んだようです。
ファンとしても今中投手の引退についてはいまだに「悔いがあります」。
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今でこそ、ベイスターズファンの私だが、実はプロ野球を見始めた頃、私はドラゴンズを応援していた。
たまたま身近な野球少年が落合博満選手の大ファンだったことも手伝って、私もドラゴンズを見るようになったのである。だが、ピッチャーというポジションに特別憧れを抱いていた私がその投球を見て一目ぼれをしてしまった選手が、この今中投手だった。たぶん、93年頃の今中投手の全盛期の頃だったと思う。なんてすごいカーブを投げるんだ!なんなんだ、この魔球は!とものすごい感動を与えられた。
しかし、ドラゴンズを見るようになったきっかけを与えてくれた落合選手が、ジャイアンツに行ってしまうと同時に、今中投手も怪我などでなかなか一軍で登板せず、気になる選手が入団したこともあって…私の興味は落合選手のかわりにチームを出されてしまった駒田徳広選手の移籍先、横浜ベイスターズに移っていったのである。
それでも私は今中投手のことを忘れてしまったわけではない。突然の引退。本人は「13年も現役生活を続けられた」と思っていたかもしれないが、私はものすごくショックだった。
「移籍してでも現役を続けること」
「ドラゴンズの今中で終わること」
どちらがファンのためであるか…非常に難しい選択である。私は選手についていくタイプなので、最終的には移籍してでも続けて欲しい人なのだが、それでもやっぱり最後まで昔のチームへの思いは捨てることができないものである。
今中さんは文章が非常にうまい。それだけでなくユーモアたっぷりの人だ。
本を開いていきなり、引退の場面。涙なくしては読むことはできない。これはおそらく自分が年を重ねて人生の難しさを思い知らされるにつれて、ますます心にずっしり響くものがあるのだろう。
それから、自分の高校時代の話になる。PLの野村投手や立浪選手が登場する。練習が嫌で嫌でサボることばかり考えていた今中少年に、昔自分がお稽古事をいやいややっていた頃を重ねて見たりする。笑いなくしては読むことはできない。
そしてプロ入り。中村武志さんや落合さんにお世話になった話。星野監督の話。武志さんと書いたレポートの話は本当におかしい。
そして、全盛期…引退するまで…。あの頃練習が大嫌いだった、今中少年はいつのまにか投げることが大好きになっていた。
でも、始まりがあれば、いつか必ず終わりがくる。これは誠に残念なことである。
この本は何度読んでも絶対飽きることがない。ドラゴンズファンだけじゃなくて、すべての野球ファンに読んでほしいものだと思う。
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元中日ドラゴンズのエース、今中慎二の野球人生です。自分は全盛期をあまり知りませんが、この本にはなぜか自然と手が伸びました。高校時代、プロ入り、10・8、故障、そして引退と当時を振り返りながら書かれた文章は、飾り気が無くていいです。
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'90年代のプロ野球界を振り返って
「記憶に残るピッチャーは誰か」と問われれば、
私はヤクルトの伊藤智仁投手と、
この作品の著者・中日の今中慎二投手を挙げます。
キレのある速球にバットはくるりと回り、
代名詞とも言える超変化球にバッターは目を見張る。
あまりに鮮烈に現れ、その怪我ゆえにあまりに早く
マウンドを下りた2人の投手のことを、ファンは決して忘れません。
怪我に悩まされたプロ晩年の心境は
暴露とも当時の首脳陣への批判と言ってもいいような
辛らつな内容です。
1度投手としての頂点を極めた選手ゆえの苦悩の日々が
率直に描かれています。
毎年多くの選手が消えていくプロ野球界の
一端を垣間見ることが出来る本です。