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紙の本
国際情勢を無視した有事法制反対論
2003/02/17 12:06
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は有事法制反対論の書である。
まず著者は、有事関連法案によって「戦争ができる国」になるとして反対論を展開している。しかし私は、そもそも「戦争もできない国」では健全な国家とは言えないと考えている。戦争をする能力を持っているということは極めて大切なことである。
例えば、永世中立国のスイスを例にとってみよう。スイスは全身ハリネズミと言われるような国防体制を布いている。だからこそ、外国からの武力行使を許さず、永世中立という孤立路線をとりながらも平和が守られているのである。まさにスイスは「戦争ができる国」なのである。
もちろん、他の諸外国、近隣諸国として中国、韓国、北朝鮮、ロシア、台湾、フィリピンなども、「戦争ができる国」であることは言うまでもないことだ。そうした国々に取り巻かれている日本だけが「戦争ができない国」でいいわけがない。
ただ、重要なことは、戦争ができても自ら戦いを求めてはならないということである。戦争は、外交的手段では解決ができず、外国の攻撃から国土と国民を守るために、やむをえず行われるものである。
著者は、「近隣諸国が日本に武力攻撃をしかけてくるような政治的・経済的・軍事的条件は百パーセントないと断言できます。…日本を攻撃して、占領してみたところで何の利益も期待できない」などと言っている。
冗談ではない。こうした認識は私にとっては信じがたい。日本は近隣諸国との領土問題を3件(北方四島、竹島、尖閣諸島)も抱えているのである。いずれの島も歴史的に日本の領土であることは疑うまでもない。こうした領土問題の存在自体が、近隣諸国にとって日本領土の占領が利益になるということの証明である。他の読者はどう思われるだろう。
さらに著者は、憲法との関連で、憲法の平和主義の理念・条文の尊重を主張している。しかし、そもそも日本国憲法というのは、GHQの占領下で、二度とアメリカに刃向かうことのないよう日本国を弱体化しておくという特別の意図で制定されたものである。そのため、現在では日本国憲法が国益を害するときも発生しているのである。日本国憲法には大変な不備があるという認識を持つことが必要であり、そのような不備な法律を守っていくという考えは大きな誤りだと考えるべきである。
最後に著者は、有事法制によって戦争に自動的に巻き込まれるとしている。しかし、それもおかしな理論である。防衛体制に不備があることの方が、外国に安易に武力行使を決断させる結果を招く。つまり、有事法制がないことの方が戦争に巻き込まれる危険があるのである。これまでの半世紀、戦争に巻き込まれなかったのは、日米安保に基づく米軍の軍事力によるのである。戦争に巻き込まれることを防ぎ、最悪巻き込まれても国土と国民を守り抜くのが有事法制である。
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