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hontoレビュー

神様のボート(新潮文庫)

神様のボート みんなのレビュー

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みんなのレビュー697件

みんなの評価4.1

評価内訳

697 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

素敵なお話

2006/10/10 22:28

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空の青 - この投稿者のレビュー一覧を見る

素敵なお話です。まるで絵本のような。表現もとても好きで、まるでことばのひとつひとつが私の体の中に染み渡るような感覚を読んでいて感じました。愛することの本質が描かれていますが、読むひとによってはこの物語の「愛」に少しこわさを感じるかもしれませんが、それがこの物語の素敵なところであると思います。

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紙の本

苦しい…狂おしい。

2004/12/29 00:19

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いわさち - この投稿者のレビュー一覧を見る

江国さんの作品の中で一番好きな本。
葉子と草子の母娘は旅をしている。
パパが迎えに来てくれると信じて。

とにかくおしゃれだ。
母・葉子のセリフや生活、考え方。
娘・草子からみたら矛盾だらけかもしれないが、
こういう人がいてもいいと思う。

葉子は老けない。外見ではなく心が。
パパは迎えに来てくれると信じている。
草子は成長する。外見も心も。
葉子の考えとは違う、一人の人間となる。

この作品は葉子と草子がかわるがわる語るスタイルで進んでいく。
見事だ。草子の気持ちの移り変わりが鮮明に映し出されている。
この作品を初めて読んだとき、私は高校1年だった。
ラストの草子と同じ年齢。学校のにおいや空気、朝礼…まぶたに浮かんできた。
だから彼女のリアルに生きるって言うのには共感した。
私も常々母親に対して思っていたことだから。

私の年齢は草子にちかいのでまだ草子の気持ちしかわからない。
10年、20年後に読んだときにまた違った空気を読み取ることができるだろう。
これから先長くつきあっていける本であることは間違いない。

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紙の本

いつまでも子供のような

2016/01/12 18:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゆう - この投稿者のレビュー一覧を見る

現実にはシングルマザーの苦労話になるのだろう。人からしたらくだらないロクデナシをいつまでも待っている母親とうつる。それでも愛する人を心の中に思い続け生きていくこと。奇跡のような愛の持続性に驚くとともにそこから出て行こうとする娘の姿が雄々しく、そして悲しい。

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紙の本

狂おしいほどの愛

2004/03/21 01:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yuri - この投稿者のレビュー一覧を見る

 消えない愛、心の中にずっと残る愛。忘れられない恋をしたことがある人にとっては、母・葉子の気持ちが痛いほど伝わる話である。
 
 母・葉子と娘・草子は「神様のボート」に乗って、街から街へ引っ越しを繰り返す。心の中に草子の父であり、葉子の恋人の“パパ”が現れるのを信じて。いつか現れる、必ず戻ってくると半ば狂気のように信じ続ける葉子の孤独な悲しみが切ないくらい伝わってくるような小説だ。
母と娘の二人のそれぞれの視点から物語がすすんでいく。母、葉子が語る場面では大人びた豊かな表現方法が使われているが、一方、娘が語る場面で小学生のような文章に突然変わる。母から見た景色と娘から見た景色がみごとに絡み合い、物語を一層豊かで面白みのあるものにしている。かつて、「冷静と情熱のあいだ」で辻仁成とタッグを組んで、女性からの視点をものの見事に表現した江国香織の作品を思い出させる。今回はひとつの小説の中に母から、娘からの二つの視点で同じ場面を描くというむずかしい方法をとり、1人二役を見事に演じる。江国氏のこの主人公を二人置いて進められる小説方法は、ホモの夫と精神病を持つ妻の話「きらきらひかる」でもとられており、一種の彼女の特徴といえよう。かなり独特で面白みのある作法だ。
 
 好きな人がずっと心の中にいて、それを信じて生きていくことのすばらしさ、大切さを教えられた気分になった。現在では携帯電話が発達し、簡単にコミュニケーションができ、Easyな恋愛も多い中、1人を愛していくこと、「純愛」のすばらしさをしみじみ実感できる作品でもあろう。

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紙の本

狂おしいほどの信頼。

2003/08/11 10:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 私が友人に江国さんの本を勧めるとしたら、まずは本書と「きらきらひかる」だ。この二冊は本当に素晴らしいと思っている。

 本書は、骨ごととろける恋をした母親・葉子と、骨ごととろける恋をした結果この世に産声を高らかにあげた娘・草子の、それぞれの視点から語られる。
 江国さんはしばしば、そういうふうに全く別人の視点から語る作品を発表する。そしてその事実は私の感嘆を誘う。たとえば夏目漱石「我輩は猫である」は猫の視点から色々な物事を巧妙に語っている。他の何かの立場に立って物事を見る柔軟性や器用さは、羨ましい。そして頑固な私の頭を緩やかに揉んでくれる作家は、いまのところ江国さんだけである。探せばもっといるのだろうけれど。

 いつかきっと君と草子を見つけ出す、と言って葉子の前から姿を消した男。それを純粋に信じて待っていられるのは愛情を越えた何かを秘めているからだろうか。小説は一つの物語と割り切ればそれまでだが、敢えて現実と比較してみよう。果たして葉子のようにただひたすら彼を信じて流浪できるだろうか?
 私にはできない。そこまで信じるには、甚大な愛情が無ければ無理だろうと考えているからである(そこまで愛情を注いだ経験がないのだ)。そしてそこまで純粋に誰かを信じるには、慎重過ぎるかもしれない。未来の事をあれこれ思索して、結局は諦めてしまうだろう。
 その土地に馴染んではいけない、と言って転々とする姿は少しばかり痛々しい。草子だって成長の途上であるし、草子くらいの年齢では友人というものは刺激を与え合い、人間関係を知るきっかけだろう。友達になったと思えば転校するし、その年齢だと手紙も電話も心許無い。繋がったばかりの友情はぷつりと途切れてしまうのは必然と言えるだろう。それも気の毒だ。
 やがて思春期を迎え、色々なことが明確になりそして自分の考えをきちんと持てる年齢に達した時、葉子の彼に対する信頼や行動に疑問を抱く。葉子は理想に生き草子は現実に生きる。哀しい擦れ違いである…。
 途中、私はこんな事を考えた。彼は戻って来ないのではないのかと。その考えがふと現れた時、自分が草子側の人間だと思えて複雑な心境だった。

 どちらの気持ちも痛い程伝わってくる。二人は神様のボートに乗ってしまったのだから、特定の土地に馴染んではいけない。だから草子は、ボートをおりてしまった。母親を残して…。

 クライマックスは二つの意見に分かれる。友人とその意見を交換するのは一つの楽しみだった。私は葉子が終に自身の命を絶ってしまったのではと思ったのだが、友人は狂ってしまったのではないかと思ったらしい。両方、間違ってはいないと思う。結末は、読者次第である。

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紙の本

あまりの寂しさに涙が流れる

2003/01/25 11:45

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投稿者:はる2 - この投稿者のレビュー一覧を見る

愛したあの人を信じる母親葉子、あの人との子供の草子。私はあの人のいない場所になじむ訳にはいかないと「神様のボート」に乗ってしまった葉子は、草子と共に「旅がらす」となって引越しを繰り返す。しかし草子の成長はそんな葉子の考えの非現実さや狂気を浮き彫りにしていく。草子は葉子にとって神様が与えてくれた三つ目の宝物。そして一番大切な宝物。そんな草子に非現実を指摘され、それでも考えを変えない葉子は草子を手放してまでも狂気の世界を生きようとする。その描写は葉子の孤独を見せ付けて、あまりにも寂しすぎ涙が流れました。江國先生の才能を見せ付けられたこの作品。江國先生自身あとがきで「今までに私の書いたもののうち、いちばん危険な小説」とおっしゃっている通り、江國作品の中で最も危険な小説だと思います。
ただ私は最期にあの人と再会する葉子を見たくはなかった。その場面こそは葉子の非現実を現実としてしまう場面なのですが、どうして非現実のままでは、狂気の世界を生きているままではいけないのでしょうか。あのストーリー展開は江國先生の優しさなのでしょうか。狂気のままで終わらせて欲しかった、それは私の好みなのですが、ただ一つこの作品に注文を付けたいのはそこだけです。しかし江國先生の世界を堪能したいのならば、この作品は読まなくてはいけません。「いちばん危険な小説」。これを知らずして生きるのは勿体無い、そんな物語です。

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紙の本

泣けました…。

2003/01/09 15:10

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投稿者:たあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

江國さんの本の中でも特に好きな作品。こんなに一途に一人の人を思い続ける事って出来るのかしら?って思いながらもストーリーに引き込まれて、ラストは思わず涙しちゃいました。こんな風に大好きな人に会えたときの感動を味わってみたい。

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紙の本

言葉の浸透圧

2002/07/04 14:00

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投稿者:ダイス - この投稿者のレビュー一覧を見る

一度ハードカバーで読んだことがあったのだけど、なにか海岸をよく歩く小説だなとしか覚えてなくて、文庫になったついでに買ってみた。やっぱり海岸歩いてた(笑)、それだけじゃなかったけど。僕の後に読んだ彼女は草子ちゃんのほうに肩入れしてて、「あんなに引越しばかりでかわいそう」と言っていた。なるほどね、そういう解釈もあるのかぁと素直に嬉しかったのだけど、僕はといえば葉子さんのほうで、ああいう生き方を素敵だと思う一方で、これはこの作品だから成立する条件で、もし現実であっても、それが人事なら「素敵だね」といえるのだろうけど。反実仮想の世界で。とかなんとか言いながら、やっぱりこの人の本を読むのは言葉の綺麗さが温い風呂に浸かってる皮膚に浸透する感じを受けたいからなんだと。


『上記のような書評やってます。出来立てですが。neue Geschichte』

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紙の本

一途さって。

2002/09/09 00:59

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投稿者:yuuko - この投稿者のレビュー一覧を見る

江国さんも自分で評している通り、常識ではあまり起こらないお話のような気がします。
桃井先生という心を満たす夫がいながら、情熱的な恋をする。
女の人って心の安定や、経済的な安定を望む反面、身も心も焦がすような刹那的な恋愛にもあこがれる面があって、もう見事にこの作品では表現しています。
自分の心のままに恋をして、子供を生んで、彼を待って、引越しを繰り返して、子供にさえ彼を投影して見てしまう。
自分の心のままに行動し、彼だけが生きがいになってしまっている。
ちょっと重い感じがして苦しかったのだけど、読み終わったときに心がほっとするのは、きっと最後にこの主人公が、本当は現実をきちんと解っている上での狂気だったからなのでしょう。
恋をして一番いい頃のままにとどまっていたいという気持ちが充分にわかるからこそ、この本に感情移入するのでしょう。
自由に好きな人のことを信じ、心の全てを好きな事だけにとらわれ、馴染む事によって生じるわずらわしさから逃れながら生きていく事は、人によっては寂しいと感じるのでしょうが、私にはうらやましい限りの行為です。
江国さんは自由な人だと思います。
自由だからこそ、人が変わってると評する事をさらりと書いてのけるのだと思います。平等な心を持っておられるんだと思います。

狂気でも何でも、こういう人の愛し方ができる事に共感する事ができます。
ちょっと自分勝手だけどね。

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紙の本

恋人を信じると言うこと

2002/07/21 11:46

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投稿者:水素 - この投稿者のレビュー一覧を見る

あの恋を後悔したことはない。彼には奥さんがいて私も結婚していたけれど、私は彼の子供を産んだ。「必ず戻る」と姿を消した彼を追い、私は全てを捨てて旅に出た。
…江国香織さんはあとがきで「これは狂気の物語。今まで書いた小説の中で最も危険」といっておられました。そのとおり。恋人とは言え他人をここまで信じてしまうなんて怖すぎます。江国さんは文体が柔らかいのでその辺の怖さがオブラートに包まれているのですが、現実に…こういう女性がいたら…と思うとかなり怖いんじゃないかと思います。でも、それが人を愛すると言うことなのでしょうか。
表紙ですが、この写真はホンマタカシ氏です。個人的には、儚い感じのする単行本の安西水丸さんのほうが良かったんですが…ここは人の好みによるところでしょうか。

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紙の本

愛を信じたいすべての人に

2002/07/17 02:34

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投稿者:永遠のかけら - この投稿者のレビュー一覧を見る

「小さな、しずかな物語ですが、これは狂気の物語です」と、江國香織は言う。そう、これは狂気の物語だ。信じることを疑わず、静かに、けれど狂おしいほどにたったひとりを想う葉子。その想いはあまりにもまっすぐで、眩しく、そしてときに怖さすらも覚える。それは恐らく、誰もがそんな風に誰かを愛したいと思いながらも、不安や常識によって自分のつくり出した「現実」の名のもとに愛し続けることを諦めてしまうからかもしれない。
 愛や恋という言葉は巷に溢れ、数え切れない出会いと別れが繰り返されている。その中に、葉子ほどの愛は一体どれほどあるのだろうか…。きっと出会うことすら叶わない人の方が多いに違いない。もちろん、葉子は「男運がいい」。そして幸運にも、葉子には草子がいた。たったひとつでも確かなものが存在するのは、少なからず葉子の想いの強さを増すきっかけになったはずだ。信じることの難しさを、ごく自然のこととして受け止められたのも、草子を通して「あの人」を見続けることができたからかもしれない。しかし、草子がたとえいなかったとしても、葉子は神様のボートに乗ることを選んでいたと信じたい。そして、たとえ一瞬でも、そんな葉子を信じることができる人ならば、まだ神様のボートに乗る可能性はゼロではないのではないだろうか。

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紙の本

絶対的な恋

2002/07/09 22:15

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投稿者:すいか - この投稿者のレビュー一覧を見る

葉子は娘の草子と引っ越しをくり返しながら、旅のような生活を送っている。葉子は結婚していたが、「あの人」と出会い、恋をして、草子が生まれた。草子は父の事を葉子の話でしか知らない。葉子が引っ越しを続けるのは、別れた時「あの人」が「どこに行ってもきっと葉子ちゃんを捜し出すよ」と言ったから。1つの場所に落ち着いてなじんでしまうと、「あの人」とはもう会えない様な気がしたから。夢のような世界を生きている母と、だんだんと現実を生きたいと思いはじめる娘。葉子はどうして「あの人」の言葉をそんなにも信じられたのだろうか。草子の存在があったからこそ、「あの人」の存在を身近に感じられたのだろう。葉子のような「あの人」に対する絶対的な思いは、きっと誰にでも抱けるものではないだろう。そんな恋にめぐりあってしまった葉子は、幸せとも思えるし、悲しいとも思えた。

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無垢と狂気

2009/03/06 10:16

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

久しぶりに読み返したのだけれど、
きれいな文章<わかりやすく書かれたきれいな表現>には
感動してしまう。
比喩も擬態語も会話も描写も、なにもかもが美しかった。
私はこの人の書く文章が本当に好きだ。
江國香織の本を読み始めるときは
すてきなものを選び取るとき・・・・・・。たとえば
「キルフェボン」みたいな美味しいケーキ屋さんで
ガラスケースの中からとびきりの一個を選ぶときに
似ている。あれとおなじくらい、わくわくする。
そんなときめきを与えてくれる。

物語はある母娘の、あてどもない旅。
母・葉子の、『のっぴきならない恋愛事情』により
娘・草子と共にふたりは『神様のボート』にのってしまったのだ。
消えてしまった『あのひと』(草子の父親)の、一言を信じて
少女のようにひたむきに待ち続ける葉子の、
『しずかな狂気』をはらんだ恋。
娘の草子はだんだんと成長していき
やがて一緒に父を待つことができなくなる。
「ごめんなさい。ママの世界にずっと住んでいられなくて。」
いつの間にか母親よりもしっかりして
地に足をつけた考えを持つようになった草子のこのせりふに
心がふるえて泣いてしまった。

葉子はひとつの場所に留まって『あのひと』を待つ恐怖に耐えられず、
何年かごとに引越しを繰り返す。
いちずという狂気を、これ以上ないくらいの無垢さで持ちながら。
恋を、孵らないかもしれない恋の卵を温めずにはいられない。
色々な形があるだろうけれど、いずれにせよ
娘はいつか必ず母親を卒業していく。
ある面は母以上におとなになり、ある面は母を永遠に超えられない。
そんなギャップを抱えながら。
揺れ動く思春期の娘の心と
いつまでも若くはいられない、やはり揺れ動く思秋期の母の気持ちが
それぞれ見事に切り取られていて
せつないくらいに伝わってくるものがある。

物語は葉子の視点からも草子の視点からも読めるようになっているので
読者は、ふたりぶんの思いを抱きながら、いつの間にか
『神様のボート』に一緒にのせられて漂流することになる。
いったい神様はどんなシナリオを用意してくれているのだろうかと
水のうえをさまよいながら、どきどきはらはらの旅がはじまってしまうのだ。

おもったことがふたつある。
狂気は無垢の中に存在するのかもしれない。
無垢だからこそ狂気をもてるのかもしれない。
『狂気』だなんてちょっと危険な言葉を多用しているけれど
葉子のもつ狂気は、ストーカー的な粘着質なものとは別格である。
もっと透明な、水のようなひたひたした、狂気。
それは葉子が水のようにピュアだからなのか。
そして、母と娘という関係性に含まれる不思議のこと。

少し立て込んだ事情でもさらさらした手触りで描けるのは
やはり江國マジックなのだろう。
読み終えて本を閉じると
華やかなのにさりげない、江國さん愛用(?)のエスカーダの香りが
ふわっと思い起こされた。

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紙の本

なぜこの本を買ったんだっけ??

2013/06/23 23:35

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BACO - この投稿者のレビュー一覧を見る

惹きつけられるところ皆無。
面白みがない、共感度ゼロ。

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2004/10/05 00:33

投稿元:ブクログ

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