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紙の本
無機質だが絵画的でもある不思議な風景写真集!
2002/08/22 22:15
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投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
清野賀子、初の写真集である。彼女はぼくが「マリ・クレール」の編集者時代の若い同僚、本書に「解説」を寄せている今枝麻子(翻訳家)もそうだった。清野賀子の写真には、人間や人間臭いものは一切出てこない。何の変哲もない風景と建物だけである。俗な言い方をすれば、細菌爆弾で死滅した後の日本、そんなイメージすら頭を掠めるが、そのような強いメッセージ性や物語はない。むしろ、そっけないほど無機質な世界、それが清野賀子の写真なのだ。
ならばモノクロームで撮り、ダブルトーンなり四色で刷った方がより効果が出そうな気もするが、彼女の「世界」は、やはりカラー以外には考えられない。対象物はすべて無機質だが、一方では、妙に絵画的でもあるからだ。ここで言う「絵画的」とは、あくまでも清野賀子個人が「美・醜」と感じ取った何かであって、普遍的なものではない。
いまの日本には、あるアングルで切り取ると意味が色濃く出たり、逆に、無意味に映る風物に溢れている。つまり、時代のテンポが速いこともあって、有用と思われたものがたちまち無用になって捨てられ、周辺の景色が変われば全体のバランスも崩れ、建物であれ風景であれ「美」から「醜」に、あるいはその逆になることもしばしばある。
おそらく清野賀子は、いつの頃からか、結果として、そうした取り残された物たちに魅かれるようになったのではないか。アメリカ南部を淡々と記録したウォーカー・エヴァンス、一九七〇年代後半、カラー写真で新たな表現を拓いたウィリアム・エグルストン(一九三八〜)らのスピリットとの類似性を指摘する向きもいるが、ぼくとしては、彼女の全六〇点、ワン&オンリーと思う。
一九九九年、東京銀座のギャラリー小柳で、彼女の初の個展『Emotional Imprintings』があった。その時は体調不良で見損なったが、今度機会があったら、プリント作品をじっくり見たいとの気にもなった。
買いたい人は、発行・発売の「オシリス」電話 03-5485-0091 FAX 03-5485-0993eメール mailosiris@nifty.comに直接注文して欲しい。
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