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紙の本
ハイスクール1968
2004/03/03 21:15
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GG - この投稿者のレビュー一覧を見る
1968年という特別な年の存在に気づいたのは70年代末、私が高校生のときのことだ。当時熱心に読んでいたSFにそのヒントがあったような気がするが、あるいは庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』に触発されたのかもしれない。その頃に「宝島」掲載の坂本龍一のインタビューで新宿高校全共闘の記事を読んだからかもしれないが、記憶はあやふやだ。
若者文化のメルクマール、1968年を描いた作品として本書の価値は大きい。60年代末の学生運動というとき、多くの書物は当時の大学生ないし大学院生というそのときの主役世代の者によって記されているが、本書は違う。68年に都立高校生だった著者が、当時の目線にこだわってあの時代を再現しているところが、類書と違った瑞々しさを本作品に与えている。
もちろん、これは吸血鬼ホラーなので、上のような読み方は一部マニアにしか通用しないが、作者の描きたかったのは、なによりあの68年の空気(と、あとから来た私が言うのは変なのだけれど)なのは間違いない。巻末の山田正紀解説もそれをハッキリ指摘している。
そう、これは一部の読者にだけ向けられた間口の狭い作品なのだ。「現認(レポ)」「説得(オルグ)」「過渡的綱領(マヌーバー)」「同盟(パルタイ)」「武闘(ゲヴァルト)」という各章の名前が、何よりそれを物語っている。こういうワーディングの経験者たちに向けた、あえて言ってしまえば総括文書なのである。
ダディー・グース『少年レボリューション』の副読本として、あるいは笠井潔『バイバイ、エンジェル』の主題の変奏曲として本書を強く推す。そしてもちろん、四方田犬彦『ハイスクール1968』の異本としても。
紙の本
押井守が書きたいことを書いている。
2004/02/03 10:25
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投稿者:とおりすがり - この投稿者のレビュー一覧を見る
パトレイバー2がそうであったように、これはBlood the last vampireという舞台を借りた、本質的にはその舞台を必要としない物語だ。押井守が書きたいことを書いている。
実際この話の大部分は教養的な語りで占められ、吸血鬼(そして恐らくは過剰な教養さえも)は象徴的な意味しか持たない。
おもしろくはあったが、もう少しどうにかならなかったかと思わないでもない。
紙の本
少女と少年のすれ違い
2003/06/10 10:32
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投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
メディアMIXものだが、とっても硬派な構成。死体論、人間と動物の差異、人類発祥の謎、進化の秘密と学生運動etc.の議論たっぷり。これはこれで理屈っぽくて面白い(既成論のツギハギじゃないか!とのそしりはあるかも)。内容が男臭いので、美少女と吸血鬼のバトルアクションを期待して読むとめんくらうかもしれない。美少女の存在感が薄いからなあ。まさに、妖しき影。少女はつねに、少年には理解できぬ不可思議な存在なのだ。ましてや普通の少女ではない「サヤ」においてをや。キャラ中では食えない男、後藤田のおっさんがいい味出している。
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うらみつらみ
2002/07/26 16:06
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投稿者:猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自ら企画に参加した美少女剣戟対吸血鬼アクションアニメの小説化だが、作者のこだわりはもっぱら学生運動のお話。自らの経験に基づいた実話も多いという。小説というよりはうらみつらみの発露と言える内容ではありますが、吸血鬼の解釈に関するトンでもない設定などあって、SFとしてもわりと楽しめました。
紙の本
面白い、けど、もったいない
2002/10/14 18:36
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投稿者:kenji - この投稿者のレビュー一覧を見る
吸血鬼ネタの小説は数多くあるが、『Blood the last vampire』の設定はその中でも面白い。1969年の学生運動真っ只中の時代を舞台に少年活動家を主人公に話は進む。事件に絡む謎の美少女『沙夜』。
興味深いのはストーリーのあちらこちらにその当時の少年活動家の心理(学生活動家の心理とはまた違う)や活動の描写がある点だ。各章もそれに合わせたタイトルで構成されている。
この手の小説でよくある吸血鬼の起源説には他の吸血鬼本の焼き直しくさい部分も多い。進化論・哲学・政治論・宗教論をベースに話は進むが、主人公はほとんど話についていけていない。が、これは単に作者が吸血鬼より当時の少年活動家の無知について書きたかったのかもしれない。『結局、お前らは一部の革命家のムーブメントにあいのりしただけだったんだよね、主体性・知識ゼロだよね、だからあの悲劇が起きたんだよね』、という痛烈な批判(自己批判?)なのであろうか。『総括』というエピローグで30年後の『おっさん』になった主人公が当時と変わらぬ『沙夜』に出会う—。自分はこんなに変わってしまったのに…。
残念なのは、話が広がりを見せ始めた部分で終わってしまった感があるところだ。非常に残念。