紙の本
フセイン、討つべし!
2003/02/25 15:51
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イラク研究家の酒井啓子さんが湾岸戦争を軸にイラクが
今日まで歩んできた歴史を丁寧に分かりやすく解説した
好著である。この本の良いところは、地域研究の専門家に
ありがちな、対象への異常なのめりこみが無くイラクとの
ほどよい距離を酒井さんが保ち続けている事である。
「市民の目線」「民衆の目線」と称して現地人を著しく
美化し誉めそやして、それと反比例するかのように
豊かなアメリカ、豊かな先進国を「民衆の敵」「市民の
敵」として排撃するサヨクにありがちな色眼鏡が本書には
全く無い。アメリカについての記述もバランスが取れて
おり、ことイラクや中東に関して言えば、罪が重いのは
英国でありフランスであってアメリカは中東との関与が
薄いとはっきりと指摘しているところには好感が持てる。
そして不勉強な反戦団体が「アメリカのイラク攻撃の狙いは
イラクの石油利権だ」という主張も「冷静に考えれば根拠が
無い話」だと明確に排除している。そして何よりも悪いのは
サダム・フセインであって彼のような暴君に対するイラク
国民の不満は暴発寸前であるとも酒井さんは指摘している。
こういう冷静な分析者の著作が広く出回ることは、日本に
ありがちなベトナム反戦平和運動以来の「反米運動」に
一矢を報いる意味でも意義深い事だと思われる。お勧めの
一品です。
紙の本
爆撃—その先と後にあるもの
2002/09/16 21:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YOKAN - この投稿者のレビュー一覧を見る
2002年9月現在、国際政治はイラクに対するアメリカの攻撃準備をめぐって揺れ動いている。そもそも、中東の小国・イラクは、なぜ巨大な風車のアメリカと対立する事になったのか…。本書は、その起源をイギリスによる植民地支配の時代までさかのぼりながら、徐々に解き明かしてゆく。
そもそも、イラクという国は、中東の多くの国々と同じように、列強の無理のある線引きから生まれた国だ。イギリスからの独立から出来たイラク王国は、王族もイギリスに指名されたサウジアラビアの王族を引っ張ってきたものだったのである。こうした人為的な国家であるイラクが生き残ってきたのには、アメリカの支援があり、なにより石油の利権分配があった。そういう意味では、イラクの歩んできた道は中東諸国の多くと同じだ。だが、なぜフセインはその力の根源のアメリカと対立し続けるのか…。本書を踏まえることで、読者がメディアから離れてイラクへの攻撃を考える、良いきっかけとなる本である。
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学部に2年生の時のゼミで読みました。内容はイラクのフセイン政権とアメリカの関係。まあ、読み物ですね。
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フセインとアメリカの関係が書かれている。アメリカの国益を追求する姿勢はすさまじい。敵に回したら怖いなと思った。
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イラク戦争直前までのイラク情勢について、国際関係を中心に描いている。親しんでいる情報が中心なので読みやすいが、それほど深い考察もない。
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適当に手にとったこの一冊…
イランイラク戦争、湾岸戦争、サダムフセイン、アメリカ
この時期の概略がわかりやすく記されていて有意義だった
特にクルド人に対する化学兵器使用は知らなかったので知れてよかったなー
あと経済制裁と食糧のための石油のところには心がいたんだ
またフセイン氏がしてきたことも概略掴めた
そしてアメリカの身勝手さに気づいた
今度のアフリカでもそうだけど英米が積極的に介入するのはこの時期からあったんだなーと実感
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[ 内容 ]
湾岸戦争の敗北とその後の封じ込めを経て、いまなお独裁をつづけるサダム・フセイン。事あるごとにイラク陰謀論をとなえ、政権転覆の機会をうかがうアメリカ。
その狭間で翻弄されるイラク民衆は、どう生きてきたのか。
現代イラクの軌跡をたどりながら、超大国アメリカが中東世界に作り出した矛盾の数々をえがきだす。
[ 目次 ]
「テロの背後にはイラクがいる」
登場―反米・反帝国主義に向かうイラク
出会い―石油と革命と戦争と
サダム・フセインの統治術
湾岸戦争
経済制裁の下で生きる
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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現代の途上国と呼ばれる諸国は少なからず冷戦期の影響を反映し成り立っている。世界が東西陣営のチェス盤と化した時代にあっては、そこに住む一般大衆の意思など酌まれる事なくゲームが進んでゆく。イラクもその例外ではなかった。
私たちが残した傷跡が未だに彼らを苦しめているとするならば、この生活に何の意味があるのだろうか。
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(2003.05.17読了)(2003.04.14購入)
【目次】
「テロの背後にはイラクがいる」
登場ー反米・反帝国主義に向かうイラク
出会いー石油と革命と戦争と
サダム・フセインの統治術
湾岸戦争
経済制裁の下で生きる
(「BOOK」データベースより)amazon
湾岸戦争の敗北とその後の封じ込めを経て、いまなお独裁をつづけるサダム・フセイン。事あるごとにイラク陰謀論をとなえ、政権転覆の機会をうかがうアメリカ。その狭間で翻弄されるイラク民衆は、どう生きてきたのか。現代イラクの軌跡をたどりながら、超大国アメリカが中東世界に作り出した矛盾の数々をえがきだす。
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「テロの背後にはイラクがいる」
登場―反米・反帝国主義に向かうイラク
出会い―石油と革命と戦争と
サダム・フセインの統治術
湾岸戦争
経済制裁の下で生きる
著者:酒井啓子(1959-、国際政治学者)
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312
(『世界史読書案内』津野田興一著 の紹介より)
「イスラームは今や宗教人口12億を数え、世界全体でも信者が急増中である。イスラームを「よく知らない」ではスあされない時代に突入している。そしてぼくたちの「豊かな」この生活は、西アジアからの石油によって支えられている。重要でありながらも一般によく知られていないイラクに対して、日本は自衛隊を派遣した。それは、アメリカのブッシュ政権との関係から導かれた外交的判断の帰結のだったようだったが、もしかしたらそれは、本当に助を求めているイラクの人々の姿を、直視したり想像したりする視点が日本には欠如していた結果なのかもしれない。イラクを知ろう。」
湾岸戦争の敗北とその後の封じ込めを経て、いまなお独裁をつづけるサダム・フセイン。事あるごとにイラク陰謀論をとなえ、政権転覆の機会をうかがうアメリカ。その狭間で翻弄されるイラク民衆は、どう生きてきたのか。現代イラクの軌跡をたどりながら、超大国アメリカが中東世界に作り出した矛盾の数々をえがきだす。
目次
「テロの背後にはイラクがいる」
登場―反米・反帝国主義に向かうイラク
出会い―石油と革命と戦争と
サダム・フセインの統治術
湾岸戦争
経済制裁の下で生きる