サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

愛のゆくえ みんなのレビュー

文庫

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー46件

みんなの評価3.6

評価内訳

46 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

懐古の意味

2003/06/06 00:53

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:深爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「愛のゆくえ」というメロドラマのようなタイトルにはちょっと首をかしげたくなる、ある「堕胎」を題材にした物語。世界にひとつしかない特殊な「図書館」に勤める(ていうか引きこもっている)主人公が、そこで一人の美しい女性と出会い、ほどなく女性は妊娠し、いっしょに堕胎のためメキシコに行き、帰ってきたら図書館は…という、ロード・ムービーっぽい展開も感じさせるストーリーは、シンプルで、どことなくファンタジックです。
ちょっと「歴史上の人物」って感じになってきたリチャード・ブローティガンが、いまのところ唯一、文庫で読める作品だそうです。

つかみどころのないふわふわした軽い文体で、文明社会に対する乾いたニヒリズムとなおかつ気の利いたユーモアに溢れていて、さらっとしています。ゆえに初期の村上春樹作品を彷彿とさせるところもあります。
ただ軽いだけでなく、奇妙な「図書館」にしても、「堕胎」にしても、あるいは「メキシコ」にしても、ある種のメタファーであって、ある種のメッセージが含まれた小説であるようです。

ロード・ムービーっぽい展開からもそうですが、70年代初頭に出版されたこの小説からは、「イージー・ライダー」「真夜中のカーボーイ」等のアメリカン・ニュー・シネマが象徴するような、いわゆる70年代的な空気を感じ取ることができます。もう60年代の幻想からは脱皮しなければ。ラストの「新しい人生」の章は、新時代に向けてのメッセージとも受け取れます。でもなんだか釈然としないものも残ってしまいます。

著者がこの小説で60年代的なドロップアウト的生き方の終焉を示唆しているとするならば、著者自身が必ずしもそれを全面的に受容したものでないと思えるのです。高橋源一郎氏による巻末の解説をそのまま引用すると、「いま、ブローティガンの他の作品と共に、『愛のゆくえ』を読み返すと、図書館を出て、広い外の世界へ脱出してゆく主人公の心が、それほど晴れやかでないことに僕たちは気づく。図書館の中で「引きこもり」をしていた時の落ち着きを、彼は失っているのである」。同感です。

いま本当にこの小説のような図書館(さまざまな人々が自分の書いた世界にたった一冊しかない本を納めに来る場所)があって、そこを守っている(人々の救われない魂を鎮めている)としたならば、それはむしろ意義のある仕事と肯定的に把握されるはずです。時代は変わり、作品の持つ意味合いも変わってきたといえそうです。

もちろん、戦争(的なもの)へのアンチテーゼは今も昔も変わっていません。それをキーワードに今昔を括ることもできるかもしれません。でも私たちはかつてのように体制あるいは文明社会からドロップアウトするかというと、そんなことはなくて、現実を生きなければならない時代の私たちは、ただ現実を生きます。
では私たちが、「再評価」とかなんとかいって、それでも当時を懐古的に振り返りたがるのはなぜでしょう? せめてこの小説にあるような、無垢な「ファンタジー」を感じたいからでしょうか。

登場人物は愛すべき人々ばかりです。愛すべきパーソナリティだったであろう著者の、しかし孤独だったその生涯が偲ばれます。そしていつの時代も私たちは理想と現実との間でもどかしく彷徨い、そんな私たちもいつだって愛すべき存在であったはずです。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

サンフランシスコの風を感じる一冊

2004/01/13 18:09

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:pon-michael - この投稿者のレビュー一覧を見る

 原題は「The Abortion: An Historical Romance 1966」、直訳すると「堕胎 - 歴史的ロマンス1966年」。
 主人公「わたし」は、アメリカそのものという美しい図書館に、住み込み館員として働く31歳。もう3年も外には出ていない。この図書館は、いわゆる普通の図書館ではない。そこに置いてある本は、孤独で無名な「作家」たちによるものであり、また、永遠に誰にも読まれることのないかもしれないものである。この図書館に自分の大切な思いを綴った本を置きにくる人々を気持ちよく受け入れることが「わたし」の仕事だ。ある晩、本を持ってやってきた美しい娘ヴァイダと「わたし」は恋に落ちる…。
 世界の果てにあるような図書館、「生命」という意味の名を持つヴァイダ(Vida)、彼女の妊娠中絶…、本書には「生」と「死」という大きなテーマが一貫して流れている。そして、この世の果ての図書館で働く「わたし」は、既に使い古された言葉で言うならば、紛れもなく「癒し」の存在である。「わたし」を「引きこもり」とみなすこともできるけれど、その存在価値や社会的な役割は十分にあるように私には思えた。
 また、本を愛する人間にとって、この図書館での仕事はとても興味を惹くものである。
 読了後、堕胎という暗くなりがちなテーマにしては、一陣の風が吹き抜けていくような爽やかさが残った。
 ただ、ヴァイダの外見の美しさばかりが強調されているため、その内面については疑問が残る。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2004/10/04 22:48

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/01/07 00:43

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/12/13 12:49

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2006/01/05 09:25

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/09/08 23:26

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/01/18 22:14

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/02/28 22:10

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/07/14 11:00

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/01/09 18:47

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/01/14 20:24

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/06/14 03:03

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/09/03 23:03

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/08/21 14:28

投稿元:ブクログ

レビューを見る

46 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。