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紙の本
人生とは何かを語るゴルフ小説
2003/04/01 01:21
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投稿者:露地温 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロースクールに入学したチャールズ・ハンターは、他のロースクールの学生同様に夏休みに法律事務所で実習生として働くことになる。そこで与えられた仕事は、その事務所の共同経営者であり、アマチュア・ゴルフ界の偉大なゴルファーだった今は亡きボビー・ジョーンズの古い書類整理だった。古い書類整理から得られたのは、偉大なゴルファーの足跡ではなく、ありふれた法律資料の整理でしかないように最初は思えたが、その中から誰にも知られなかった一人の偉大なゴルファーの記録が見つかった。その幻のゴルファー、ボウレガード・ステッドマンが知られていなかったのは、彼がその才能を見せる前に殺人犯として追われたからだった。
物語はロースクールの学生チャーリーの回想として書かれる。チャーリーが古い書類整理でステッドマンという幻のゴルファーが殺人犯として追われたこと、彼を信じたボビー・ジョーンズとの友情、そしてその結果ステッドマンの記録に残されていない偉大なスコアの数々が明らかになってくる。
果たしてステッドマンは本当に殺人犯だったのか。ジョーンズはどうして彼を信じ助けたのか。ステッドマンは逃亡生活を続けながら、ゴルフを続け、一体どんなスコアを残したのか。そうしたことがだんだんに明らかになってくる。
殺人の話が出た時点でミステリ的な展開をするのかと思ったらそうではなく、むしろジョーンズとステッドマンの友情とゴルフ勝負の話が続く。語りが回想であるのと、語られる物語が古い書類の中に残された昔の出来事のため、派手な展開もなく抑えた文章で淡々と書かれているのだが、全然飽きさせることはない。
話の中心はいつしかゴルフの話になるのだが、ゴルフをしたこともなければ特に興味を持ったことのない者にも面白く読ませる。もちろん、ゴルフファンには堪えられない話なのではないかと思わせる部分も多々あり、きっと自分にはそういうエピソードの魅力は100%は判らないだろうと思って残念に思った。しかしゴルフを知らなくとも十分に面白い物語になっている。
書類箱が空になる頃には、偉大なゴルファーでありながら歴史の表舞台に経つことのなかった一人の男の人生が浮かび上がる。そして書類箱に埋もれてた過去の話から、主人公のいる現在に話の中心は移り、殺人事件の真相を巡って法廷ものミステリのような展開になり、最後に明らかになる真実はちょっとしたドラマである。ミステリ的な要素をもっているが、しかしやはりこれは「ゴルフ小説」だ。ゴルフに興味のない者までゴルフ好きにさせてしまうくらい面白い「ゴルフ小説」だ。
ゴルフ小説の中ではゴルフは人生なのである。だからゴルフを知らなくても面白いのかもしれない。
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