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チャリング・クロス街84番地 書物を愛する人のための本 みんなのレビュー

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みんなのレビュー70件

みんなの評価4.3

評価内訳

70 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

近くて遠い、遠くて近い距離。短くて長い、長くて短い時間。

2009/01/09 22:57

13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

「ニューヨーク東95丁目14番地」から
「ロンドン西中央2 チャリング・クロス街84番地」への
最初の手紙は、1949年10月5日だった。

新聞の広告で、マークス社が「絶版本を専門に扱っている」ことを知った
ヘーレン・ハンフが、「今すぐにもほしい書籍のリスト」を
送付したのだった。

返信は10日後の10月25日。

返信の署名は「古書専門店 マークス社 内 FPD」。

ヘーレンが、「貧乏作家の古本好き」といったように
最初から自分の内情を語るような少し砕けた手紙を送っているのに対し、
FPDの返信は、最上級に丁寧だ。

ヘーレンは、自分の注文に対応してくれている人が毎回同じ人であると
気づくと、「マークス社御中」から「拝啓」へと宛名を変え、
しかも、クリスマスだからとみんなにプレゼントまで贈る。

そして、その後手紙は、FPDに宛てられることとなる。

ヘーレンの手紙がますます砕けていくのに対し、
「FPD」が、「フランク・ドエル」と署名するまでには
2ヶ月の月日を要した。

ヘーレンは、本が早く来れば、「スピード・アップさん」、
本が遅ければ、「モノグサメ」などと宛名にも遊び心があるが、
フランク・ドエルはずっと「ハンフ様」。

フランク・ドエルの手紙は、職場に写しを残していた手紙だから
というのもあるのだけれど、なかなかくだけてはいかない。

ヘーレンの手紙とは、ずっと違うトーンを貫いている。

だが、冷たさは感じない。

彼の、古書そのものと店の蔵書、
自らの仕事に対する静かな愛情がそこにはある。

そして、仕事として手紙を書きながらも、
ヘーレンからの手紙を心から楽しんでいることが感じられるのだ。

手紙は、本の注文がないときや本が入荷しないときは
途切れるので不規則ではあるが、
本を通した両者のつながりは、細く長く続いていく。

宛名がついに「へーレン」になったのは、2年以上後のこと。

「ハンフより(ヘーレンは友人に対してだけ使います)」と
ヘーレンが署名をしたから。

ヘーレンには古書店のほかの店員も手紙を書いていたり、
ヘーレンからは、当時の配給制だった英国ではなかなか手に入りづらい
肉やストッキングや卵を送っていたり、
英国からヘーレンへ手作りのクリスマスプレゼントが届いたりと、
彼らのつながりは、古書店員と顧客の関係を超えていく。

ところが、彼らは互いに会うことを切望していながら、
どうしてもそれがなかなか実現しない。

ヘーレンが渡英するためのお金をためていると、
住んでいるアパートが取り壊しになり、
ためていたお金は引越し費用にしなければならなくなったり、
歯が悪くなり、治療をしなければならなくなったりといった具合だ。

この往復書簡は、いつもとは異なる不思議な、
距離感覚、時間感覚、読書感覚を呼び覚ます。

ヘーレンの心の距離感では、歩いていける本屋よりも
チャリング・クロス街の方が近いのだ。

だが、物理的な距離に加えて条件が合わないという意味では、
チャリング・クロス街はあまりに遠い。

本を頼んでから届くまでの時間間隔も全く違う。

2年以上も前に頼んだ本が手に入ったからと送られてくるのだ。

また、本自体も、大量生産されているようなタイプの本ではなくて、
その1冊1冊が代わりがなくて貴重なものばかり。

へーレンは、図書館ですでに借りて自分で読んで
心底気に入った本を買い求める主義。

前の持ち主がその本に残した痕跡-何度も読んだところが
勝手に開いてしまうような癖や余白の落書き-が大好きなのだ。

もちろん、数少ない気に入った本を大切に何度も読み返して味わう。

私は、タドキストだし、本に人の痕跡は要らないと思う
(どこが気に入るかは私が決めるのだ!)し、
趣味としての読書だけでなく情報としての読書もしているから
少ないお気に入り本だけでは満足しないし、
欲しいときにすぐ来ないと困ると思うし、再読する本は数少ない。

ほぼすべてにおいて彼女と私は異なるけれど、
本に対する愛情表現が異なるだけで、本が好きなことはもちろんだし、
文章に気持ちをめいっぱい載せることが好きなことは大きく一致した。

そして、物の交換だけでなく、
心の交流も求めている存在であることも同じだと思った。

私が書いているのは、ほとんどが「電子メール」であって
「手紙」ではないかもしれないけれど、
そういうところを超えて、
お手紙って、テキストでの自己表現の交換って素敵かも、
と思わせてくれた。

ブログ書きの私は、ブログに書かれているテキストは
思う以上に自分を表現していて、
この書評だって、書評の顔して自分語りをしていて、
そこからどうしようもなく逃れられないのだと自覚もしている。

リアルで会わなければ分からないことも確かに多いが、
それでも、
テキストの情報量が動画のそれを越えてしまう事だってあるはずだ。

ヘーレンとフランクは、本を通して確かにつながっていて、
ある意味で、誰よりも側にいたのだと思った。

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紙の本

近くて遠い、遠くて近い。本を介した人と人の繋がり

2009/11/28 19:03

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:marekuro - この投稿者のレビュー一覧を見る

かなり有名な作品。だそうです。
”だそうです”と書いたのには訳があって
お恥ずかしい事に私は本作品の事を全く知らなかったからです。
そしてこの作品、映画化もされています。

本書に影響された訳ではありませんが
私も本書のストーリーと同様に本書の存在を
本を介して知り合った方から教えていただきました。

有名な作品ですので、ストーリーの概略に関しましては
すでにご存知の方も多いとは思います。

ストーリーは、アメリカに住む売れない貧乏作家と
イギリスはチャリング・クロス街84番地(本書のタイトルです)にある
古書店の店員達との手紙での交流と言えましょう。
本書はその書簡集になります。

それは1949年10月5日から始まり1969年10月まで続きます。
何と20年もの歳月を手紙での交流に費やしています。
本作の作者であるヘレーン・ハンフ(アメリカの貧乏作家)と
フランク・ドエル(古書店の店員)はお互いに会うことを切望していましたが

ヘレーンがイギリスへ向かおうとすると、住んでいたアパートが解体されたり
虫歯になり、ヘレーンの表現を借りるなら”天文学的な金額”が必要になったりで
中々会うことは叶いません。

途中ヘレーンは客と商売人の垣根を越えて、古書店のスタッフに何度も
贈り物をします。それは当時、食料が配給制だったイギリスにおいて
入手の難しかった卵や肉であり大変喜ばれます。

古書店のスタッフも、初めは業務用の文章を書いていましたが
だんだんと、いち友人に手紙を書く如く返信を出すようになります。

どのような結末を迎えるか?については本書を読んでいただきたいと
思うのですが、結末の是非はともかく素敵なストーリーでした。

古書店の店員と貧乏作家のやりとりがメインの本書。
当然、古本について多くが語られます。
中でも強く賛同したのが、以下でした。

  私が古本の中でも特に好きなのは、前に持っていた方がいちばん
  愛読なさったページのところが自然にパラッと開くような本なのです。
  (p21)

  私は見返しに献辞が書かれていたり、余白に書き込みがあるの大好き。
  だれかほかの人がはぐったページをめくったり、ずっと昔に亡くなった方に
  注意を促されてそのくだりを読んだりしていると、愛書家同士の心の交流
  が感じられて、とても楽しいのです。
  (p70-71)

私は古書と呼ばれるような上品な物は持っていませんが
やはり古本を購入したときの書き込みや自然に開くページに
思いを馳せる(あるいは空想する)癖があります。
古本ならではの楽しみのひとつであると思ってもいます。

約60年前の出来事であるという時代背景を見ても
本作における主な交流の手段は手紙であることわかります。

現在でしたら、メールやSkype等のソフトを使用し、会えないまでも
音声動画で顔を見て声を聞いて存在を確かめる事が可能でしょう。

このような感覚で本書を眺めると非常にもどかしく、だけどそれが故の
魅力を感じます。ただ単に昔を懐かしむ昭和ノスタルジーに
似た感覚もあるのでしょう。懐古主義的と言われたらそれまでですが

手紙という、メールと比較するなら非常にゆっくりした交流手段を見て
家にいながら、その気になれば遠く離れた人とリアルタイムで交流する事の
出来る現代に生きる自分から見て、そのスピードの遅さが魅力的に見えます。

言い換えるなら、ゆっくり長く人と交流したい。という事でしょうか。

先にも書きましたが、本作品は書籍もありますが、映画もあります。
自分にとって大切な方から、本作品を教えていただいた時に同時に
映画の存在を知りました。

調べてみると本も映画も絶賛されているので、初めから両方を鑑賞する気で
いたのですが、鑑賞する順序に悩みました。というのも
原作を読んだ後に映画を見てがっかりしたことが結構あったからです。
一方では映画を見た後に原作を読んであまりの世界観の違いにがっかりしたことも
あります。

色々と悩んだ末に、映画を見た後に本作を読みました。
結果的に良かったと思います。映画はストーリー仕立てですが
本書は書簡集です。書簡集にストーリーが無い訳ではありませんが
やはりストーリーのあるものに比べると、いたって薄味です。

その意味では本書を読書中、常にストーリーを意識して
より親近感を持って本の世界に触れることが出来たと思います。
映画が本書の流れを、ほご忠実に再現していてくれたのも幸いでした。

タイトルの副題にもある「書物を愛する人のための本」という表現は
間違っていない!そう思った次第です。

本を介した人と人の繋がり。その素晴らしさを改めて認識させてくれる
良書だったと思います。



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紙の本

書籍が好きな全ての人へ

2011/11/02 20:47

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本は、1949年アメリカに住むヘレン・ハンフという女性が、イギリスの絶本版専門古書店
マークス社に「欲しい古書リスト」を送る手紙から始まります。
そして、アメリカのヘレン・ハンフという女性とイギリスのマークス社の店員のフランク・ドエルとの
手紙のやりとりから、次第にチャリング・クロス街84番地にあるマークス社の社員や家族が
手紙を書くようになり、ヘレン・ハンフ女史と親交を深めていく20年間の書簡集です。

 この1949年というのは、第二次世界大戦終わって5年後ということになりますが、
まず、共に戦勝国であったはずのアメリカとイギリスの違いというのがくっきり浮き彫りになっています。
アメリカは、物資的にはとても豊かですが、イギリスは食糧難であり、配給制で自由に食べ物が
買えない状態であったことから、ヘレン女史はせっせと、肉や卵や缶詰を贈る。
そしてその受け取ったイギリスの人々の喜びのあふれたお礼の手紙を読むと、
豊かなアメリカ、苦しいイギリスというのが、食べ物事情からわかったりします。
ストッキングなども滅多に手に入らないと知るとせっせとアメリカではすぐ手に入る
ストッキングをイギリスに贈り、また喜ばれています。

 あくまでも手紙の主体は古本の注文と発送のやりとりなのですが、そこにいろいろな
英国文学へのヘレン・ハンフ女史の傾倒の深さがわかります。
ただの注文書と発送のお知らせ、ではすまない手書きの手紙ならではのあたたかさのようなものがあふれています。
ヘレン・ハンフ女史は、「物語は嫌い、小説は嫌い」と言って、注文するのは聖書関係の書籍、
自伝や詩集、歴史の本などで、翻訳をされた江藤淳さんの解説によると

「実に趣味のいい英文学の名作が次々と紹介されている」

 実は私はそこまで英文学には詳しくなくて、出てくる本もほとんどが江藤さんによる脚注に
頼らなければならないのですが、ヘレン女史も趣味がいいかもしれませんが、
だんだん親しくなると「お金を送りますから、どうか良い本がありましたらお送りください」になり
フランク氏が選んだ本の趣味の良さに、ヘレン女史が狂喜乱舞するといった手紙もあります。

 親しくなる、といってもあくまでも礼儀正しく、ちょっと堅苦しいくらいのフランク氏の手紙と
店員の女の子の喜びの手紙、フランク氏の奥さんや娘さんからのお礼の手紙、
そして、是非、イギリスへいらっしゃい、お店に来てください・・・というやりとり。

 この本はもう何度も読んでいるのですが、読んで本について語れる人を得た喜びも生き生きとしている素晴らしさは
相変わらずですが、今回はヘレン女史という女性の姿をじっくり想像することになりました。

 ヘレン女史は、仕事はテレビの台本をチェックしたり、台本を書いたりする仕事をしていて、
小説は個人的には読まない、のですが皮肉にも仕事は「エラリー・クイーンの事件」という
テレビ番組の台本をずっと書いている、という記述があります。
嫌いだから読まない訳にはいかず、もちろん当時アメリカで流行っていた推理小説など
たくさん読んでいるのでしょうが、あくまでも、個人的には英文学の古書にこだわっています。
「高い本は買えない」という言葉が何度も出てくるように、豊かな生活はしていないし、
いつまでたっても結婚だとかそういう話はなく、ずっと独身で書く仕事を続けた人なのだろうと
思います。
自分の家族のこともほとんど書かず、本に埋もれている、素敵な革表紙の古本にうっとりしながら
こつこつと仕事をしている独身女性。
「本について語れる人は、あなたくらい」とフランクに書いてあるように、はたから見れば孤独な生活でも
あったかもしれません。
「すでに読んだ本しか注文しない」という文章があって、これだけの本、注文する前に既読だったのか、
と驚くべき読書人です。

 そして、手紙は1969年で終わっています。
ヘレン女史は、その20年に渡る手紙を集め、この本にしました。
手紙のやりとりだけでこれだけの時代の流れと、本を買う、本を読む、美しい装丁の本に酔いしれる
そんな喜びを謳いあげています。
ある時は手厳しくこんな本はダメだと言い切り、ある時は、こんな本を売る人間はよろしくないわっ!
(でも私が買えてよかったわ)と「古本を買う喜び」に満ちた本です。
アメリカの本、本屋、古本屋というのは、とんでもなく質が悪いとのことで、ヘレン女史が英国崇拝者
(アングロファイル)のせいもあるかもしれませんが、英国の古本は最高、と喜ぶ、そんな
姿が微笑ましいし、ちょっとうらやましい気がします。

 本の装丁の美しさということにかけては、日本の書籍というのはとても贅沢だと洋書店を
のぞくたびに思うのですが、日本が紙だったら、イギリスは革の表紙というのが
文化の違いというか、まず「匂い」が違うと思います。
電子書籍というのはまだ、目にしたことがないのですが、本の装丁にはとてもこだわるので
やはり、いまだに神保町の古本屋をひとり、うろうろして「古本の臭いっていいわ~」などと
言っている自分にはとても「うらやましい交流」です。

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紙の本

人が好きになる話

2001/06/19 02:04

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ミオメロディ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 これはニューヨークに住む愛書家と、ロンドンのチャリング・クロス街84番地にある古書店の店員との20年にも渡る往復書簡である。一通目は本のオーダーとその懇切丁寧な返事に始まり、徐々に、オーダーに添えられたアメリカ女性の飾らないフレンドリーなメッセージが真面目なイギリス人男性店員の口をほころぼせていく。そのアメリカ人女性の戦後の品不足に困っているイギリスの状況を思いやって店の皆に送ってくれる品々は喜ばれるが、20年もの間、彼女は結局店を訪れることなく・・・。人との交流のすばらしさを味わわせてくれる一冊。

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紙の本

アメリカの貧乏作家であった著者とイギリスの古本屋の温かい絆を描いた実話です!

2020/07/29 09:01

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、1945年10月5日、アメリカの貧乏作家で、古本好きな著者へ―レン・ハンフ氏がロンドン・チャリングクロス街84番地にある絶版本を専門に扱っている古本屋マークス社に手紙を出すところから物語は始まります。今すぐにもほしい書籍のリストを同封、「このリストに載っておりますもののうち、、、汚れていない古書、、ただし、1冊につき5ドルを超えないもの」を送ってくれという内容が書かれてありました。それから彼女とマークス社の人々との間に絆ができ、ユーモアと温かい気持ちが溢れる文通が始まります。その往復書簡を収録した心温まる一冊です。どれにしても、同書を読むと、イギリスが第二次世界大戦後にこんなに厳しい配給制度を強いられるほどの食糧難に見舞われていたことが分り、驚きです。日本の物質難は有名ですが、戦勝国であるイギリスも、日本が占領下にあった期間と同じくらい配給制を経験していたことがこの本からわかり、本の消費史への資料価値だけではなく、風俗史としての価値もある一冊ではないでしょうか。

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紙の本

書物を愛する人のための本

2020/07/07 06:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る

最近本棚の整理をしつつ、懐かしい本を読む時間を作っています。
(もちろん、未読の本も読むけれど)
これは、大好きな1冊

ニューヨークの女性とロンドンの古本屋の手紙のやりとりで話が進んでいきます。

本を買う、本を読む、美しい装丁の本を愛でる。
時には物資不足のロンドンに食料を送り、本について時には辛辣に時には喜びの文章を綴っていく。

メールでのやりとり(あるいはネット通話もできる)、
電子決済が普通になっているこの時代にいつの話って思われるかもしれない。
若い方にはファンタジーって思われるかもしれないですね。
(実話っていうのがまたすごいと思うのですけど)
現代では想像つかないくらいの時間をかけてのやりとりは、
じわじわと身に染みてくるとおもうし
本を愛する気持ちは伝わってくると思うのです。
私はこの本を読むたびに本の匂いすら感じることがあります。
そんなことを思わせてくれる本なんです。

「本好き」の書物を愛する心はどんな時代であろうとも伝わるのではないかと思う作品だと思います。

余談になりますが、この作品の舞台も観たことがあるのですが
この作品の良さが伝わる世界だったです。

「書物を愛する人のための本 」とタイトルに謳っているとおり、
私の本棚の中にいて、たまに手に取って読み返す本です。

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紙の本

いつになっても

2018/12/22 21:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koyarin - この投稿者のレビュー一覧を見る

いつになっても,書を愛する人たちは減らない,変わらない。写真がデジカメになっても,音楽がデジタルになっても,書はいつまでも書であって,電子書籍では埋め難いものがある。そう思わせてくれる,いとおしい「書」でした。

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紙の本

古本好き必読

2017/09/15 22:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る

イギリスの古本屋とアメリカの女性作家の往復書簡小説です。

顧客の本に対する強いこだわりに対して、真摯な態度と最高の商品で応える掛け合いが、本好きにはたまりません。本を通して親密度が段々深まっていく、本好きによる本好きのための書簡小説だと思います。

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紙の本

行ってみたい古書店

2016/09/10 14:58

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:猫目太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

英国古書店と米国女性との往復書簡。英文学をこよなく愛し、その造詣にも深いへーレン。彼女の注文に真摯に応えるフランクとマークス両氏と書店員。平和的で、愛情溢れる両国人との時代がうかがえる手紙のやり取り。訳の江藤淳氏の本好きと読みやすい文体が「遠い国同士だが、近い友人とのやり取り」のように感じさせる。

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紙の本

古本屋との理想的な関係

2016/08/08 07:10

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投稿者:名無し - この投稿者のレビュー一覧を見る

本好きならば憧れるような本屋との関係。欲しい本だけではなく、おすすめの本もさりげなく紹介してくれるなんて、こんな関係の本屋さんがぜひ欲しい。また、最初からフレンドリーなアメリカ人と徐々に柔らかくなるイギリス人や手紙のそこかしこに現れる当時の経済や文化が見えるのもおもしろい。

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紙の本

偏屈にして、懐かしく。

2002/03/26 01:10

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々宝砂 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 とても有名な本だし、アン・バンクロフトとアンソニー・ホプキンスの主演で映画化されてもいるので、ご存じの方が多いだろう。筋書きはごくごく簡単。英国チャリング・クロス街にある古書店の店員と米国の女流脚本家が、書物と贈物と手紙のやりとりを1940年代末から60年代末にかけて20年間続ける。ただそれだけの往復書簡集。究極のプラトニック・ラブだとか、本を愛する人のための本だとか、よくそんな言葉で紹介される。

 突然こんな古式ゆかしい本を再読したくなったのには、わけがある。私は、昨日書いた文章が今日はもう古くなってしまうインターネットの速さと、ネット中にあふれかえる自己主張の大群にうんざりしてしまったのだ。もうすこし、ゆっくりした時間の流れがほしい。ありきたりな自己主張ではなく、抑制のきいた偏屈さがほしい。この本に描かれる脚本家と古書店員の交流はハタから見てるといらいらするほどのんびりしていて、しかも偏屈で紳士的で、私にはとても好ましいのだ。

 書簡中に言及された書物の名前を見る限り、脚本家ハンフの読書の趣味はかなり偏っている。英国の古めかしい説教集や随筆に感激したり、届けられた『ピープス氏の日記』が抄録であることに怒り狂ってどこが足りないかいちいち指摘したりするあたり、相当に気合の入った偏屈読書家だと言ってよい。私自身もまあどっちかというと偏屈読書家だけれど、ハンフとの共通点はアーサー・クィラ・クーチが好きだということぐらいだ。ハンフの好みでないらしいプレイクの詩が私は好きだ。また、事実を描いた文章を好むハンフと異なり、私は人工的で作為的な文章が大好きだ。

 しかし、それでもやっぱり私にはハンフの気持ちがよくわかる。本が大好きで、スジの通ったキッパリした読書傾向を持っている人ならば、誰だってハンフの気持ちが理解できるんじゃないかと思う。届けられた本を開封する嬉しさ。元の持ち主の愛読した箇所がパッと開く、そんな古書に出くわしたとき陥る、同志を見つけたかのような心地よい錯覚。自分の嗜好を誰よりも理解してくれる人を見つけた喜び。ときどきの贈り物。手紙の向こうにいるのが機械ではなく人間だと実感させてくれる、文末にわずか付け加えられた心情の吐露……

 いま巷で売れているらしい『インストール』と真っ向から対立する位置に、この本はある。セキララでありながら大切なことだけは言わないでいるチャットの世界に疲れてしまったら、ぜひチャリング・クロス街の84番地にどうぞ。店はもうないそうだし、書店員はハンフに逢うことなく亡くなってしまうのだけれど、彼等の偏屈にしてどこか懐かしい愛の記録は、こうして残っている。

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2004/10/07 14:37

投稿元:ブクログ

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2004/11/04 09:15

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2006/10/07 17:31

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2008/01/06 01:18

投稿元:ブクログ

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