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紙の本
呼ばれた和子は沙羅の名を噛みしめる。
2004/10/28 10:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る
加納さんは、どうしても思い入れの強い作家さんになってしまうのですが、そういうイメージを持ったままっていうのは、もしかしたらすごい不幸なことなのかもしれません。というのも、「ななつのこ」「魔法飛行」の衝撃が強すぎて、読むたびに、またあの“魔法”を期待してしまいます。なので、どれも「うん。よかった」程度の感想…。魔法じゃないけど、おまじないみたいな「ささらさや」、「掌の中の小鳥」はエッグ・スタンドで呪文をかけられたし、キレイでイタイ「ガラスの麒麟」も、全部好きなんですけど。ま、でも、どれにも裏切られていない、というのは逆にもしかしたらすごく幸福なことなのかもしれませんね。
さて、本題です。本書は表題作を含む10編を収録した短編集。ミステリーっちゃあミステリーですが、どれも幻想的で、キレイだけどちょっと心がイタイお話。
いちばんのお気に入りは表題作「沙羅は和子の名を呼ぶ」。基本的に私の人生、行き当たりばったりだけど、それを楽しみながら生きているので、主人公のように、“あのとき、こっちを選んでおけば…”なんてことはないんですが。でも、そう思うときって、誰にでもあると思うんです(私の場合は、単純にメニューなんかに多いんですけど(笑))。でも。それはあまり喜ばしいことではないはず。だから、沙羅が和子の名を呼ぶんです。迷っているから。ずっとずっと迷い続けているから。今も迷っているから。そんな心の隙に突き入られ主人公は、最終的に、その責任を負ったんだと解釈しました。それは沙羅と和子から負わされた“罰”なんだと思います。
ほかにも、「フリージング・サマー」とか「オレンジの半分」なんかは、女のイヤな面を見せつけられた気がして、ちょっとブルーになりますね。好きですけど。連作ではない短編集って珍しいですよね。加納さんのいろんな世界をたくさん楽しめて、よかったです。
紫微の乱読部屋
紙の本
10編のやさしいおとぎ話
2004/07/05 14:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ももんちゅ - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し不思議な題名のこの本は、10の短編からなっている。
どの作品も気持ちよく読めるのだが、中でも「天使の都」がいい。
単身赴任した夫に会うため、バンコクに降り立った妻。
一人娘の死を契機に、二人の関係は冷え切っている。
夫に別れを告げるためにやってきたこの国で、
妻は一人の少女と出会う。少女は一体何者なのか…。
最近読んだ小説には、本を閉じた後、多少なりとも辛い気持ちに
なるものが多かった。その点、この短編集の読後感は貴重だ。
登場人物達に向けられた、著者の暖かい眼差しが感じられる
少し疲れていた心がやわらかくほぐれていくような気がした。
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