紙の本
ファビアン導師一代記
2003/11/29 19:52
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投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
連作短編ということもあり、正直序盤は取っつきづらいというか、作品世界を了解するまでに結構時間がかかったり。「SFマガジン」はここ数年購読してないんで、先行して発表された幾つかの作品についても未読の状態で、作品についての予備知識がまったくない状態で読み始めたのは、果たしていい方向に作用したのか、悪い方向に作用したのか。舞台となる13世紀前後のヨーロッパについての知識もほとんどないし、「歴史変革物」といってもいったいどこがどう変革してあるやら? といった態で、最初のエピソードでファビアンが信仰と科学(というか、自分の中の好奇心)の狭間で葛藤するくだりあたりで、ようやくノリが掴めた感じです。
その後は、まあ、すいすい。
特に後半は、アーサー王伝説やらマルコポーロやら徐福やらが年代を無視して登場して、いきなり沸いて出てきた「巨人」とかと世界存亡を賭けて戦うという有様で、やや思弁的な前半部分に比較すると、よくいえばエンタメの方向に、悪く云えばチープなB級テイストがかなり混入する。この辺は、読む人によってかなり好みの別れるところでしょうけど、わたし的には後半のドライブ感は、かなり好きです。
惜しいな、と、思うのは、ファビアンと同等かそれ以上の比重を持って描かれてもいいはずのアルフォンスが、いつのまにやら「背景」のほうにいっちゃって、あまり詳しく書かれなかった点。このアルフォンスの性格と設定なら、いっそのこと主役にして、この世界を舞台にしたもうひとつ物語、「アルフォンスの年代記」ともいうべき物語が書かれてもいいと思う。このまま終わるのは非常にもったいないキャラだと思います。
酩酊亭亭主
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うーん、不可知論? それを言っちゃあおしまいよ、てなカンジもしつつ、連作短編集なので一編ずつ間を置いて読んでいってもよろしいかもしれません。萌えキャラは特になし。いちばんカッコよかったのは各短編のタイトル。←・・・
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架空の中世ヨーロッパを舞台にした一大叙事詩。「これでもか!」というほどのヨーロッパネタがつまった、濃厚かつ芳醇(話によっては貴腐のような)重量級ごった煮SFです。人物紹介を見ればそれは一目瞭然かと。
……でもその内面は「人とは」「世界とは」「知識とは」「信仰とは」という、人間の精神に共通する「何か」を求めようとする者たちの彷徨の詩であり、骨太の静かな福音書。
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中学のときにエクス・オペレ・オペラートを読んで、えらい衝撃を受けた覚えがある。長すぎて当時はそこまでしか読めなかったんだけど。
西洋史にSFを突っ込むという行き過ぎた妄想のような設定がまず目につくが、全体を通してのテーマは一貫している。宗教と科学。情報と真実。生と死。何度となく主人公が悩む、人間が抱える二律背反の矛盾はそのままわたしの悩みともなり、読了後はしばらく考え込んでしまった。
結局、生と死以外全て偽者なのではないかと思う。たとえば今使っている言語だって定理だって、言い出した人が真実であり、それら仮定(そう、あくまで仮定)に折り合いをつけて諦めて認めてきたのが歴史なのではないか。
文体が独特で濃いので、その言い回しに素直に感嘆するときもあれば、頭がごちゃごちゃしてる日にはただ読みにくく感じたり。でも一日で読みきってしまうには長さも内容も厚く、読み終わるのは正直大変だった。けれど読了後に陥る思考のループすら抜けてしまうと、不思議とその世界にハマっている自分もいる。一度は読んでみる価値あり。わたしは好きです、このクドさ。
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宗教系が入った小説はあんまり読まないけど、何か得体の知れないものに惹かれて借りてみました。
アーサー王の話が載ってたので結果的にはすごく楽しく読めた。
しかもFateと同じくアーサー王が女性だったって設定だったしね!
まあそれがメインのお話しではないのでそれ以外の(興味のない)部分が単調だった感はあったけど・・・うん、まあ、満足。
アーサー王の話が大好き。(感想がこれだけだ)
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澱み無く描かれる中世ヨーロッパの情景が、まるで見てきたかのような筆致で引き込まれますが、その中に突如現れるSF要素。ここで躓くと読み難い一冊かも知れないな思いました(笑)
タイトルのアイオーンその物の様に、魂と呼ばれるモノを科学で、又は宗教で理解しようと試みる過程を魅力的な人物たちが遍歴していく叙事詩。
神を理解しようとするなら神を超えた立場からで無ければ正確には理解できない、みたいな下りにハッとさせられました。
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二度目ましての作家さんです。
世界観からして戸惑います。
13世紀なのに、一度核戦争で滅びた世界になってます。
しかも核戦争を起こしたのがローマ帝国だったりする。
現代の世界地図は頭から追い払わないといけない。
更に、アーサー王が出てきたり、マルコ・ポーロが出てきたり
まさかのベスビオ火山の噴火まで!
いわゆるヨーロッパ中世の史実を混ぜ込んでいる。
架空の世界に史実を織り込んで、更には色々な知識が
ほどよく散りばめられているから厄介。
想像の翼を広げるにも、色んな意味で違和感バリバリなので、
ある意味では面白いんだけど混乱します(^◇^;)