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紙の本
大人の小説ならそれらしく、それができないなら、思い切ってジュヴナイルに徹する、そのくらいの覚悟があってもいいのではないでしょうか。この作品に関する限り、技が空回りして、鵺のような本になってます
2005/08/19 09:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「大学生のサトルを訪れたシオンは、自分の恋人が催眠実験で思い出した幼い頃の事件、それは宇宙人に誘拐された記憶だったと相談する」SF推理。
カバー画が如何にもSF風で、内容も50%はそういった部分があるので、このように分類しましたが、読後感はジュブナイルを一歩も出ることがないと言った感じです。
美容師学校の生徒で18歳の美少年 武田紫苑は、以前の事件で知り合った大学三年生の水乃紗杜瑠のもとを訪れます。シオンがサトルに相談したのは、一つ年上の恋人の小川宜子が手伝いをしている老人ホームで受けた催眠実験のことでした。三歳より前の記憶が無いという彼女が、受けた実験から分ったのは、彼女が何度となく宇宙人に攫われ、宇宙船内部では様々な調査をされたというものだったのです。
水乃紗杜瑠は21歳、一年留年をしながら暢気に暮らす大学生。大学では「百のサークルに入っている男」として有名な好男子で、いつも女性に声をかける陽気な好青年です。相談を受けた彼は、シオンと宜子とともに、彼女が実験を受けた〈社会福祉法人・天界神玉村恵みの苑〉を訪れます。そこは彼女とともに催眠治療を受け、自分も宇宙船に乗ったという島村民恵たちが暮らす老人ホームだったのです。
島村民恵が語る、富士山の見える故郷、しかし該当する地名の伊豆には彼女の戸籍どころか村の痕跡もないといいます。彼女とともに宇宙船に乗った人々は、そして行方不明の人々は。養父母の手で大切に育てられた小川宜子は三歳くらいの頃、倉敷の養護施設の門前に捨てられていたという。彼女が取り戻した記憶と、民恵の記憶に繋がりはあるのでしょうか。宇宙人は本当にいたのでしょうか。
調査をする彼らを尾行する黒服の男。宜子の養父母の死の背後にあるものは。密室殺人、アリバイトリック。宗教法人・天界神の会、精神分析医田名網教授、老人ホームの広報部長安孫子四郎、不動産屋で宜子の養父母の友人山中社長、緑山刑事、ブタモ、ハカセ、ハラキリという大学サークルの先輩たちと彼等が展開させる迷推理。これだけ大風呂敷を広げて大丈夫かな、というのが正直な感想ですね。
章の頭にUFO関係の事項が紹介され、それを読むだけで簡単にUFO入門が出来るのはうれしいです。そして様々な謎がきちっと納まるところは見事としかいいようがありません。でも、それを納得させる技がこの人には無いようです。京極夏彦のテクニックに似ているものの、彼ほどの文体がないため、話全体が絵空事に見えてしまうのです。
いや本格推理小説は基本的には絵空事なのだという作者の考えが見え透いているために興ざめなのです。おまけにユーモアが未消化で、傍若無人に近いサトルの逆尋問と、小児的としか言いようのないシオンの挙動やサークルの先輩達を騒ぎぶりからは、同人誌の作品としか思えません。
あとがきに、連載小説に大幅に増補改訂したような説明があるのですが、いっそのこと少年ものとして書き直せば、もっと説得力が増したのではないでしょうか。もう大学生のサークルものは沢山という感じです。
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