紙の本
タイトルが良いですね
2024/01/25 15:17
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
設定が良いですね。近い将来、本当に起こりそうで、起こらなそうなギリギリのラインという感じで素敵です。
紙の本
名作ゆえに、今となっては笑えないかもしれない
2005/10/12 08:08
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投稿者:yu-I - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和40年代から50年代の作品を中心に、筒井康隆のオイシイところをぎゅぎゅっと寄せ集めた自選ドタバタ傑作選の第一巻。本当にオイシイとこ取りで、何ともお得な本である。
一作目の「急流」でいきなりやられてしまった。奇天烈な人物が突拍子もない台詞を口にしただとか、そういう笑いならあるのだが、地の文がこんなに面白くて、つい笑い声を上げてしまったというのは初めてのような気がする。
ただふざけたことを書いて笑わせるのではなく、あくまでも知的でシュール。それでいてニヤリとさせるというのではなく、抱腹させる。こういう文章を書ける人はやっぱりなかなかいないと思う。
本当に面白いものは月日が経ってもやっぱり面白いのだなぁと感心させられるが、その一方で、今となってはちょっと笑えないかも…というものもある。
それは、時がたって古くなってしまったという意味ではない。
たとえば、表題作「最後の喫煙者」。
当時は馬鹿らしい話だと思って笑えたのかもしれないが、嫌煙ムードが本格的に高まってきた昨今では、いやまさかここまでは…と思いつつも、ただ笑ってすますことのできないような不安をはらんでいる。
たとえば、「問題外科」。
医療ミスやら医療機関の不祥事が次々に取りざたされる今となっては、これは本当に笑えない。もともとスプラッター色の強い作品であるためでもあるのだが、それにしてもこれは怖い。
しばらくは怖くて病院に行けなくなりそうな作品。これも書かれた当時は「そんな馬鹿な」と笑えたのだろうが…。
「こぶ天才」なんかも、学歴社会化が進みなおかつ就職難の今読めば、ちょっと不気味でもある。
タイトルからちょっとわかりづらいかと思うのであえて端的に書いておくと、ようするに高い知能を獲得するために人類がドタバタする話なのだが。
もしかしてこの著者は、未来を予知してこんな作品を書いていたのかしらん。
そんなことをふと思い、笑い転げながらも背筋がちょっと寒くなった。
紙の本
本領発揮
2022/02/14 10:50
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
しばしば作品後半になると破綻しハチャメチャになることが多いこの作家の本領発揮という短編作品群である。表題作の「最後の喫煙者」はかなり以前の作品であるが、表現されている「日本人の付和雷同性」という特性は、この度のコロナ禍においても「同調圧力」という形で遺憾なく発揮されてしまっている。
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筒井ワールド?
2016/01/28 23:15
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
『旅のラゴス』で筒井さんの本に興味をもって、読んでみました。これが筒井ワールドらしいけれど、理解不能でした。
ブラックユーモアというレベルではないです。表現もグロすぎて、気持ち悪くなります。
それでも、なぜか気になって読んでしまいました。
これが筒井マジックなのでしょうか?
ただ、やっばり後味は悪いです。。。
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筒井康隆ワールド登場。
これまでの短篇のなかから、作者が自ら9篇を選んだ「自選短篇集」である。
サブタイトルには「自選ドタバタ傑作集」とある。
「ヤマザキ」「萬延元年のラグビー」は昭和47年刊行「將軍が目醒めた時」から。
「老境のターザン」「喪失の日」「平行世界」は昭和51年刊行「メタモルフォセス群島」から。
「急流」「こぶ天才」「問題外科」は昭和54年「宇宙衞生博覽會」から。
「最後の喫煙者」は「夜のコント・冬のコント」から、それぞれ採られてゐる。
これらの中では、「問題外科」を讀んだときの衝撃を思ひ出した。
これは私がリアルタイムで同時代小説として讀んだもので、當時はたまらなく氣持が惡かつたことを思ひ出す。
しかし、いま讀んでみると、私が年をとつたせいなのか、それとも時代がスプラッタを助長したせいなのかは判らないが、以前に讀んだとき程の衝撃は感じなかつた。
でも、いまから25年も前にこんな小説を書いた人がゐたといふことは特筆すべきではないかと思ふ。
また、「最後の喫煙者」、これは以前、TVの「世にも奇妙な物語」で映像化されてゐなかつたか?
確か、筒井康隆本人が登場してゐたと思ふのだが・・・
私も喫煙者なので、身につまされる。
2004年2月18日讀了
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著者名で衝動買いしたにしては良いの選んだと思います。エログロナンセンス大炸裂、そして安易に人にはお勧めできない内容なのが筒井クオリティ。
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短編集。筆者が思いつきで書き始めて、終盤では筆者自身が飽きている感じがする。基本的に描写不足な感がある。
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我が家にも喫煙者が2名ほどおりますが、、吸わない者としては家の中でも分煙して欲しいものです
ちなみに我が家ではまだ喫煙者が優位・・・
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短編集。
急流(★★★★★)
−時間が加速度的に速く進んでしまうようになった世界
問題外科(★★★★★)
−人の内臓を弄ぶことに性の喜びを覚える外科医たち
最後の喫煙者(★★★★★)
−喫煙家が絶対悪となった世界
老境のターザン(★★★★★)
−老いたターザンが悪事への喜びを覚え出す
こぶ天才(★★★★)
−IQを奇跡的に上げる寄生虫を、身体に宿すことがステイタスとなろうとしている社会
ヤマザキ(★★★★)
−現代のテクノロジーがあると想定された本能寺の変における秀吉軍
喪失の日(★★★★)
−童貞喪失への妄想を抑えきれない男
平行世界(★★★★★)
−時間と場所とが幾何層にも重ねられたミルフィーユな世界
万廷元年のラグビー(★★★)
−桜田門外の変から起こる首取りのラグビー合戦が、現実としてある幾つもの怪奇に重なってしまうかのように。
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平行世界、おもしろかった。いささか過激な描写もあって、たまに気分が悪くなります。好きな話はすごく好きなんだけどね。しかし、最後の喫煙者とか、今となってはなかなかリアルな話だよねえ。
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ドタバタとは手足がケイレンし、血液が逆流し、脳が耳からこぼれるほど笑ってしまう芸術表現のことである。健康ファシズムが暴走し、喫煙者が国家的弾圧を受けるようになっても、おれは喫い続ける。地上最後のスモーカーとなった小説家の闘い「最後の喫煙者」。究極のエロ・グロ・ナンセンスが炸裂するスプラッター・コメディ「問題外科」。ツツイ中毒必至の自選爆笑傑作集第一弾。
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「自選ドタバタ」というだけあって,焦ったときの人間の言動,その描写がすごく笑えるという作品が多かった.表題作「最後の喫煙者」は半ば著者自身を描いたような作品で,近頃の嫌煙ブームを徹底的に皮肉っている.次第にむちゃくちゃな展開を見せる様はたいへん可笑しいのだが,愛煙家としては笑ってばかりもいられない切実さもきっちりと表現されている.著者がむちゃくちゃを描くことで,逆に現実の世相の極端さ・怖さが浮き彫りになるという見事な展開.その他の作品でも,突然「オレはこれからは悪の道に生きる!」と目覚める「老境のターザン」や,戦国時代なのに突如電話やら新幹線が登場する「ヤマザキ」など,世の常識や万人の期待を小気味よく裏切って遊ぶ佳作が揃っている.
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短編集ですが、面白い話がテンコ盛りです。
愛煙家にとっては、文章は過激ですが時代を先取りした感じの
「最後の喫煙者」は読んでて身につまされます。
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短編集なんですが、「最後の喫煙者」のストーリーが妙に「図書館戦争」とラップしてました。
ぱくりとかそういうことではなくって、
図書館戦争は本を守るために戦う主人公の話なんやけど、
最後の喫煙者は喫煙権を守るために戦う主人公のお話。
同じ様な構成でも、守る対象が一般的に受け入れられているものか、そうでないかで、
結構読む印象が変わるなぁと思った作品。
これ、守る対象をいろいろ変えたらいろんな作品ができるってことですよね。
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久々に筒井康隆。純粋に「おもしろい」と思える、素晴らしい作品集。筒井氏のような作家がいると、小説ってやはり「娯楽」として欠かせないと、再確認できる。「ヤマザキ」のようなナンセンスの極み、「平行世界」のような焦燥感。ふと、手に取りたくなる。これこそが。