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紙の本
日常的すぎてなかなか後世に伝わらない貴重な話
2011/01/02 20:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代のトイレ事情については、いくらテレビで時代劇を見ていようと、なかなかわかるものではなく、以前から気になっていた。武家屋敷や大奥など歴史的な建造物として研究されうる対象ならば、もしかすれば詳しい文献もあるかもしれないが、庶民のトイレ事情となれば、まったく想像するしかない。本書のタイトルを見て飛びついたのは、そうした思いが以前からずっとあったためだ。
本書は古川柳を題材に、トイレ設置事情、肥の売買、遊女にとっての利用法をつづり、さらに排泄つながりということで、おなら、月のものについても筆が及ぶ。おもに浅草紙を利用した手づくり生理用品や、月経帯としての褌の活用など、普通の歴史書には出てこないこと請け合いである。
川柳はおもしろおかしく、さらに挿絵も適度にちりばめられていて、ついついページがはかどる。
見出しにもなっている川柳をいくつか紹介すると
++++++++++
○ 姉妹(あねいもうと)はばかりへ行く朧月
よほど大きな家ならばともかく、長屋暮らしなどでは共用トイレが一般的。夜に女性がひとりで出かけることはなかなか難しく、連れだって出かけたという句。
○ 尼寺の大工うっかりきんかくし
きんかくしの発祥と意味づけは明らかではなく、はたしてそれが必要不可欠なものなのか、とくに女性用の便器には(言葉にふくまれる「きん」の意味合いからの類推で)必要なのかといった考え方があったらしい。そのため、尼寺のトイレにきんかくしをつけるなんて、との意。
○ 小便の致し所もなき花の江戸
江戸では小便は肥やしにならないという考え方があり、大と小が分けられていない便壺は業者が引き取りを拒否することもあったという。上方ならば小便桶が町におかれていて、人はそこで小用を足したというが、江戸では溝にそのまま放尿したり(女性も含め)、町のいたるところに「小便無用」と注意書きがあったという。
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気軽に読める歴史書として、おすすめの一冊。
紙の本
日本のトイレウンチク本(そんなジャンルはない)の決定版
2009/09/21 10:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸の庶民文化を語らせたら右に出る者は……いるかもしれないけどオレは知らない渡辺信一郎先生の「雪隠本」。
時代劇で裏長屋,その井戸端で洗濯をするおかみさんたちまでは出てきても,こいつがちゃんと描かれることはない共同便所(後架という)を始め,外出先での用足しから遊女屋の糞尿処理,果ては江戸期の女性が用いた生理用品まで,およそ江戸の排泄文化に関わる全ての実相を余すところなく,古川柳の研究家として名高い蕣露庵主人こと渡辺信一郎センセイが解説してくださるもったいなくもありがたく,ついでに多少臭い本である。
オレの好きな落語に「開帳の雪隠」というのがある。目端の効く男2人が,回向院のご開帳に参拝客が押し寄せるのを当て込み,参道に場所を借りて穴を掘り簡単な小屋掛けをして貸し雪隠を始める。初日こそ大繁盛したが2日目ぱたっと客が来ない。聞けばこの手前にもっときちんと小奇麗な貸し雪隠ができて同じ値段で貸しているという。これはとばかり兄貴分が偵察に行ったが,帰って来ないまま,今度はこっちが込み出して……という話。
なるほどこの噺が成り立つような屋外・野外での排泄事情がわかるし,ついでに「立ち小便無用」というあれに鳥居が描かれている訳も分かるという日本のトイレウンチク本(そんなジャンルはない)の決定版である。それにしても「がんばり入道」なんて妖怪,知ってました?
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