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もうひとつのMONSTER The investigative report (Big comics special) みんなのレビュー
- ヴェルナー・ヴェーバー (共著), 浦沢 直樹 (共著), 長崎 尚志 (作訳)
- 税込価格:1,362円(12pt)
- 出版社:小学館
- 発売日:2002/06/21
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コミック
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紙の本
「怪物」、その正体は?
2002/07/20 00:03
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大人気のマンガ「モンスター」の関連本です。が、ただの関連本、副読本と侮ることなかれ、とても凝ったつくりで、おもしろい本に仕上がっています。
詳しく書くと興が削がれてしまうので書けませんが、本書の著者(ということになっている)ヴェルナー・ヴェーバーなる人物が、調べていた事件の影に「怪物」の存在を嗅ぎつける。その正体を探るため、以前にあった「怪物」の事件の関係者(マンガの登場人物たち)にインタビューをして事件を再構築し、それとともに「怪物」を白日のもとに暴こうとする、といった内容です。
この本を読まずして「モンスター」を語るなかれ! とまで言っていいくらいよくできた、ファンならば必読の一冊です。
紙の本
もう一つの試み
2002/08/23 10:42
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投稿者:ねんねじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
浦沢直樹という人は本当にすごい人だ。その構成力にはもうただただ感心するしかない。
「MONSTER 」のほうでは、存在していたものをこの世から消していくということに大きなテーマがあったと思う。しかし、本書ではありもしないものを人々の脳に存在するものとして刷り込もうとしているのだろうか。つまり、フィクションのノンフィクション化をねらっているだろうか?
浦沢直樹という人が手がけただけに、ついつい裏の裏をよんでしまう。事件に関する新聞記事や写真には「ほんと、よく作ったな」と感心させる。しかし、「そうだよ、本当のことだもの」とささやかれているような気がしてしまうのだ。
紙の本
誰・・・?
2002/07/26 21:35
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投稿者:ポーリィーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の出版を楽しみにしながらも、よくある解説本にプラス読み切りのお話が付いているぐらいのものかと思っていたのですが、実際に読んでみてビックリ。ヴェルナー・ヴェーバーなる人物がヨハン事件の真相を探るべく、関係者に直接インタビューをし謎を解明していくという架空のノンフィクション作品になっていました。登場人物たちが語る本編では出てこなかった細かい逸話や、興味深い歴史などが織り込まれていて、独立した作品としても楽しく読めます。作品がものすごく好きで文章を読むのが苦にならない方には是非ともオススメです。しかし、本書最大の謎はヴェルナー・ヴェーバーなる人はいったい何者なのか?という点。ご丁寧に顔写真まで載っていました・・・。
紙の本
目新しい事は?
2002/07/15 00:18
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投稿者:ひえろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
虚実をないまぜにした本。『MONSTER』を現実社会の出来事として据え、作者浦沢氏は情報提供者で取材協力者という形。作品の登場人物たちへのインタビューの数々と事件の検証、そして現在進行形の猟奇殺人の首班を「もう一人のMONSTER」をして洗い出している。
が、あくまで『MONSTER』の内容をなぞって行く、採録の感は否めないし、現場に居たものの発言としてはあまりにも『MONSTER』の画面描写に忠実過ぎる感がある。アナザーストーリというにはあまりにも中途半端な仕上がりに感じた。
紙の本
著者だって読者と戯れようとしているのですから、私がこんな書評で応じるというのも一興かと思うのですが。
2005/01/23 18:56
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
80年代後半から90年代にかけてドイツを震撼させた「ヨハン・リーベルト事件」を追ったルポルタージュ。あの事件は遠く中東欧で発生したものとはいえ、事件にドイツ在住の邦人医師が大きく関わっており、日本でも浦沢直樹氏が既にすぐれたルポを発表しているのは広く知られたところです。
本書はオーストリアのフリー・ジャーナリスト、ヴェルナー・ヴェーバー氏が2001年時点で事件関係者に取材を行なって書き上げたものです。取材地は日本からチェコ、ドイツ、オーストリアまで広範囲に渡っています。浦沢氏も共著者として参加しています。
しかし、残念ながら本書は事件の真相には迫りきれていません。
浦沢氏は事件の中核的存在といえる天馬医師、ヨハン本人、そしてヨハンの双子の妹アンナの行動まで含めて18巻にわたる詳細な取材記録を既に出版しています。私はその全18巻に目を通しましたが、ヨハンとアンナの両者の目を通して「ヨハン・リーベルト事件」の全容に迫る試みとしては、かなり高い評価を与えられるルポだと感じました。
一方、本書「もうひとつのMonster」の著者ヴェーバー氏は上記3人の中心人物には最後までたどりつけていません。もちろんヨハン自身は現在も銃撃によって昏睡状態にあるといわれていますし、天馬医師が開発途上国での医療活動に従事しているためにコンタクトが大変難しいというのは理解できます。しかし本書によるとアンナからは完全な取材拒否にあっています。
そのためにヴェーバー氏は関係者への周辺取材を試みますが、それぞれの関係者の情報にかなり曖昧な部分があります。
最終的にヴェーバー氏はかなり強引な結論を導き出しますが、あまり多くの読者の理解と指示は得られないでしょう。
また本書にはドイツやオーストリアの新聞記事のコピーがいくつか掲載されていますが、これらに信憑性があるのかどうか疑問です。
例えば、13頁に掲載されている「聖ウルスラ病院で職員3人惨殺される」という記事ですが、日本語の訳が付されず原文コピーだけが掲げられています。ですから日本人の読者はこの記事をなんとなく眺めることしか出来ません。私はドイツ語が読めるので目を通してみました。内容は「昨日早朝、ザルツブルク市のノンベルクの聖ウルスラ病院で医師エルンスト・レルナー、職員のハンナ・ループレヒター、看護師のロースマリー・ベルクが惨殺された。」というものですが、記事に日付が明記されていません。
285頁にある記事のコピーも「昨夕」という書き出しで始められていますが、やはり日付がありません。これは新聞記事の決まりごとに照らして見るとあまりにも不自然です。
さらにいえば、50年代末から60年代初頭にかけて人気を博した米国製アニメ「超人シュタイナー」の映像が308頁に掲載されていますが、これは実際の「超人シュタイナー」の映像ではありません。それが証拠にタイトルが「Magnificient Steiner」となっています。つまり「Magnificent」と綴られるべきところに、「i」がひとつ余計についています。これはおそらく「超人シュタイナー」の人気を当て込んで作られたニセのセル画だと私は推測します。
こうした点からも著者ヴェルナー氏の取材はかなり詰めが甘いと言わざるを得ません。共著者の浦沢氏は、はめられたのではないでしょうか。
「ヨハン・リーベルト事件」の真相究明にはまだまだ時間がかかると思われます。その間にも様々な関連出版物が続くことでしょう。
ですが日本の出版社はヴェーバー氏のような怪しげなルポに安易に手を出すのではなく、正統派のルポを出版することを目指すべきではないでしょうか。
また浦沢直樹氏には継続取材と、その結果を公にすることを今後も期待したいものです。