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ひびわれた仮面 東京・文京区幼女殺害事件 みんなのレビュー

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紙の本

「お受験殺人」報道の大罪

2003/01/20 08:02

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みみんが - この投稿者のレビュー一覧を見る

有名幼稚園入学をめぐり激しい受験戦争が伝えられる文京区で、2歳の春奈ちゃんが、その母親の友人で、おなじ2歳の娘を持つみつ子被告に殺害された事件は、「お受験殺人」として大きく報道され、多くの人々の記憶にいまだ新しいのではないだろうか。「心のぶつかりあいがあった」などとするみつ子被告の供述が伝えられるなか、母親どうしの人間関係において、みつ子被告が被害者の母親から多大なストレスを受けたことが事件の背景にあったのではないかという、犯人のみつ子被告を擁護するかのような報道がなされていた。しかし事件の真相は、報道とは全くちがうところにあり、みつ子被告が一方的に抱いていた被害者の母親に対するこだわりが殺意にまで成長していった結果であったことが本書で明らかにされている。著者は、法廷でみつ子被告が自ら語った彼女の生い立ちをまとめ、心理カウンセラーの分析を織り交ぜながら、なぜ彼女は殺意を春奈ちゃんに向けたのか、その心を読み解こうとしている。

さらに本書では、知られざる被害者家族の苦しみを伝えている。特に被害者の母親は、マスコミ報道に煽られた人々から手紙や電話によって心無い攻撃にさらされ二重に傷ついた。その事実を我々は知るべきだ。犯罪被害者に対する支援制度が日本には全く整っていないことも、本書で指摘されている。マスコミは無責任な内容の情報を垂れ流ししつづけ、それが事実と反することがわかっても修正しようとしなかった。その態度は厳しく糾弾されるべきである。

本書では触れていないが、マスコミ報道の論調と、それを安易に受け入れた大衆、そして被害者の母親を攻撃するという過剰反応が生まれた原因を考えてみたい。事件が起こった地区は「お受験」が盛んなところであり、それにまつわる母親同士の確執を連想するのはたやすいことであったという背景もあるが、そもそもみつ子が逮捕された直後に報道された「心のぶつかりあい」という言葉に、みな即座に共感してしまったのではないだろうか。程度の差こそあれ、社会生活における人間関係のもつれはどこにでもある。人々は、日頃から付き合いづらさや反感を抱いている相手を被害者の母親に投影し、みつ子被告に同情したのではないだろうか。そして普段からその相手に対して口に出して言いたかったことを実際に吐き出す相手として、被害者の母親が理不尽にも標的にされてしまったということではないだろうか。おそらく、報道を発する側の人間も、同じような共感をもとにストーリーを勝手につくりあげていったにちがいない。マスコミが世論を操作する時にも利用できる危険なメカニズムである。

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紙の本

内容紹介、目次

2002/12/17 18:34

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:共同通信社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

1999年11月22日白昼、東京・文京区音羽にある幼稚園わきの女子トイレで、当時2歳の何の罪もない幼女が絞殺された。犯人は近くに住む顔見知りの主婦、山田みつ子で、幼女の母親と付き合いがあり、長男同士が同じ幼稚園の年長クラスだった。当初、マスコミで「お受験」や「心のぶつかり合い」が殺害の動機と騒がれた事件は、公判が進むにつれて、みつ子被告の一方的なこだわりが増幅した結果だったことが明らかになっていく。実はみつ子被告には、自分を殺して周囲に合わせる過剰反応、短大時代から10年間苦しんだ摂食障害、引きこもり、自殺未遂などの「人生の傷」があった。結婚してからは、夫との葛藤、孤立した育児の苦悩、わが子への虐待といった病理が次第に噴出していく。子ども同士の関係が、親の生活まで規定しかねない子育ての環境の中で、みつ子被告の心の中でいったい何が起きていたのか。本書は子育て真っ最中の平凡な母親に芽生えた殺意の軌跡を追い、突然幼い娘の命を奪われた家族のやり切れない思いを伝える。

≪目 次≫
【プロローグ】
【1章 人生の傷】
「…被告は出入りする大人たちが、自分の親にとっての敵か味方か考えざるを得ない家庭環境で自己形成をしていたので、対人関係には大変敏感で…」。被告の過剰適応はやがて摂食障害としてあらわれる。
幼稚園児の長男を虐待/犯罪者になったらどうする/自己主張できない母親たち/祖父母の言った悪口メモに/オール1の成績にショック/男子高校生に会うとパニック/幼児期から過剰適応の性格/やせていくのが楽しくて/大学病院をやめて引きこもり/いら立ちぶつける父親に暴力/自己決定迫られ摂食傷害に/過食嘔吐のアリ地獄/幸せな家庭夢見て上京

【2章 見えない殺意】
特別な感情がなかったという被告が、春奈ちゃんの母親に「疲れ」を感じるようになったのは長男が一歳半のころ。この「疲れ」が、最後には春奈ちゃんへの殺意に変わる過程をみていく。
寺の妻に理想のタイプ/不安定な夫の立場支える/強迫的なこだわり夫に転化/初対面で電話番号教えあう/子どもの接し方に違い/幼稚園のお迎えが新たな葛藤に/園長囲む会で泣き出す/春奈ちゃんの母親に自己投影/神戸の子どものようになるのでは/心に漠然とした殺意芽生える/夫に止めてほしい気持ちだった/医療援助を受けるべき状態/長男の小学校受験で口論/まさか人をあやめてしまうとは/素手で裏庭掘り遺体埋める/私と結婚してよかった?

【3章 奪われた未来】
メディアスクラム、事実ではない母親像の一人歩き…。増幅する被害者一家のマスコミ不信と報道による二次被害。母親の怒りは被告だけでなく「傷口に塩を塗られた」という事件報道にも向けられる。
踏みにじられた心/かすかな希望抱き待ち続ける/お百度参り/娘とバージンロードが夢/マスコミ不信/吊り広告の写真に怒り/「春奈を帰せ」と思わず叫ぶ/検事の横で追及したい/遺影にピンクのリボン/衝立の中の証言席/娘とともに歩んでいきたかった

資料 「あすの会について」(岡村 勲)
犯罪被害者の遺族となった弁護士が設立した「犯罪被害者の会」(あすの会)。被害者や家族がどんなに悲惨で不公平な取り扱いを受けているか。その設立のいきさつ、目的と活動など。

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