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みんなのレビュー143件

みんなの評価3.4

評価内訳

8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本

読む快感

2004/02/21 13:28

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:KENSEI - この投稿者のレビュー一覧を見る

舞城王太郎はこんなにも〈小説〉の書ける人だったのだ。知らなかった。「世界は密室でできている」はタイトルに惹かれ手に取ったが、版面が読みづらくて棚に戻した記憶がある。ずっとミステリ作家だと思っていた。ミステリはどちらかといえば、ストーリーが主体だろう。今回評判もよく、装丁も気になったので、どんなミステリなのかと読んでみた。まったく予想もしていなかった。すばらしい〈小説〉だった。

小説は「ただその文章を読んでいるだけで楽しい」という快感があって、詰まっている情報も、言葉の選択やリズムも、最高(携帯のメールをニチニチニチニチって描写好き)。第一部は次になにが続くのか予測できなくて、引き込まれた。ラスト最高。第二部の“文字”はジュブナイル小説の手法にあるが、効果的に使っていて感心した。いかにも、だ。「森」は言葉の力に圧倒された。ナイフのシーンの怖さや、森のシーンなどは、昔話の持っている原始的な恐怖に近いものを感じた。もちろん背景として借りているのもあるだろうが、作者のつむぐ文章の力がなければ、ここまでの表現にはならなかっただろう。また「グルグル魔人」は、この不快感を書ききってしまうところがすごい。
〈読む〉快感を味わいたいという人におすすめの一冊だ。

ただ終章の第三部。ここは登場人物の桜月淡雪の言葉を引用したい。「もうちょっと本読んだほうがいいね」。でもこの平穏で平凡なラストが、ふさわしいといえば、ふさわしいのかもしれない。

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紙の本

アイコは勝つ

2020/07/07 13:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

学校での些細ないじめから、通り魔までヒロインに危機が迫ってきます。男に媚びない強さと、好きな人へのピュアな想いを合わせもつカツラアイコが魅力的です。

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紙の本

嫌悪感!なのに本を閉じられない!

2004/06/14 23:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いばこ@25 - この投稿者のレビュー一覧を見る

書評露出度の高い、インパクト大の書き出しに惹かれ惹かれて、読まずにはいられなかった一冊。

この思い切りのいい書き出しのまま、アイ子の言葉はどんどんエスカレートする。決して子どもには読ませたくない表現に、神戸や島根の残酷な事件を軽々しく使う著者に、嫌悪感は増幅していくばかり。ページをめくるごとに顔は歪んでいく。
なのに、本を閉じられない。その先に何かがある気がするのだ。そして、そのバラバラのろくでもないストーリーのかけらが、糸をつたうように繋がっていったとき、著者のイマジネーションに追いついていけてなかった自分に気付き、

“くそぉぉぉぉーーーーー!”

って興奮していた。
共感とか、そういうレベルじゃなく、普段意識してないことを気付かせ感じさせる。美しい表現力、共感できるストーリーで人をいい気分にさせてくれる小説もいいけど、物語りで勝負。独特な想像力と物語の強さで展開するこの本に、私もアイ子同様、ガツンと金槌をくらった感じだった。

嵐のあとのすがすがしい晴天。その爽やかな終わり方に、多分賛否両論?と思ったが、私的には“うまく裏切ってくれてありがとう”とホッとしました。

→HPもどうぞ

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紙の本

惜しい!

2003/06/01 06:20

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:矢野まひる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 かっこいい装丁を裏切らない面白さ。主人公は女子高校生。近所で「酒鬼薔薇聖斗」的事件があって、なんとなく周辺はざわざわしている。ネットのコミュニケーションが生活に組み込まれると気持ちの在り様がどう変わるかっていうことや、「酒鬼薔薇聖斗」的事件の犯人はどんなつもりでいるのか、とか、今の問題にきちんと向き合おうとしていて爽快だった。

 不満もある。重要な背景として実在する巨大掲示板を連想させる「天の声」っていうコミュニティが描かれるのだが、ひとつ肝心なことを忘れてやしないか。

 現実の世界でネット上のコミュニティを利用する人々は、この世にはネットでのコミュニケーションなんて想像もつかない、まして某巨大掲示板なんて見たことも存在さえ知らない人もたくさんいることをけっこう忘れがちなように思う。その視野の狭さこそ特徴であり問題であるのに(みんなじゃないけど)、それについての視点が全くない。

 ジャンク小説と乱暴にもくくられてしまうのは、読者が「天の声」−実在する巨大掲示板と実感を持って連想できる人だけ、に限られてしまっているからなのではないのか。まあそれはそれでいいんだけど、ここまでおもしろいんだからもっと多くの読者を獲得して欲しいと要らぬおせっかいを言いたくなった。

 その「酒鬼薔薇聖斗」も自分をとりもどしつつあり、深く反省しているという報道を読んだ。理解してあげたいけど、それにはあまりにも罪が重すぎる…。

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紙の本

私が私であることが不快なんです。

2003/06/01 00:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 《減るもんじゃねーだろうとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心》、恐らくこの冒頭のために私はこの本を読み始めたのだし、第一部(アルマゲドン)でどうやら、私が無意識に作り上げている物語の行き末が違った連結になり、勝手に作者を詰って、「なんだ、マジに金田陽治はいい奴なんだ!」「グルグル魔人の正体がアイコの好きな愛の陽治かと、…」。そんな風に陽治が怪物(阿修羅)として描かれる気配がないと感じ始めて、中途で放り投げてしまった。気を取り直して読み直したのは、読み巧者諸氏の楽しげな書評です。

 『熊の場所』は一気に読む事が出来たし、冒頭のこのツカミに違和感なくノッテ、性別判らぬこの人のパワフルな文体に、よっしゃっ、よっしゃっと、読み進んでいたら、第一部の終わりに陽治でなくて、美少女のマキが金槌持って。アイコをKO!、なんじゃ、これは、そうか、これはミステリー小説ではないのだ。三島由紀夫受賞作品なのだ。その勘違いの私が悪いのだ。でも、気分の切り替えはなかなか、難しい。
 通常ならもう一度、チャレンジすると言った気持ちにならないのだが、書評が興味を繋ぎ止めてくれたのです。
 ならば、第二部から、どんなノリで?埴谷雄高なのです。彼の口癖に【自同律の不快】というフレーズがあります。私=私は×なのです。私が私であることに耐えられない、その不快が運動のエネルギーになるのです。××××を羅列して、永久に未完の阿修羅、『死霊』に接続して、第二部の「三門」を“あつは、ぷぷい”と、くぐり抜けたのです。
 そんな読み方をしたので、正体不明の占い師、桜月淡雪は埴谷雄高になってしまい、第三部(JUMPSTART MY HEART)でアイコに淡雪は、本も新聞もちゃんと、読んで、ネットとかでつまらないサイトばっかり見ないで、外出していろんな子とちゃんと、付き合ったほうがいいだろうね。と諭し、なんでと訊くアイコに、ほうじ茶を飲みながら言ってしまう。
 
 ーだって、僕、君と君の三途の川まで行ったでしょう? あの時の君の世界のイメージ見てたら、君、あんまりにも想像力が貧困なんだもん。ああいうのって、やっぱり勉強とか経験とかの度合いが反映されるからね、君、ちゃんといろいろ物事学んだ方がいいよ?ー

 なんだか、埴谷雄高の口舌が聞こえそうだった。
 ぐるぐる魔人に三つ子を殺され、夫は自殺しちゃった吉羽沙耶香さんは、どうやら、陽治と強い結び付きがあるみたいである。陽治にとってアイコは友達。でも吉羽さんって、埴谷雄高論も書いている“池田晶子”さんを想像してしまった。そう言えば、彼女は哲学者として、少年、少女達に様々なメッセージを送っている。

 どうやら、舞城文体のグルーブ感的ノリで読んだのは第一部。第二部で哲学少女の『ソフィーの世界』(ヨースタイン・ゴルデル著)の森に分け入って、自同律の不快のエンジンで走り、飛び、第三部で、熱を冷ます。そんな読み方をしてしまった。
 私の読解は偏読、誤読かもしれない。でも、逸脱を怖れない舞城さんは私のような読者を許してくれると思う。

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紙の本

軽快なリズム感、疾走感、摩訶不思議感。くせになること間違いなしの現代を象徴した傑作だ。

2003/02/27 22:22

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投稿者:諏訪旭 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 信じられないことに今時の女子高生の一人称で物語は語られる。「つーか」とか「やべー」とかまさに普通に街で女子高生が使っている言葉で埋め尽くされた小説。これはかなりぶっとんだ小説だ。メフィスト賞受賞でデビューした舞城王太郎にとっては、特に驚くことではないのかもしれないが、一般の人にとっては、何これ? まじでー!って叫びたくなるにちがいない。文章の美しさ洗練さなどは問題ではない。軽快なリズム感、疾走感、摩訶不思議感。くせになること間違いなしの現代を象徴した傑作だ。
 訳の分からない小説だが、その根本は単純な恋愛小説である。一人の女子高生が同級生に恋をする。なかなか上手く行かない恋愛。と、なんとも温かいラブストーリーのように思えるが、恋愛をとりまくように勃発する出来事が何ともすごい。いきなり好きでもない男とセックスするは、同級生の女の子の顔をぼこぼこに蹴りまくるは、街では中学生があばれだして誰彼かまわず襲いだすは、グッチ裕三に石原慎太郎出てくるは…etc 舞城王太郎がつくりだしたまったく新しい世界。舞城ワールドに浸ってみたら、しばしの茫然自失、そして気づくとほんのり癒されていた。
 冒頭より — 減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。返せ。—

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紙の本

アイコにテキーラを一気したような爽快感と高揚感をもらう

2003/02/25 21:20

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投稿者:わにこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

元女子高生の視点からみてアイコの心情はすごく共感できる部分が多い。
その共感したまんま、小説のリアルでパラレルな世界にひきずりこまれていくからすごい!
うぉ〜さっきまでラブホに、調布に、いたんじゃないかぁ、、とか思ってるうちに次の章に巻き込まれていく感じ。
アイコは超前向きでもないし、特に改心するわけでもない。けど逆にそんなところがより共感させられる。好き。
ドリュー・バリモアの高校に潜入取材する映画にくそっくらえと思った人向き。
中だるみはあるものの読み終わった後テキーラを一気したような爽快感と高揚感が味わえます。
ひさびさに顔面に一発きた! 読むべし。

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紙の本

舞城ワールド中毒

2003/02/02 21:26

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投稿者:ツキタ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 相変わらずのぶっ飛んだ分圧で、それでいて物語は全部が全部登場人物が勝手に動き出すのを写生するみたいに素直に書かれているものだから、読み手の頭の中はとにかく作中の誰とでも同化できるんじゃないかってくらい身近です。

 主人公もサブもチョイ役もどいつもこいつも暴力セックス死たっぷりの変な人間味があって、そんな世界観が良いとか悪いとか考えるまでもなく、むしろそんなものもはや何でも良く、とりあえず読んで追ってってそれだけでとても楽しい、スリリング、熱い。
 そういう圧倒的な力を持った作風はさすが。

 そして過去作品全てに共通する、スピーディな文体にも隠れきれないナイーブな部分、それもやっぱり健在でした。
 後半のワンシーンでの、古来から疑うものなんてほとんど無かったはずのあの名言を否定してしまったことですらすらりと共感できてしまって、これ以上舞城作品を読むと自分は危険だ! と感じてしまうほどでした。

読めば確実に引き込まれてしまう、
舞城ワールドという世界の実在を確信させる一冊だと思います。

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