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別れを決意した二人の、最後を飾る4日間の旅。雪の京都で過ごす大切な、濃厚な時間。その設定を聞くだけでも、深くため息をついてしまいます。最後の思い出旅行なんて返って辛いだけにも思うけれど、そうしたくて溜まらない気持ちも分かります。自分で設定した舞台を演じた後の片付けも自分一人でしなければならないと分かっていても。私の年でいうのもなんですが、今後の人生が「足元」にある人は、「遠く」まで人生が続いてる人を見送りたいと思うものなのでしょう。文中の表現で言えば、死の湖が見えない人に、湖の存在を分かれというのは無理な話で、でも湖の近くまで来てしまったら、離れることは出来ない。その湖は人を引きつける力を持っているのです。この作品では結子は正臣より8歳年上だけれど、年齢差や二人の年齢に関係なく、そういうことってあるんじゃないかと思います。最後にタクシーに乗った後の二人のシーンは、胸を潰されるような気持ちでした。
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画家と音楽家とモデル、なかなか面白い内容だった。恋愛だけでなく、人の生死が描かれた物語だ。京都の旅行が基盤に描かれているのもよかった。年齢を重ねてきているとはいえ、自分はまだまだ死を身近に感じて日々の生活を生きているとは言えない。年齢とともに感じることも変化してくると思う。10年、20年たったときに人の生死に関してどういう考えを持っているかはわからないが、主人公のように冷静に捉えられる自信はまったくない。人生で出会える人の数、過ごせる季節の数、それらは本当に限りあるもので、一つ一つを大切に、そのときはその瞬間しかないことをかみしめながら、生きていけたらいいなと思う。
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図書館の本
内容(「MARC」データベースより)
日本画家の専属裸婦モデルを務める結子は、恋人のピアニスト島津と、別れるための4日間を真冬の京都で過ごす。恋情と性愛の極み。艶やかに奏でられる「恋愛宇宙」。『オール読物』連載。
小池真理子の日本を舞台にした小説はめずらしくないか?と思って借りてきた割にははまってしまった。
年齢的にも、音楽も理解できるものが多すぎて痛くて、切なくて。
たぶん島津は結子の決断を理解することはないのだと思う。
「パズルの1つが嵌っただけ」という理解の仕方なんだと思う。
女じゃないとわからない「老い」のみえかたなのだろう。
本の表紙のようにまっさらな気持ちにさせられる作品でした。
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【ストーリー】
日本画家の専属裸婦モデルを務める結子は、恋人のピアニスト島津と、別れるための4日間を真冬の京都で過ごす。恋情と性愛の極み。艶やかに奏でられる「恋愛宇宙」。『オール読物』連載。
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別れを決めた男女が、最後に思い出の地を旅行する。長年日本画のヌードモデルを生業とする女性は未婚で、年下のピアニストは既婚者。
心情とからませた情景描写などしっとりとした表現はいつもながらうまいのだが、小池作品によくある、当然のような不倫関係というのがそもそもしっくりこない。過去を振り返りながら別れを盛り上げていくのも、自己陶酔にしか見えないのが、残念。