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紙の本
その名は101(2)
2016/09/15 22:24
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投稿者:karakuchi - この投稿者のレビュー一覧を見る
名作バビル2世の続編、その名は101の2巻目である。
CIAの超能力者との戦いがますます熾烈を極める本巻では、この物語の中で特に印象的な3人の超能力者が登場する。
一人目のドミノは、コンプレックスの強い男である。本来、冷静沈着であるべき諜報員でありながら、自らの能力に溺れて悪の限りを尽くし、ついにはCIAにも見放される。最後は幼稚な感情を爆発させながら101に立ち向かい、無様に倒される。
しかし、我々には彼を「無様」と嘲笑う資格があるのだろうか?
現代の競争社会においては、「資質向上」「挑戦」などという耳ざわりの良いキャッチフレーズを掲げ、常に少し「背伸び」することが求められる。我々もまた、常にコンプレックスに苛まれながら、ともすれば、「天から降ってきた身に余る能力」に溺れてしまう可能性を持った存在なのではないか?ここで描かれるドミノの姿は我々自身のカリカチュアであり、それを「無様」と感じるのは、鏡に映った自分自身に対する近親憎悪なのかもしれない。
二人目のスペンサーは、バビル2世の分身ではない。生まれついての能力者である。そして、先のドミノと同様にコンプレックスが強い。
101に倒されたスペンサーは死の間際にこうつぶやく。「俺が人より優れているというのはこの力だけ。」
それに対して101はこう言う。「こんな力はな、昔なら(中略)尊敬を集めたろうが、文明の世の中ではかえって迷惑がられるとか、悪用されるだけなんだよ。」
冷たいセリフのようで、その奥にはスペンサーの想いに対する101の共感が感じられる。彼もまた、疎外されたアウトサイダーなのだろうか。
3人目のジェームスは、家族を愛し、家族のために超能力者になった男である。家族の幸せを守るために、危険も顧みずに与えられた使命を真面目に果たそうとする。不安がる妻と小さな子供たちに笑って手を振り出かけるその姿は、職業の特殊さを差し引いても、現代のサラリーマンそのものと言える。
最後は家族を思い浮かべながら息を引き取っていくその姿は、哀れである。しかし、恐らくそれを分かっていながらジェームスを倒さざるを得なかった101の心境やいかに。
これは何のための戦いなのか?しかし101には迷いがない。彼もまた、ジェームスと同じく、「与えられた使命」に縛られ、不本意な戦いを強いられてきたという事なのだろうか。
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