紙の本
「皮膚」の鼓動
2006/10/28 18:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nanako17girls - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は間違いなく赤坂真理の傑作である。と、言い切ってしまうと終わってしまうので、まあ、「傑作であるが、しかし・・・・・」と「しかし・・・・・」の部分を書いてみよう。
あとがきにこれを読んで「この主人公はあたしだ!」という読者の意見に赤坂は素直に喜んでいた。でも、ちょっと一言いわせてもらうと「それはナイーブ過ぎませんか?」だって、この主人公の行動に感情移入するのはぼくにはよくわからない。むしろ、読んでいて違和感を感じることが少なくなかったからだ。「食べ吐き」「飲酒」を繰り返し、不眠症に悩み、男に癒しを求める。そんな主人公に、ただ共感できるというのはおおくの女性がそのような「願望」をもっているというこのなのか?それはただの「願望」に過ぎないのではないのか?だったら世の女性たちよ、仕事をするな、子育てに悩むな、恋愛なんてするな、友人なんて作るな。すいません、過激なことをいってます。「自立した大人の女性」という幻想、理想に縛られている。すくなくとも本書に共感を「素直に」示す、ということはそういうことではないのかな?なんて、ぼくは感じる。「平和ボケ」という感すらある。
スイマセン、いろいろ悪口をいってしまって・・。批判をしたかったわけではありません。ただ、これを読んだ読者の反応が気になったのです。あまりにも無条件に賛同することはぼくには出来ない。ぼくが「いい」と感じたのとはちょっと違うのだ。受け止め方は自由だ。でも、そこに何らかの「違和感」を感じて欲しいと思う。「この主人公はあたしだ!」なんて思うのは「思い込み」です。
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一人称な話の展開なので
ちょっと苦手な人も多いかも・・
あっという間に読めてしまいますが
これは・・どうかなぁ・・
半分に分かれるところだね〜。
あたしは 好きだよ。
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語り手はフリーライターの女性。冒頭「あたし」の自虐的で爛れた生活と、
悲鳴をあげんばかりに追いつめられた精神状態が
(彼女は幻聴にも悩まされている)
畳み掛けるような文章で一気に綴られる。
コンビニで知り合った男のトラックに便乗、
男と会話やセックスをしたり車に揺られてる内に「わたし」がなんらかの安らぎを得るまでの4日間の旅路がこの本のお話。
あらすじにしてしまうとこれだけだが
何気ない会話がエロチックだったり、官能描写の触感、
トラッカー無線の会話の生々しさ等、感覚的な描写が繊細。
ちょっと面白いと思ったのが無線でそれぞれがニックネーム名乗ってたり
(いわばハンドルネームだな)
こっそり違法なことしてるとか、いろんなチャンネルが抗争してたり・・・
へぇー、インターネットと似たような事やってるんだね。
文体に乗せられて一気読みしたけど
「わたし」と同化して読めたか?というとイマイチで
この書き方はなんとなく女性の生理にうったえるような気がする。
・・・それにヴァイブレータって女性喜ばせる物でしょ?
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帯には「あなたのことがかいてある」とあるが、残念ながら僕のことは書いてなかった。面白かったか、と聞かれれば、面白いと答えるつもりだが…★物語はいたって単純。中学生のころから世間や世界との違和感を感じ始めた主人公は現在31才の売れっ子女性ライターであるが、その違和感は頂点にまで達しており、今や自我の崩壊の寸前にある。ある雪の日、彼女はコンビニで出会ったトラックの運ちゃんと知り合ってトラックでの旅(と運ちゃんとのセックス)で自分を取り戻していく、といったところでしょうか。★
正直に言うと、一番気に入らなかったのは高橋源一郎の解説! 具体的に言うと、自我の外部との衝突によって主人公は自分の言語を失い、一連の出来事によって主人公は再び自分の言語を獲得する、という過程を日本近代文学の言語の崩壊と再生になぞらえていること。まとめると、1,言文一致体によって成立した近代の日本語は国民を啓蒙し、教育し、近代人(つまり国家に都合のいい人間)たらしめるためのものである。この言語を作り上げたのはなにより男性であり、権力者である。小説の主人公が自分の言葉を失っていくのは、近代の日本語がこのような性格を持つためである。さらに、このような問題を抱えているのは、彼女だけではない。近代の日本語散文は今や崩壊の時を迎えている。2,つまり作者が綴っていることばこそ、近代日本語崩壊の後をしょって立つことばであり、これは主人公が自分のことばを取り戻していく過程とパラレルである。★この小説が何故日本文学の未来をになわなければならないのか、僕には全然わからない。自分のことばを失う、言った先からことばが朽ちていく、という意識は沢山のひとが感じている切実な問題だと僕は思うが、それって日本語がそういう性質を持つからなのか? 運ちゃんと出会って主人公は自分のことばを幸運にも回復するが、日本語を革命的に作り替えてもやっぱり自分のことばはことばじゃない、って思う人いると思う。しかも100年以上前にホフマンスタールって作家も同じこと言ってるぞ。ドイツ語で(「チャンドス卿の手紙」)。ことばがリアリティを持たない、ものを掴みきれない、自分を的確に表現できる感じがしない、っていうのは世界中の文明社会にいきるひとの抱える問題なんじゃないのかなぁ。
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主人公がなにいってるかまったくわからない。んだけどそれをカバーするほどのこの小説の(私にとってだけの)魅力!それは!岡部かっこいい!!!私も岡部に抱かれたいです。結構マジに。
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最初読んだ時はぐだぐだと書かれている、わかりにくい心理描写が読みにくかったんだけど、何回か読んでいたら「ここに書いてある事が理解できる!」と思うようになった。
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寺島しのぶさん主演の映画が気になっていたので、まずはこちらから読んでみました。久々の官能的?な小説。物語は短く、急展開に進み、一見滅茶苦茶な内容に思えるのですが、すごく計算されていて素晴らしいと思います。映画も見てみたい。
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セックスと溢れる言葉。自他の境の曖昧さの中でやっと生き延びている主人公が出逢ったのは、トラックの中で生きている男。トラックという巨大なバッテリーは、やさしさの溢れる場所だった…。
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感覚的な文章を書くのが上手い方です。最初読んだ時、自分が上手く言い表せられなかった感情を、言葉を、表現してくれていると思ってびっくりしました。この方のエッセイもお薦め。
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1ヶ月前くらいに読んだことを忘れていてまた読み始めてしまった。途中で思い出したけど、それくらい残らない内容だったように思う。
個人的には表現がわざとらしい気がしたのでこの著者は苦手な部類かも。
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http://coco6calcio.blog96.fc2.com/blog-entry-99.html
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映画も非常に良かったけど、先に本を読んだので。
これはいい。
男性にはお勧めしないけど、とにかく非常に良い。
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この小説を読んで「どうしてあたしのことがここに書いてるんだろう」と思った人がいたらしい。
そんなふうにすべてに共感はできないけれど、主人公の「頭の中の声がうるさい」というのはわかる気がする。
そして、コンビニで出会う「おかべたかとし」の優しさは、主人公を声から開放して、ほんのひとときでも安心感をもたらしてくれる。
アルコールと食べ吐きから逃れられない女性ライターが、コンビニで出会った運転手のトラックに乗って、そのまま四日間ついていく、ただそれだけの話なんだけど、なんだか余韻の残る小説だった。
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一つの原点回帰。
男の胎内たるトラックで壊れかけのフリーライターが包まれ、純度を上げていく。
喰い喰われ溶液のように混ざり合い、上がっていく。
振動し続けていたノイズが柔らかに消えて。
行き詰った時、大元に立ち返って調子を取り戻す事がありますが、人としてそうなった時に戻る場所がそこなのかな、と。
つまりは、ぬくもりが。身を委ねられるものが。
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約10年前に一度読み、そのあと映画版を見た。
当時思っていた印象と違う印象を受けた。
アルコール依存と食べ吐きをするフリーライターの女性と、トラックの運転手の4日間の旅。言ってしまえば行きずりの関係ではあるが、だからこそ共存できる関係というものが見えた。
今の自分にとっては、難しすぎる話。