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紙の本
淳がいちばんえらい
2016/10/11 03:04
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
韮山とルミの関係が殺伐とした話に少しだけ彩りを加える。血を越えた「情」というのは誰もが手にできるものではない。選ばれた人だけが手にすることができる宝物。お嬢さん萄子、新恋人の淳に心配を掛けながらも、勝がいるとされる宮古島へ飛ぶことを決意。占領地沖縄は当時は外国。さい果ての地で勝と再会、嵐の中の独白シーン。真相が明らかにされていく。不器用だったのね、勝。だけでは済まされない不幸の連鎖。何が正しいのか最善なのか、私も混濁してくる。決してハッピーじゃない。でも終った。淳さんあなたへは惜しみない拍手を送りたい。
紙の本
その「世界」へ入り込むことができる小説
2004/09/25 19:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あい - この投稿者のレビュー一覧を見る
簡単に言うと、サスペンス&ラブストーリーである。
愛し合っていた結婚間近の二人が、突然男の「忘れてくれ」の電話の一言で離れ離れになる。女は納得がいかず、男の行方を捜す。
これだけなら、どこにでもありそうな話なのだが。(おそらく)
この男が消えた事情が、簡単そうであまりに複雑だった。
男が消えた理由は、おそらく彼が関わってしまったであろう知り合いの女性が殺された「殺人事件」。
だれが彼女を殺したのか。どうして殺人が起こったのか。彼はなぜそこにいたのか。
周りのみんなが「犯人はあいつだ。」と男を捜す中。女は一人「彼は殺していない!」と信じ、捜し続ける。
もし、自分がこんな立場におかれたら、周りに誰も味方がいなくなってしまったら…どうするだろう。
本の中の女みたいに、それでも彼を愛し、信じ続けることができるだろうか。
この小説は、今の私の暮らしている世界とはまるで別世界のような話だった。ありそうで、なさそうな話。
だからこそ、淡々と読むことができた。その別世界に入り込むことができた。
結局、再び男と女が結ばれることはなかったが、それでもお互い幸せになることができたというのは、美しい話だと思った。
私は頭を使う難しい小説より、その「世界」に入り込むことのできる小説が好きだ。
今回読んだ「涙」はまさに、入り込むことができる物語の一つであったと私は思う。
紙の本
一気に読めました
2003/06/08 20:18
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投稿者:スミ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初はこんな内容で上下巻も続くのかと思ったら、事件が起こった後ぐいぐいと話に引きずり込まれました。時代背景が終戦から東京オリンピック、その後数年と現代ではない時代というのも自分の知らない時代だからなのかもしれません。激動の時代の中でやはり激動の人生を送った人々。読んでいてじれったくもあり、でもやはりどうなるのかというハラハラさもありました。ただ、最後がなんとなくものたりなく感じたのも確かです。事件発生から消えた婚約者を追う旅の間はすごく充実していたのに最後にもう1つ何か欲しかったかなあという感じがしたのは私だけでしょうか?
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淳の存在
2023/01/24 15:01
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
結婚式直前に立ち去った勝を探し続ける萄子。真実を知りたいという萄子の気持ちも理解もできるが、連絡も何もない勝をどこまで待ち、いつまで探し続けるつもりだったのかなぁ。しかし、淳の存在が大きかったですね。萄子に対してちょっと持った不快感をすべて洗い流してくれたような気がします。
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恋人探しの旅は壮大だが…
2003/03/26 06:52
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投稿者:茶太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大作家の傑作ミステリーという触れ込みに惹かれて読んだ。要所要所に盛り込まれる昭和の時代性や庶民の暮らし振りなどが垣間見えて興味を引かれた。しかし、男と女の悲劇という点ではどうだろうか。横恋慕する女と黒幕の陰謀によって、勝と萄子は数奇な運命を辿るのだが、黒幕の寺崎の人物像は全くと言っていいほど描かれていない。萄子の恋人を探しの旅は壮大ではあるが、その根っこの部分が偶然性に左右されただけの印象で、内に抱える問題や人間の対立といった構図は見出せない。上下巻に分かれた文章量は圧倒的だが、無駄に長いという印象が強かった。