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プロ野球よ! 浮上せよ「魅せる9イニング」 みんなのレビュー
- 日本経済新聞運動部 (編)
- 税込価格:785円(7pt)
- 出版社:日本経済新聞社
- 発行年月:2003.2
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文庫
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紙の本
それで、どうすれば良いの?
2003/03/22 23:31
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
プロ野球界の危機的状況を検証している。スター選手のメジャー流出、金満球団のためだけにあるかのようなFA・ドラフト制度、マスコミの偏重報道などなど。そして、その結果招いた人気凋落。
しかし、ここで述べられている問題点については、すでにいろいろなメディアが議論をしている。番記者しか知り得ない、裏話を交えての問題提起には興味をそそられるが、ではどうすれば良いのだという疑問が残る。より具体的な提案が欲しかった。確かに、各章の問題点に関して「珍案・奇案によるたたき台」を前提とした改革案を示している。なるほどと思わされる案もあるが、全般的に稚拙な感じが否めない。内輪の会議録を読まされた気分がした。
「プロ野球への異見、直言」として関係者の寄稿が救いにはなっている。鈴木昌氏(Jリーグ・チェアマン)の意見は、抜群の切れ味だ。Jリーグの目的はサッカーをさかんにして、スタジアムに集まる人を増やすこと。プロ野球は利益に直結するスター作りをやっていると言う。どちらもビジネスなのだが、スタンスの違いは明らか。また、野球界が人気回復の切り札と期待する五輪チームの長嶋監督就任についても、誰もが違和感を覚えながら指摘できなかったことを、バッサリと斬っている。氏のほか、高塚猛氏(ダイエー球団・オーナー代行)、井箟重慶氏(元オリックス球団・代表)、古田敦也選手の意見は興味深い。欲を言えば、日本球界を経験した、MLBの監督の意見も読みたかった。私が知る限りでも複数いる。そして何よりもコミッショナーのビジョンが知りたい。
マリナーズやヤンキースの野球帽を被る子どもたちは増えても、バッファローズやスワローズの帽子を被る子どもは減りつづけるのではないだろうか。なぜなら、一地域にチームが密集し、パイを奪い合って(独占されて?)いるから。野球人気の回復には、本拠地の分散がもっとも効果的で、根本的な解決策だと思う。そういった意味でも、ファイターズの札幌移転や横浜球団のファーム組織独立化に、もっと深く迫ってほしかった。発行元が日本経済新聞社だけに、マーケティング見地でのプロ野球論が希薄だったのが惜しまれる。
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