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死刑はいかに執行されるか 元刑務官が明かす 実録死刑囚の処遇から処刑まで みんなのレビュー
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紙の本
釈然としない書
2005/01/12 09:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
去年は大阪教育大付属小での児童殺傷事件の犯人が処刑されましたが、そのことをきっかけとして、死刑について知る何か手頃な書がないかと思っていました。本書の著者は30年近く刑務所や拘置所に勤務した経験があるとのことで、手にしてみました。
しかし全体構成にクセがあります。小首をかしげながら読む箇所が多く見られました。
最初に描かれるのはある年の12月27日に処刑されたYの「実録」。Yのように年末ギリギリに処刑されるのは極めて異例で、このことが正月を迎えられると喜んでいたYの気持ちを省みない行為だということはわかりました。しかしYがどれほど残虐な方法で何人殺したのかが明示されていません。読者は著者の肩越しにYを「哀れな死刑囚」としてのみ見るおそれがあります。 それは公平ではないでしょう。
処刑場面を10頁の漫画で描いた箇所がありますが、これが少女漫画風の線の細いタッチで、全体的に清潔感のある描きかたがしてあります。処刑直後の遺体にはシミひとつありません。
カメラが入れない処刑場面を視覚的に読者に提示しようという試みであることは理解しますが、実際には伴うはずの死刑囚の抵抗もあっさりしており、混乱や緊張感というものは伝わってきません。もっと画力のある漫画家を起用すべきではなかったでしょうか。
また、本書の後半には100頁にも及ぶ「ドキュメント・ノベル」なる読み物が唐突に現れます。刑務官相互の陰湿な人間関係、死刑囚たちとの癒着、刑務所内の規律のゆるみといった要素が盛りだくさんの小説です。
死刑囚を取り巻く環境を描くのに小説風読み物がふさわしくないとまでは言いませんが、ノンフィクションだと聞いて手にした読者は肩透かしを覚えるでしょう。小説の出来としてもさほど評価できません。刑務官のひとりが別れた妻にオーラルセックスを強要していたという設定が出てきたりして、なにやら際物狙いの気味があって好きになれません。
全編ノンフィクションで通さなかった著者の意図をはかりかねました。
日本の死刑をめぐる実情を一般読者に伝えることはやはり難しいということなのでしょうか。
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