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紙の本
もう一つの「存在と無」
2003/07/20 21:52
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投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ともにソルボンヌ大学に在籍し、かたや哲学科に属して「存在論に関する人目を引くエッセイ」を書きあげたリュシュ氏と、数学科の学生で「ゼロについての資料的な裏づけをもつ小冊子」を発表したグロスルーヴル。二人の友人は「存在と無」とよばれて、狭い学生の世界でちょっとしたスターだった。(何年かのちにサルトルが発表した哲学的エッセイのタイトルは、ふたりのニックネームの盗用だった?)
半世紀後、パリで古書店「千一冊の文書館」を経営するリュシュ氏のもとに、旧友グロスルーヴルから、ブラジルのマナウスの消印をもつ謎めいた手紙(「πRくん 君の名前の書き方で、こちらがだれだかわかるだろう。」──πRとはピエール・フェルマーのこと)が届き、重さ数百キロという数学の文献が送られてくる。ちょうど同じ頃、リュシュ氏の書店で働くペレットの息子マックスが蚤の市で「記憶喪失」のオウム(ノーフュチュール)をみつける。
これが事の発端で、以後、数学の歴史をめぐるゆったりとした物語(数学史をたどるときには、「音楽よりはやく歩いちゃいけないよ」)と、グロスルーヴルの死の謎や「ゴルドバッハの問題」をめぐる物語(「それ[数学]は『思考力』だからね。数学は媒体をもっていないんだよ」「物質的な媒体でない記憶装置とはなんだろう。それは、鳥だったんだ!」)が渾然となって、前代未聞の「数学ミステリー」の逸品をかたちづくっていく。
──著者はパリ第8大学科学史教授。訳者には、他に『精神発生と科学史』(ピアジェ他)や『ジャック・ラカン伝』(ルディネスコ)の翻訳がある。
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