紙の本
私達は、それぞれの瞬間に、それぞれの気持ちをもっている。
2003/06/05 00:02
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投稿者:yaeba - この投稿者のレビュー一覧を見る
何をしていても楽しい、恋のはじめのドキドキ感。
誕生日にふと感じる、将来への焦燥。
三角関係の、それぞれの複雑な心情。
強がっていた心がプツンと弱ってしまう瞬間。
ごくささやかな、一瞬の心情が散りばめられた作品集——まるで「感情のコラージュ」というのが第一印象。だが、この『短篇集』は単なる短篇の羅列ではなく、全体でひとつのまとまりを持っているように感じる。全てを通して読み終えたときにこそ、この作品の味わいが分かるだろう。
そして、それぞれの作品には、ごくささやかな感情が表現されている。例えば、恋の始まりのドキドキ感を描いた作品のタイトルは「そして恋は始まっていく」だ。「そして恋は始まる」でも「そして恋は始まった」でもなく、「そして恋は始まっていく」なのだ。この作品には、まさに「始まっていく」の部分が描かれている。ささやかで、繊細。だからこそ、共感できる。
魚喃さんは、どうしてこんなにささやかな気持ちを表現できるのだろう?と不思議に思っていた時、ダヴィンチのインタビューを読んだ。記事によると、魚喃さんは「今ある感情」を残す為に日記をつけ、ヴォイスレコーダーでふと思ったことを吹き込んでいるらしい。
「なんかもったいない、と思うんですよ。今の感情を残しとかないと、1ヶ月後に今のこの感情を描けって言われても、描けないだろうし、だから今のうちに残しとこうって思うんです」(『ダヴィンチ』2003年4月号P96)
なるほど。それぞれの作品に、魚喃さんの味わったそれぞれの瞬間が映し出されているのだろう。そしてそれゆえ、感情がリアルに伝わってくるのだ。乾いた感情でなく、湿った感情が。
ところで、私はaikoの歌(特に歌詞)が好きだ。aikoと魚喃さんはまるで違うジャンルだけれど、作品が心にスーンとしみいてキュンとなる点で共通している。aikoもまた、ノートを持ち歩いて感情を書き留めているようだ。だから彼女の歌は私の心にまっすぐに届くのだ。
そしてまったく次元が違うけれど、私も書評に「いま」の感情を残したいと思う。本を読み終えた瞬間の感情、というのはその時にしか味わえない貴重な感情だ。そしてそれが誰かの心にしみいたり共感を生むのなら、それは素敵なことだろう。
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青春ですねえ。
ここに出てくる若い人は泣いたり笑ったりします。笑ってる顔が泣いてる顔よりも悲しそうなのがじんときます。
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タイトル短編集ってそのまんまなぶっとび男気根性に感服。内容はかなり良く女気なんで、男は読むな!てな感じだみょ。しかるに女子は読んで、もにゃとすべし。
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『南瓜とマヨネーズ』の前の話や、『Strawberry〜』の鈴木さん・秋代さんの話も入ってるo鈴木さん、念願叶って恋に落ちてましたo凄くかわいいo
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その名の通りの短編集。一冊で魚喃ワールドを堪能できます。短編なんでちょっと物足りないかもしれませんが、夜寝る前に読むには最適だと思います。話によっては切なすぎて眠れなくなるかもしれませんので要注意。
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「あたしはすぐ燃える。
背中にガスボンベ
片手にチャッカマン、
操作方法を誤り自爆。
−--悪いクセだ。」
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この作家さんの漫画って、淡々とテンポ良く進むストーリーが、
より作品に透明感を感じさせるんだと思います。
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「恋なんて どうせたかがサッカクだ
たかがサッカク ぶっこわれてもぜんぜん平気
だったらいくしかないでしょー
‘あたしはとても元気だ’
‘ひとりでもこわいくらいにとても平気’
あたしはその時
自分の感情に
正直じゃなかったことに
気付いたのだ。」
・・・ラヴです。
短編集の潔い名もよい。
恋の始まりの楽しさも
悲しい結末も
朝が来る普通の毎日のすばらしさも
なんもかんも詰まってて
自分が「ラヴ」好きなことを再認識させられる。
なななんさんの魅力を再発見した1冊。
ハギオ
嶋村
鈴木さん
どこかで見たことあるキャラが
登場するものうれしい。
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胸の奥がぎゅうううって苦しくなっちゃう恋のお話がいっぱい。ほとんど言葉がなく絵だけで進んでいく「水槽」と、どうしようもないバカ男なのに彼の言動一つ一つ全部が愛しく思えてくる「痛々しいラブ?」がお気に入り。
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この短編集好きです。「痛々しいラヴ?」は後の南瓜とマヨネーズへ、「痛々しいラヴ?」「鈴木さん」はStrawberry shortcakesにつながっていきます。
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今だに、開きます。
別に、この漫画から何か得ようとか、何かして欲しいとか、何も思いません。
でも、開いてしまう本です。
装丁が綺麗なせいかしら?
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好きな話は?「ラブリー」(いいですね。こういう共犯関係)?「まっ、これもいいかなってこと」(最後号泣しているのは好きです。但し感極まってるのではなく、話の筋とは関係の無い人が突然泣いてるのが、ようは祭りです。)?痛々しいラブシリーズ 榎本ナリコもそうですが少女のような感慨が素敵です。ナリコはまっすぐいってますが、ナナンさんはちょっと斜に構えてしまうようですが美しいです。
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ほかの作品にでてきた人物のむかしのお話やその後のお話があるので、さきに読むともったいないかも。
あいかわらずとてもすてきな世界観。
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魚喃 キリコさんは、私の漫画観を変えた。人生観を変えた。そういっても大げさじゃない。
「水槽」とかスゴイ。セリフはたった一言!!だけどあのシンプルな絵柄の中に、もやもやとかダラダラとか全部詰まってる。
「日曜日に風邪を引く」は鼻の奥がツンてするし、
「鈴木さん」の妄想トレインに共感しすぎて恥ずかしくなる。
キリコさんの『心の声』にはいつもリアルすぎて驚かされるけれど、
「ラブリー」みたいに会話だけ、ってのも逸脱!!
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魚喃キリコのマンガってやっぱり洒落乙だ。
本人の実体験でリアルなんだけど詩的空間だから介入する余地がない。
うん。洒落乙。