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紙の本

このシリーズ中、もっとも華やかなカバー写真かもしれない。でも、モノクロ。そして小説の方もかなり渋い。でも、読みやすい。これってミステリ?うんそうだよ

2005/03/23 19:38

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「1915年のロシア。恋に破れ川に身を投じようとしたオスロフの前に現れた男は、オスロフに過去の好きな時点に連れて行くと申し出る」歴史推理。

美しいブックデザインが特徴的な本格ミステリ・マスターズの一冊。

小森健太郎は、名前がありふれているので読んでこなかった作家。文章も名前同様、奇をてらったところがなく、難しい内容も分りやすく伝えてくれる。この本も、シリーズのいつもの構成で、巻末に作家論「小森ミステリから神秘の輪へ」(つずみ綾)、スペシャル・インタビュー、著作リストとなっている。ただし作家自身の経歴が全く載っていない。何年生まれ、どこどこ出身とか。そういうのって、困るんだなあ。基本ですよ、土台ね。

小説の舞台は、1915年のロシア。現在のではない、哲学というものが革命と同じように夢を与えていた時代の北の帝国。ラスプーチンが力を振るい、ロマノフ王朝が倒され、ケレンスキー政権が樹立される激動のロシア。主人公は、恋人ジナイダに捨てられて悲観、自殺をしようとするオスロフ。その場に行き合わせたのが、ピョートル・デミアノヴィチ、『第四次元』『タロットの象徴主義』『ターシャ・オルガヌム』『奇蹟を求めて』などを著したロシアきっての気鋭の思想家で著作家である。

東洋を旅して、秘術を学んだと言う男が、オスロフに「ジナイダとやり直したいならば、君が望みの時点に行かせて上げる」と申し出る。もう一度過去に遡れるならば、恋人との間で犯したミスは繰り返さない、と彼は自信をもってデミアノヴィチの施術を受ける。その結果、オスロフはデミアノヴィチに傾倒していく。

その一方、オスロフに慕われる有名人デミアノヴィチは、コーカサスのギリシア系ロシア人で魔術的な力を持つGという男に惹かれ、師と仰ぐようになる。過去を明かさない、風体も良くない謎の男は、見事な弁舌と圧倒的な存在感で、彼の講演を聞く人々を虜にしていく。焦燥を感じたオスロフは、男の身辺を探り始めるのだが。

この小説には、その舞台に相応しく夥しい数の哲学や神秘学関係の人物や書物の名前が登場する。勿論、歴史上の人物もだ。ウスペンスキー、カント、スウェーデンボルク、シュタイナー、ヒントン、ニーチェ、ピタゴラス、グルジェフ、ハートマン、ケレンスキー、レーニン、ドストエフスキー、ウィルソン、リード、スターリン『純粋理性批判』『視霊者の夢』『神智学報』、『ベルゼバブの孫への話』『グルジェフと共に』『二十世紀の神秘家ウスペンスキー』などなど。ウスペンスキーの名が直ぐに出てこないのは、小森の意図なのだろう。

ふつう、これだけの名前が出てくれば、空理空論が頁を埋め、聞いたことも無いような裏話が、現実感を失わせるはずだが、小森はその愚を犯さない。むしろ、何故こんなにも読みやすいのだろう、と思ってしまうほどだ。その分、深みが無い、という人もあるかもしれない。しかし、虚仮脅しの空虚な言葉よりは、地に足のついた文章のほうがいいに決まっている。

ただし、途中までこの作品のどこが本格ミステリだ、とは思う。事件が起きた時も、なんで今更?とも思う。しかし、よく考えると、その事件は陳腐ではあっても、話の展開には不可欠なものであることが分る。

哲学や近代史に弱い私などは、ここに掲げられた人物名や書名の、どれが実在のもので、何が著者の創作になるかも分らない。ただ、読み進むにつれ、あれこんな人が、こんな歴史上の出来事がと、気付き始めると虚実の境目が一気に曖昧になり、もしかするとこの人も実在の人?などと興味が湧いてくる。

そして、実は殺人事件の解決が重要ではなく、歴史の解釈が主題の本だと気付く。それは対談まで読めばよく理解できる。しかし、普通の人は、多分物語り全体をフィクションとして読む気がする。それが現代日本人の限界。それでも面白い。予想外の本である。

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2005/06/15 23:29

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2007/04/27 11:51

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2009/12/16 15:17

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2010/08/28 12:24

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