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重力ピエロ みんなのレビュー

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みんなのレビュー933件

みんなの評価4.0

評価内訳

926 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

自分を肯定して生きていく為に

2006/08/02 10:57

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ポプリ - この投稿者のレビュー一覧を見る

異色なミステリーだ。28年前に30回以上の連続レイプ事件が起こり、その時美人の若い母親も強姦され妊娠した。夫は迷ったけれど心優しくて、出産の許可を出し、そして主人公である私・和泉に2歳年下の弟「春」が生まれたのが、事の始まり。幸せな家族だったが、妬みもあって近所からは強姦魔の子どもだ、との陰口が続いた。
その春が27歳の時に、昔の連続レイプ事件と同じ場所で、連続放火事件が発生した。そこに謎めいた落書きが発見され、そしてかつての強姦魔が殺された。その事件の現場には、必ず春が居合わせていたのだ…。この春は、育ての父親を深く愛し兄とも強く心が結ばれ、優しさや悪を憎む強さがかっこ良くて、読後感をとても良いものにしている。
春を追いかける整形美人のストーカーが面白いし、春の母親(レイプの被害者)は魅力的で、人物が、強姦魔以外はみな素敵で華やかに登場する。
レイプの結果生まれた子、という設定がシリアスで真正面からレイプを扱ってこの作品はゆるがない。遺伝子DNAの二重ラセンがキーワードになって少し複雑な感じがする。タイトルの「重力ピエロ」の意味は、《空中ブランコのピエロは楽しそうだから落ちるわけ無い》《楽しそうに生きていれば地球の重力なんてなくなる》、という、春の両親の会話の中にある。
読み終わって、「あ〜面白かった。本当に面白かった」と、心のそこから思えた。本当は、こんな風には生まれてきたくなかった春、自分の中にある強姦魔の遺伝子を憎む春が、自己を肯定して生きるために、赤の他人の実父を仇にするという、重いテーマだけれど、ユーモアたっぷりに楽しく書かれていて、涙が出るほど楽しめる。(あっ、つまりは、春はピエロなんだろうか、哀しく切ない憐れな、ホンモノのピエロ)

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紙の本

重厚なテーマとユーモアが織り成す物語

2005/06/22 16:50

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:和音 - この投稿者のレビュー一覧を見る

遺伝子を扱う会社に勤めている私に街の落書き消しをしている弟の春から「兄貴の会社が放火に遭うかもしれない」とメッセージが入る。そして本当に会社が放火に遭ってしまう。春は、連続放火事件のルールを見つけたという。放火現場の近くには必ず落書きがあるというのです。
過去のあまり思い出したくない事、自分の存在意義にも関わる事、と重たいテーマが全体を通して横たわっているにも関わらず、それほど重たい空気を感じずにいられるのはこの3人家族の底抜けに?明るい会話というか、相手の事をしっかり考えた上での言葉だったり、愛情が感じられる会話のせいなのかなと思う。癌やらストーカーの話をしている時だって本当に困っている風ではなく、どこか楽しんでいる感じがします。しかもそれにユーモアがある。あと、他の伊坂作品に登場した人物がゲスト出演しているのも楽しい。
途中、「後から考えると」とか「今からしてみれば」という言葉がよく出てくるので最後にこんな事が起こるのでは?と思い、だいたいその予想が当たってしまうのだけれども、それで面白さが半減してしまう事もない。少し理屈っぽい会話だと思う人もいるかもしれないけれど、私は大いに楽しめました。
この作者の本をいくつか読んできて思ったこと。ユーモアのセンスが抜群によいのではないだろうか?おじさんのダジャレのような気まずさはなくて安心して楽しめる。このユーモアの風に当たりたくてこの人の本をまた手に取ってしまうのかもしれない。

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紙の本

陳腐な言葉ではあるが、これはまさに心温まる類の話なのである。

2004/08/01 21:14

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最初に断っておくけれど、僕がこの手の小説を褒める時はトリックや謎解きの巧さを問題にしているのではない。そういう面での評価を知りたいのであれば、他の方の書評をお読みいただきたい。で、僕はこの小説を褒めたいと思う。
 僕が小説を読む時に常に気にしているのは、ちゃんと文章が書けているか、とりわけ人物がちゃんと描けているかどうかということである。
 文章の書けない作家(これはほとんど形容矛盾を来しているが)の場合、読んでいると文章のぎこちなさに引っ掛かってなかなかストーリーに集中できない。人物をちゃんと描けない作家は、ストーリーを説明するための言葉を登場人物に喋らせたりする。そうすると人物が崩壊する。優れた小説の登場人物は、一旦形成されると作家の手を離れて勝手に歩き出したり喋り出したりするものだ。
 そういう意味で、この小説はよく書けている。とりわけ人物がちゃんと描けている。それに加えて、この作家はところどころに言わばアフォリズム(警句)のような、「ほほう」と感心するような気の利いた一節を紛れ込ませるのが巧い。参考・引用文献も多く、いろんな要素を詰め込んでなかなか欲張りな構成である。
 泉水と春の異父兄弟の話である。しかも、弟の春は強姦によって生まれたと言ういささか仰天する設定である。この2人が放火犯を追う。
 「このミステリーがすごい!2004」国内編の第3位だそうである。ただし、帯に書いてあるような「感動」とか「興奮」とかいう印象とはほど遠い。これはひとことで言うならば「心温まる」ストーリーである。そう、陳腐な言葉ではあるが、これはまさに心温まる類の話なのである。泉水も春も父も母も夏子さんも探偵も、ちょっと変わってはいるが、皆一様に明るく、常に前向きである。そういう人物形成に心が温まる。登場人物に魅力がある──それがひとえにこの本の魅力である、と僕は思うのである。
 犯人が誰かはすぐに判る。そんなことはこの小説の価値を少しも減じたりはしない。これは読んでいて生きる力の湧く小説である。心がほころぶ小説である。泉水と春という名前にそれが込められている。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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紙の本

深刻なことは陽気に伝えるべきです。

2005/01/31 02:08

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ざれこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

伊坂氏の作品は今まで3冊読みましたが、いまのところ一番好きかな?
どの作品も軽くおしゃれな文体の中にそれなりのメッセージがこめられていて
温かい作品ばかりですが、その持ち味が一番生かされてる気がします。

遺伝子を扱う会社にいる兄、弟の春は母がレイプされて産まれた子だった。
母はすでに亡くなり、兄弟の父は癌におかされ入院中。
落書きを消す仕事をしていた春、最近の連続放火魔と落書きとの関係に気づき…

なんかなあ、こうやってストーリーをかいつまむと凄い暗い話みたいなんだが、
兄弟のしゃれた会話、そして癌までも皮肉のネタに使う父親との会話、
そんなもの中心に話は進むので全然暗くない。無理して明るくしてるわけでもない、
「深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」という春の台詞どおり、
そこには底抜けの明るさ、ポジティブさが漂っていて、
読む側も、深刻な要素を暗くなく、だけど読み流すんじゃなくて受け入れることができる。
それはなんだか不思議な感覚だった。

兄は兄で何かたくらんでいて探偵を雇い、そして春が関わってくる連続放火、
春に絡む謎の美女、そして病院で父は放火魔について安楽椅子探偵もどきに推理し、
彼らがどんどん収束していって一つの結末に至るその筋書きは、相変わらず見事。
でも今回は先が読めましたね。私のような単細胞にも読めるってことは、
推理をして欲しい物語ではないってことじゃないかな。話は読めても面白いし。

でも最後まで読むと、予測不可能の温かさで心が満たされ、
不覚にも涙しそうになりました。
遺伝子を扱う仕事をしている兄、という設定、遺伝子が散々語られつつも
血のつながりを全く無視した彼ら3人の家族愛、ほほえましいし泣けます。

それでもラストには、完全に血のつながりを無視できなかった彼らの悲しみがにじみます。
結末はざまあみろなものでしたが、それでも一抹の切なさはぬぐえず…
でもおかげで3人がいかに強い絆だったかがわかって嬉しい気持ちもあり。

春がまた、なんだかとても魅力的です。私だって惚れるわよ。
細かいことですが春は犬が大好きで、道で出会うと落ち着かないほどらしく、
同じくそうである私はとても共感しました。犬好きに悪い人はいないのさー

それから会話の洒落っぷりはもう素晴らしいですね。
身もだえするほど洒落てます。

それから、伊坂氏の作品は仙台が舞台、そしてかなりつながりがあるようで、
今まで読んだ「オーデュボンの祈り」のあの人も、
「ラッシュライフ」のあの人も、今度は探偵で登場です。探偵がまたカッコいいのよ。
多分ほかの本を読めば、あ、あの本のあの人も出てた、って
ことになるんだろうな、とか思いつつ。
ますます彼の本を読む楽しさが増えそうです。

小説は話の面白さも大切だけど、キャラに惚れさせてなんぼ、ってとこがあると思うから、
そういう意味では彼の作品に出てくる人は(悪役除き)全員カッコいいし魅力的。
すごいことだ。

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紙の本

心地よい読書

2003/06/02 19:20

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:笹岡さら - この投稿者のレビュー一覧を見る

とっても心地いい。読み終えた後に、体にじんわりと染み込んでくる
あたたかさが、たまらなく私を幸福にしてくれる。
ああ、読書と言うのはこう言うものなのだ、だからやめられないのだと
人に大声で宣言したいような、けれどこっそり自分の胸だけに
留めておきたいような。
決して派手ではない。けれど、確かな感触、感覚。
たっぷり味わえる、登場人物たちの交わす言葉の数々。
ユーモアに満ちていて、優しくて、不思議な雰囲気をそれぞれまとった
登場人物たちがとてもいとおしい。
何でこう言う作品が書けてしまうのだろう、とただただ感嘆。
百冊本があって、似たような雰囲気の本があって、ただ並べられていても、
「伊坂幸太郎さんが書いた本は、これだ」と言い切れるほどの、
優しく、不思議で、痛くて、けれどほんわかした独特の雰囲気に満ちた作品です。

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紙の本

森淳一監督映画化原作

2018/05/05 11:33

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

仙台市内で発生している連続放火事件と、グラフィックアートの奇妙な繋がりに惹き込まれます。血の繋がりを越えた家族の絆には強く心を揺さぶられました。

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紙の本

出だしから印象的

2015/08/31 21:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:FUMI - この投稿者のレビュー一覧を見る

出だしから印象的な作品。
 設定も複雑な家族構成・・・
 重たいテーマ性でありながらも、そんなに暗くなりすぎずに読み進めることができる作品。

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紙の本

明快な魅力で見せる、最上の「父性」とその秘密。

2003/08/04 23:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、「胸に残り、護り導く言葉」の贈り手である
理想の父親が、守り通した家族の物語です。

『オーデュボンの祈り』で噴出したイメージの塊。
『ラッシュライフ』で証明した構成力。
これに続く本書だけに、魅力も読み易さも保証つき。
先がどんどん知りたい一冊に仕上がっています。

  数回会って会話をする程度では、父の価値は分からない。
  (本書P65から引用)

尊敬を込めて長男からこう評される彼は、
その生き方で、その言葉で、家族を護ります。

悪意や暴力ではなく、美しい何かを自分の中から
引き出そうとする生き方は、贅沢なのでしょうか。

「お前も人間じゃないか。イイかっこするなよ」

いじわるな笑みを浮かべた神様が、その人の耳元で
こんな風に届かない言葉を呟いて、人生で出会う
理不尽のさじ加減を多めに調整している気さえします。

命や人生を尊敬して生きることは、贅沢なのかもしれません。

でも、この父親は、この家族は、そんな泣き言を漏らしません。
正解が無いことを承知の上で、自ら選んだことを自覚しているからです。

かといって、悲壮感を漂わせて歯を食いしばることもしません。

  「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」春は、
  誰に言うわけでもなさそうだった。
  「重いものを背負いながらタップを踏むように」
   詩のように聞こえた。
  「ピエロが空中ブランコから飛ぶ時、みんな重力のことを
  忘れているんだ」
  (本書P75から引用)

軽やかに、温かく、笑いも忘れない、言葉。
だから、胸まで届く言葉。

それは、闇夜の嵐が続いて、どんなに迷っても必ず
その場所まで戻れば一息つける、起点になる灯り。

そんな言葉を、どの子の胸にも灯してあげることは困難です。

なぜなら、狙って贈る言葉ではなく、暮らしの中に
満ちた言葉から、その子自身が選ぶ物だからです。

それだけに、父性から発することができる
最も確かな愛情になるのでは無いでしょうか。


軽々と、理想的な父性を発揮して見せるこの父親。

その魅力は理解できても、一つの完成を見た
彼の姿だけでは、「ある立派な人が居ました」
というだけの話で終わります。

でも、大丈夫。物語は受け継がれます。

際だって美しい謎めいた弟に振り回された兄。
彼がもがく姿は、きっとそのまま、この父親が
かつて通った道なのでしょう。

だからこの物語を読み通すと、強く報われた気持ちを覚えます。


家族の記憶がもたらす、濃密な喜びにひたる一冊。

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2009/12/06 20:02

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2010/09/16 01:14

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2003/10/18 00:00

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2004/01/22 16:17

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2010/07/17 23:37

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2004/09/23 01:24

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2004/09/25 17:41

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