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「都市再生」を問う 建築無制限時代の到来 みんなのレビュー

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みんなのレビュー8件

みんなの評価3.5

評価内訳

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8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本

だれも頼んだおぼえはないのですが…

2004/09/18 19:42

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:後藤和智 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 現在の小泉首相に関して、「小泉首相は無駄な公共事業はやらない」というイメージを抱いている人は少なくないのではないだろうか。確かに、就任直後から「構造改革」を主張し、道路公団の民営化に関しても『日本国の研究』(小学館/猪瀬直樹著作集1)の猪瀬直樹氏を迎えるなど、「小泉=反公共事業」的なパフォーマンスが目立つ。
 しかし、そう思っている人は、すべからく本書を読むべきである。本書で描かれている小泉首相の実像は、「反公共事業」などではなく、むしろ旧来の公共事業をさらに推し進めている、というものである。
 他の多数のスローガンに圧されて、あまり知られていないことなのだが、小泉首相は就任当初の所信表明演説で「都市再生事業」を公約として掲げた。そして、その直後に「都市再生本部」を設置した。本書の著者たちは、これこそが日本に有史以来続いてきた「都市計画」を破壊したものだと難じる。
 小泉首相以前にも石原慎太郎・東京都知事や日本経団連などが「都市再生」を掲げて、それ以降の首都圏は超高層ビルの建設ラッシュとなった。これら「都市再生」の仕掛け人たちは、自らのブレーンに多くの大企業の役員やそれらに近い経済学者を入れた。しかし、さまざまな面で最も影響が出るであろう、建設される場所の住民はブレーンにいない。
 それだけではない。これまでのわが国には、他国よりもゆるいとはいえ、建築基準法による建築規制があった。例えばわが国には容積率(建物の総床面積を土地面積で割って100をかけたもの、単位は%)による規制が存在していたが、「都市再生」政策は、ただでさえゆるいこの規制をさらに緩和してしまったのである。「公開空地」でさえも、それさえつくってしまえば後は何をしてもいいというエクスキューズを与えるだけだった。
 かくして大都市圏には超高層ビルが林立することになる。このような形で大量に建造された超高層ビルは多くの問題を背負う羽目になるのは言うまでもないだろう。採算性や空室の問題、そして市民生活にも重大な影を落とすことになる。前者は「2003年問題」として不動産業界を震撼させる。そして後者は、地域住民の経済活動や生活そのものを脅かすのである。
 特に後者に関しては、現在になって市民によるさまざまな「反撃」が起こっている。例えば、国立市の「大学通り」に規制を超えたマンションが建造されたが、これに関して市長や市民がマンション撤去のための訴訟を起こした。そのときに「景観利益」という概念が提示されたのである。著者たちはこれがわが国の都市政策の転換点になるといっているが、それが本当かどうかはわからない。
 しかし、公共事業や公共政策が一部の大企業の私腹を肥やすためだけに使われてしまうと、果たしてこれは「公共事業」なのだろうか、という疑念は募るばかりである。それだからこそ、本当に公共事業が必要な地方などについても採り上げて欲しかった。
 いずれビルは空室などの問題を多く抱える。そのときになっても、ビル業界は少子化などに責任を転換するだろう。そうなったら、かの問題作『反社会学講座』(イースト・プレス)にならってこう言おう。
 《オフィスビルを建ててくれなんて、だれも頼んだおぼえはないのですが…。》

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紙の本

今こそ住民のための都市計画を

2003/05/12 08:28

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「都市計画」は何のためにあるのか。もちろん、都市を計画的に発展させるためである。では、なぜ都市には計画的な発展が必要なのか。それは無秩序な開発から都市を守るためである。都市を守るとはどういうことか。つまるところ実際に都市に住む人々の生活を豊かに人間らしくすることである。
筆者によると、日本の都市計画には、この住民の生活を豊かにするという大原則がずっと欠落してきているというのである。
数ある都市計画の手法の中で、最も一般になじみ深い言葉に「建ぺい率・容積率」がある。家を建てる際に、その立地環境に応じて家の床面積・建築面積に制限をかけ、周辺の街並みと調和した住環境をつくるという趣旨により決まっているものである。実際、自分の家を建てる時、この制限を満たすため苦労された方も多くおられるのではないだろうか。しかし一方で、低層のおちついた街並みの中に、ある日突然、天をつらぬくという表現がぴったりの超高層マンションが建ってしまうことがある。なぜ都市計画の制限の中でこのような建築が許されるのか。本書では、その仕組み・からくりがゆっくりと解き明かされる。
結局、これらが日本の都市計画として行政により徐々につくられてきた“特例措置”によるものであり、ほんの一部の開発業者・ディベロッパーが、その特例の恩恵にあずかり、本来住民のための都市を無秩序に食い荒らしているのである。
筆者は本書の副題として、これらの現象を「建築無制限時代の到来」と表現している。まさに開発する側にとって、都市計画などあって無いがごとく、やり方次第で無制限の開発が可能となってきているのである。
もうやめてほしい。行政と大企業(開発業者)の癒着による都市の破壊は。いまさら欧州の均整のとれた街並みを例に出すまでもない。そこに住む人、尋ねてくる人が落ち着ける、くつろげる街を日本も取り戻していく時期である。
しかし希望はすべて失われたわけではない。本書の後半では、住民や地方自治体によるあたらしい動きが紹介されている。「まちづくり条例」などにより独自にまちづくりを進めている小自治体も確かに存在するのである。このような本来の心の豊かさを取り戻す動きは、いつも住民あるいはごく小さい自治体から起こってくる。なぜ国の側からできないのだ、というもどかしさを感じるが、住民パワーの力強さは心地よい。

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紙の本

日本における高層建築危機の到来?

2004/06/17 00:33

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:相如 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ちょっと遅い書評だが、最近とみに高層ビルが乱立している現象を不思議に感じていたので、素人ながら読んでみることにした。

東京の高層建築群をどうにかしてほしいと思うのは私だけではないと思う。特に東京都庁が最悪例だが、外観は単調極まりないと同時に寒々しいし、立地も規則性や計画性が全くなく、周囲の建物や景色とマッチしていないことが非常に多い。香港や上海のように300M超級の高層建築が海や川沿いに立ち並ぶなら絵になるが、150Mくらいのビルが内陸に無造作にひしめき合っているのだから、ほとんど窮屈な印象しか受けない。しかも日本は中国のような経済的な上昇志向はもはやなく、海外からの投資もずっと頭打ちである。どう見てもあれだけの高層ビルは不必要なのに、乱立してしまっている事実にははかねがね怪訝に思っていた。

本書はこうした問題意識をそれなりに共有し、ある程度説明してくれてはいるが、コンセプトというか分析や解釈が決定的に弱いように感じた。この本の主張を乱暴に要約すると、「大手ゼネコンおよびそれと癒着する政治家の利益を正統化するような都市開発が、市民の意向を無視した形で乱暴に行われている」というものだろう。しかし、それだけのことなら素人の私でも思いつきそうな解釈であり、またいろんなことがわからないまま放置されている。

第一に、どうして利権の手段として高層建築が選ばれているのかということだ。「カネのため」というのはわかりやすいと同時に、それで志向停止に陥りやすい危険な説明でもある。ゼネコンや政治家を悪の領域に押し込めるのではなく、一旦彼らの情熱や正統性の根拠に真面目に付き合い、それを可能にしている社会背景などにもっと言及すべきであろう。

第二に、どうして本書で述べられているようにひどいのなら、最近の建築ラッシュに対して市民はどうしてもっと講義の声を上げないのかということである。少なくとも新聞などではそうした話題はあまり目にしない。産廃処理場建設などの問題の方が多いくらいだ。むしろ今見られるのは、廃墟高層ビルの建設を市民が無関心に黙認している姿ではないだろうか。近隣住区に巨大ビルが建つことに、住民は若干の不快さを感じつつもそれほど怒りを感じなくなったのである。そう理解しなければ、あれだけの高層ビルが無造作に建つ理由が理解できない。ゼネコンと政治家の癒着以上に、そうしたムダ建築を許している地域社会そのもの構造が何かをもっと問題にしていく必要がある。

本書では欧米のような「美しい景観」に愛着をもつ「市民」主導の都市計画を理想とし、日本は行政と建設業界が主導になっていると批判している。しかし、こうした対比はあまりに単純で古典的にすぎる。このような「中学生の作文」を書く前に、日本の都市社会における公共性とは何か(存在しないということを含めて)という現実を的確に認識することが先であろう。その上で、そうした条件の中で創り出すことの可能な「美しい街」とは何であるのか、このことが議論されていかなければならないと考える。

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2010/02/17 21:45

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2010/07/10 14:34

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2011/03/14 18:32

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2011/05/14 07:34

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2014/12/30 00:27

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