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紙の本
手塚治虫ネタとしてはそんなに目新しくはないけれども、さりげなく著者が自分の決意表明をしているようでうれしい
2009/03/30 00:07
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
天才や偉人の子どもで大成した人はいないらしい。むしろあまり幸せとは言えない人生を過ごしたと言う。確かに何をやっても偉大な親と比較されるし、比較されたって天才に追いつけるはずもなく、親のプレッシャーに打ちひしがれてしまうか、性格が悪くなるかしかないだろうなと思う。親のことを聞かれれば、めちゃくちゃ言うのではないだろうかと勝手に想像してしまう。
なので、あの手塚治虫の息子が手塚治虫のことを書けば、愛憎半ばするものを吐露するのだろうと、これも勝手に思っていた。この本の副題も「ベレー帽をとった手塚治虫」とあるので、これまでに知られていない手塚のことを知ることができるのではないかとの期待もあった。
しかし、まああまり新しい発見はなかったというか。
まず、著者は手塚治虫の息子であることで屈折していないのだ。父親を天才と認め、尊敬し、褒めまくっている感じがする。親があまりに偉大だとかえって開き直ってしまうのか。あるいは、親とは名ばかりであまり接した時間がなかったとのことなので、父親と言ってもある種他人のような感覚なのか。それにしてもこんなに親のことを褒めることができるのかなあ。
著者自身はマンガ家とならず、映画を主とした映像表現のプロフェッショナルとして活躍しているので、父親・手塚治虫と自分のクリエイターとしての面、アニメ、マンガ、映画などの理解などについて書かれているし、その中に手塚治虫のさまざまなエピソードが綴られているので興味深いところもある。けれども綴られている中で著者は自分のことも語り、親を褒めつつ、自分の中に親の影響を見つけつつも、「ここは自分は違うんだ」とさりげなく書いてあるのを見つけると、やっぱり著者も天才たる親に何らかのひっかかり、こだわりを持っているのだなと思えてくる。それが最後あたりに端的に述べられている。
「ぼくは手塚治虫は太陽の作家だと想うのです。太陽という意味は、人の世を照らして明るく輝かせ、暖かさを与える、声明にとって大事な存在。それがないと生き物は生きていけないような、基本となるべきエネルギー。ポジティブに王道を行く、リーダーとしての資質。ぼくも基本はそうだと想うのです。もの作りの資質としてはどちらかといえば太陽なんですね。しかしぼくの場合、興味が月に向いている。月に憧れる太陽なんです」(第十章 天才のDNA)
そして、そんな風に親と自分のことを言える著者のことが私は好きだ。
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