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フェミニズムについて一通り解りやすく書いてある本。フェミニズムは男性敵視するものでもなく、エリート白人女性だけのものでもなく、全ての人が持つべきもの。中絶についてが興味深かった。
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アメリカ黒人女性フェミニストのベル・フックスの邦訳2冊目。入門書として書かれたものです。
ベル・フックスは、旧来の白人女性vs白人男性としてあったフェミニズムに対し、階層(階級)の問題を抜きにしたフェミニズムは(意義はあったが)真のフェミニズムではないと批判し、新たなフェミニズム像を提案する。
白人/黒人の対比が、日本でのキャリア/ノンキャリア、金持ち/貧乏、モテる人/モテない人などに置き換えて読むことが出来る。
さらに、ベル・フックスは「男性が仲間として闘いに加わらないかぎり、フェミニズム運動は前進しない」と言い切ります。
1冊目に較べると随分読みやすく書かれているけれど、それでも若干難しめかもしれません。
「フェミニズム」という言葉に拘る意義があるのかどうかは僕には分からないのですが、フェミニズムの知識がある程度あって、興味のある方は是非!
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bell hooks。英語圏の地理学文献にも時折登場するフェミニスト。普通,英語圏の名前はイニシャルを大文字で記すが,彼女はその慣習そのものが男性中心主義的な考えたかに基づくと(本書にこの考えは書いていないので,あくまでも私の想像かどこかで聞いた話だが)いうことで,自らのペンネームから大文字を除いている,ということで有名。なので,場合によっては著者名を日本語表記する場合「べる・ふっくす」とひらがな表記する場合もある。しかし,英語圏地理学の動向に敏感な日本の地理学者が,ダナ・ハラウェイやジュディス・バトラーなどを好んで引用するのに対し,ベル・フックスを引用する人は今のところ皆無(まあ,ジュリア・クリステヴァやリュス・イリガライを引用しているのも私くらいか)。なので,彼女の著作のどれだけが日本語訳として出版されているかも知らなかった。ある日,思い立ってAmazonで調べてみると3冊の翻訳書が出ていたので,まずは手始めにと一番安くて軽そうな本書を買い求めた。
本書は著者本人が,誰にでも読めるフェミニズムの入門書が必要だということで,自ら筆を執ったもの。ちなみに彼女の専門書としての主著も『ブラック・フェミニストの主張――周縁から中心へ』として翻訳されている。このタイトルは原著タイトルの直訳ではないが、そこからも分かるように、ベル・フックスは黒人女性。私がこれまで読んできたフェミニストの著作は哲学的なものが多かったので、人種を性差と同等に考える主張はある意味で新鮮。でも、地理学ではむしろそういう視点の方が普通。本書は入門書でありながら、その扱っている範囲はとても広い。小冊子ながら以下のように19章からなっている。
はじめに フェミニズムを知ってほしい
1 フェミニズム:わたしたちはどこにいるのか
2 コンシャスネス・レイジング:たえまない意識の変革を
3 女の絆は今でも強い
4 批判的な意識のためのフェミニズム教育
5 私たちのからだ,私たち自身:リプロダクティブ・ライツ
6 内面の美,外見の美
7 フェミニズムの階級闘争
8 グローバル・フェミニズム
9 働く女性たち
10 人種とジェンダー
11 暴力をなくす
12 フェミニズムの考える男らしさ
13 フェミニズムの育児
14 結婚とパートナー関係の解放
15 フェミニズムの性の政治学:互いの自由を尊重する
16 完全なる至福:レズビアンとフェミニズム
17 愛ふたたび:フェミニズムの心
18 フェミニズムとスピリチュアリティ
19 未来を開くフェミニズム
読み始めでちょっと違和感があったのは、誰にでも読みやすいと謳っていながら、訳者による注が頻繁に挿入されていること。そして訳文も多少硬い。まあ、こういう文句は原著を読んでからにしろって感じですが、恐らく原著の文体が訳文にも反映しているのだと思う。入門書とはいえ、分かりやすさで何かを犠牲にするような書き方はしていないので、これが原著のレベルなのだろう。内容も含め、決して誰でも気軽に読めるようなものではない。しかし、本書の主張はまさにタイトル通り、「フェミニズムはみんなのもの���であることが説得的に語られる。とはいえ、本書は著者が人生を過ごしてきたアメリカ合衆国での経験がベースになっている。そもそもの女性解放運動などは合衆国を中心に広がっていったわけだから、そういう意味でも、クリステヴァやイリガライのようなものとは違って、名称としてのフェミニズムをきちんと学び、考えることができる。
しかも、基本的に私は人間存在について根本的に考える思考が好きではあるが、本書は一般論ではなく、私が人生の実践として考えてきた身近な問題で性の問題を考えさせてくれる。それが、目次にもあるように、女性の美しさについて、暴力について(DVのような身近なもの)、男らしさについて、結婚や育児について、という問題である。階級や人種、政治的な権利という問題となると、自らの生活経験的なものよりも書物で学んだ一般的な問題となるが、男性であろうが女性であろうが、知識階級であろうが労働者階級であろうが、あらゆる人に考えてもらいたい問題がいくつも提示されているのが本書の魅力。
特に、結婚という制度に否定的な立場をとってきた私が結婚をし、いまだに性的な役割分担に大きな変化がみられない育児ということを自分のこととして真面目に夫婦で考えるようになった私にとって、ここで提示されている問題は他人事ではなくなっている。そんな著者によるフェミニズムの定義は一貫させているようだ。『ブラック・フェミニストの主張』で使った16年の前の定義を著者は気に入って引用している。つまり,「フェミニズムとは,性にもとづく差別や搾取や抑圧をなくす運動のことだ」(p.8)という。難しいことだが,いたって分かりやすい。本書は私の印象として,初学者には難しい。しかし,本書が目指すよりよき未来を築く努力をしようとするものならば,本書を理解するだけの理解力は要求されるだろう。そのためにも,多くの人に読まれるべき本である。
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フェミニズムとは、男性社会において女性の権利を取り戻すことではなくて、
より広く、男・女「らしさ」から来る不合理な性差別をなくすことである。
したがって、フェミニズムは、女性だけに開かれているのではなく、
男性や子供、さらには有色人種など、
ある属性を持つゆえに差別を受けている、あらゆる人に開かれているのである。
フェミニズムの本はだいたいが難しいが、易しいものは物足りない。
その間を埋めるちょうどいい難しさの本だった。フェミニズム入門書としては最適だと思う。
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bell hooksのフェミニズムが詰まった一冊。しかし自身の信念を貫きつつ、様々なサイドへの言及が網羅的で、流石の一言。フェミニズムにすでに関心をある程度持っている人に出会ってほしい一冊。
本の構成も優れていて、読みやすい。短いチャプターだけど、熱量は十分。電車通学のお供に最高であった。
(本当の本当のはじめの一歩はやはり『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』byチママンダ先生!今までフェミニズムのフも頭によぎらなかった人にはやはり『男も女も』を読んでからこっちに来るといいかと。)
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「家父長制」を敵とみなすラジカル。入門書や宣言のようなものだからしょうがないのだが、たとえば中絶の問題について、彼女以外の立場の人々がどういう根拠から議論をしているのか、といったことを紹介する気もなさそうなのが気になる。