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紙の本
「感涙のドラマ」?結論から言えば、全く期待はずれでした。
2004/12/04 12:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
右手人差し指を向けて念じるだけで相手を殺すことが出来る大学生・江藤路子。彼女は両親を殺すことをずっと切望して生きてきた。しかし母がある日急病で倒れ、意識を失ってしまう。「お母さん、病気なんかで死なないで。あなたは私が殺すんだから」。路子は長年の望みを果たすことが出来るのか…。
第3回日本SF新人賞を受賞した著者が2003年に書き下ろし作品とのこと。
主人公・路子が「殺意を抱くほどの憎悪」をなぜ両親に対して抱いているのか、その「そもそも」が説得力ある形で提示されていないので大きな不満が残りました。
確かに彼女のような10代が親に代表される世間に対して怒りを感じるのは珍しくありません。学校で教えてくれた道徳や人倫の物差しが当てはまらない社会に、大きな理不尽を感じてもがき苦しみ、やがて怒りを募らせる。若者とはそういう存在です。私自身もそうでした。それは成長への過程です。
しかしこの小説には、路子も持っているであろうその若者特有の心のもやもやが、「両親への殺意」にまで発展していく道程が説得力をもって描かれていません。私は世間や両親よりもむしろ路子という若者の心に対して距離を感じてしまいました。
最近の現実社会では、親が子に対してこれほどまでに過酷になりうるのかと思わせるような事件が頻々と起こっています。報道で見聞きするそうした事件と比較すれば、この物語に登場する路子の親は「ずっとまし」な部類です。彼らは決して褒められた親ではないかもしれませんが、この親を万死に値するとみなす路子のほうに「度を越した狂気」を感じたのです。
路子が何に対して異常なまでの殺意を抱き、自らの能力に悩み、これからの人生を歩んでいこうと最後に決意するに至るのか、胃の腑にすとんと落ちるような組み立てがプロットにないため、時として苦痛を伴う読書に終わってしまったのが残念です。
紙の本
著者コメント
2003/05/26 22:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:井上剛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰にも知られることなく簡単に人の命を奪うことができる——そんな超能力を秘めた「魔法の指」を持っていたら、あなたはそれを使いますか? 使うとしたら、どんな時、誰に対してでしょうか。
衝動的な殺人やネット心中など、生と死の境をともすれば簡単に踏み越えてしまいがちな現代社会。その中で生きてゆく人間のひとりとして、本編の主人公・路子とともに、しばし立ち止まって生きることと死ぬことの意義に思いを馳せていただければ幸いです。
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