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インヴィジブル・モンスターズ みんなのレビュー
- チャック・パラニューク (著), 池田 真紀子 (訳)
- 税込価格:2,200円(20pt)
- 出版社:早川書房
- 発行年月:2003.5
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新書
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紙の本
破壊されし顔……モンスターと呼ばれた女の愛と復讐の万華鏡
2003/07/03 01:28
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投稿者:シュン - この投稿者のレビュー一覧を見る
倒錯と眩暈と疾走感たっぷりの、まことに凄まじい小説が登場した。
ページを開いた途端、血だまり。そして、こちらを向いたライフルの銃口。階段を降りてくる美女の向こうに広がる炎。圧倒的なスタートアップから、散乱した過去の破片を集める旅へと読者は引きずり込まれる。
物語の順序よくなんて語られない。錯乱した主人公の深層を覗いているかのような。刻々と彩色を移ろわせる万華鏡のような。美女でモデルだったヒロイン、ハイウェイで銃撃を受け顔と声を失う。彼女を撃ったのは誰なのか?
この作品を構成する異様な奴ら。誰もが狂っている。性も年齢も本名も生死も曖昧な奴ら。正常と狂気の境目が見え難い。なぜモンスターズなのか、ずっと気になる。謎はやがて解ける。散乱した破片を拾い集めてゆくことで。
人間の中にある何が一体彼女に類いまれな暴力をふるったのか。人間の中にある何が一体、これほどの火災と血だまりを演出したのだろうか? 自分を破壊しようという衝動は何ものなのか? この本に描かれたものは群をなした自分の中の不可解な衝動たちだ。
破片。骨片。そう言っていいような文節の散らばり。イメージの執拗なるフラッシュバック。
すべての破片が徐々にめくれ上がる都度、あまりの驚愕に声を挙げそうになる。徐々に真相が、過去が、正体が明らかになる。すべてが明らかになるとき、銃口が火を噴きすべてが燃え上がる。人間の限りなき悲痛さと究極の嫉妬が火花を散らしてゆく。彼女はずっとシンプルな愛を求めていただけなのに……。
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