紙の本
月面開発の超ハードSF
2005/09/23 22:50
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの、第六大陸とは月のことです。
月面開発の超ハードSFです。
面白いというか、着眼点のしっかりしている所は、
この開発を請け負う業社が、
御鳥羽総建と、いうのですが、
高い山の山頂や、海底で、施工に実績がある会社
なのです。
つまり、超低温や、超低圧条件、または
超高圧条件下での、過酷な自然条件での実績のある、
総合建築会社なのです。
で、その技術を応用して、もっとも過酷な自然環境
(自然環境といえるか、どうか疑問のあるところで
ですが、、、)
の月面での開発を、行うと、いったところです。
途中で、既に月面にたどり着いて、長期月面滞在をしている
中国チームに、その実情を聞いたり、
最も強敵のNASAが、乗り出してきたりします。
そして、企業訴訟まで起こったりするのですが、
これは、月面開発というものを、
民間企業が、リアルに行うと、どうなるか、
と、いうものを、きっちり書き上げてやると、言う著者の
決意表明みたいなものと、私は受け取りました。
紙の本
やっと来た、新宇宙時代
2003/07/11 13:33
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投稿者:san - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近の日本の若手SF作家に、リアルな宇宙への旅立ち・宇宙開発を書ける作家が
増えてきている。笹本祐一の「星のパイロット」シリーズしかり、本作も同様の
流れと言って良いのではないだろうか。
ジュブナイルSFとして、ハイラインやアジモフ、クラークがデビュー当時に書いて
きた、今は懐かしい初期のSFの、あのなんとなく照れくさいばかりの明るさと
将来への希望がこんなところに、また花を付けたのかと。
#「宇宙島へ行く少年」や「宇宙船ガリレオ」…涙がでそう。
日本のSFといえば小松左京氏に代表されるように、純文学崩れの精神性を追いかけ
るものが多かったし、その精神的な部分を物語る事が日本のSFの特徴とまで云
われていた時期もあった。
他の作家の作品の多くも、欧米のプロットを借り、精神性や物語性を拡張した
作品や「神」といった精神性の概念にもぐっていく作家が非常に多かったよう
に感じられる。
また、この世代の“いにしえの親爺族”が書いた宇宙開発系のSFも、どこか
リアリティや面白みに欠ける物が多かったと思う。
#さようなら、「さよならジュピター」という感じ。
その超親爺族の影から、多分、米のゴールデン世代と同様の、底抜けに明るく、
馬鹿みたいに真正直に宇宙を見た、まさにジュブナイルなSFが出てきたという感じ
です。
本当に小学生から高校生に向けて、これだぁ!というSFです。さらに元気の無くなったSF好きな親爺族にもお勧めの1冊です。
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この小説には“夢”が詰まっています。荒唐無稽な電波ではなくて、科学が、現在の世界が夢見る理想の一端が、この第六大陸の1巻のはじめに描かれています。
確実に進歩していくテクノロジーが、人類に未来を切り開いていく。
異世界ファンタジーのような壮大なスペースオペラも大好きですが、こんな風に地に足のついたサイエンスフィクションが大好きです。
小川一水の小説は毎回緻密な再現力で様々な世界を見せてくれます。戦地で活躍するスーパースペシャリストな看護婦さんや、海の底に何かを見いだす恋人や。そして今回は“建築”。すべてを手にしているようで現実には孤独な少女の夢が“月”を指し示し、それに向かって邁進する技術者達の姿が素敵です。
「宇宙土木工事小説」とは言い得て妙ですね。
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極限環境での建設作業に実績のある後鳥羽建設。そこにある日、とんでもない依頼が舞い込む。なんと、1500億で月にホテルを建てろというのだ。一体そんなことが可能なのか? 機動建設部の青峰は、実地検分に月に赴く。そこは、今までの実績の通用しない異郷だった…
飛躍のない科学技術に基づいて書かれた小説。小川一水渾身の星雲賞受賞作。キャラクターに薄さは感じるものの、非常に面白い。キャラ造形とラストのネタで−1。
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いい意味で割とライトな雰囲気だったので、ちょうど良かったかなあと。リアルな設定と描写が売りのようですが、魅力的な人物達が駆け回るという大事な所をしっかりと押さえています。
って、全然具体的な感想になっていませんなあ。月を民間で開拓するという設定にワクワクするのもそうですが、冷花さーんって萌へられる人がしっかりといるって事が大事です。
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2025年。月面に日本の建設会社が民間レジャー施設建設を受注する、工期は10年、予算1,500億。困難を乗り越えて目的を達成して行く過程はさながら宇宙版プロジェクトXか。
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日本の重工業メーカーが月面基地を作るお話。
今でもある技術をベースに描いているので突飛な話にはなっていない。技術者にお薦め。
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土木小説という分野を築いたSFもの。月に結婚式場を作るという突拍子もない計画を今より少し進んだ技術で目指すというお話。SF版プロジェクト?。
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小川一水作品に最近はまっています。一番好きなのはこれ。プロジェクトXのような達成感と前向きさがステキです。
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小説版プロジェクトX、といった感じ。月に結婚式場を造るというプロジェクトは果たして成功するのか?
とても読みやすい文章で、サクサク読めます。
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時代設定は西暦2035年。現在よりもやや進んだ科学力の設定が巧みで、まずそこに興味をそそられる。後半、第六大陸の意味が明かされていく下りでは、まさに第六大陸ですなぁと、大いに納得してしまった。
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時は2025年。砂漠・海底・高山・南極・・・過酷な環境下での建設を得意とする日本企業御鳥羽総合建設に新しい仕事が依頼された。桃園寺グループのエデン・レジャーエンターテイメント(ELE)社が要求してきたのは、なんと月面基地の建造だった。
しかし建築資材を月に打ち上げるには想像以上の費用かかる。その額およそ一兆二千億円。莫大な輸送費のコストを下げるためには、天竜ギャラクシートランス社が極秘で開発中の新型ロケットエンジン、トロフィーが必要不可欠だ。日本企業三社による予算一千五百億円、工期十年の巨大プロジェクトが始まった。
御鳥羽総合建設を育て上げた社長御鳥羽拓道、熱意溢れる若手社員青峰走也、天竜ギャラクシートランス社を創設した野心家八重波竜一、トロフィーエンジンの生みの親である泰信司、ELE社の特別監査員保泉玲花、中国の月面基地滞在隊員達。多くの人間とNASAや世界までもを巻き込んだ第六大陸プロジェクト。その中心にいたのは、桃園寺グループ会長の孫娘、桃園寺妙、プロジェクト開始当時十三歳の少女だった。
月面基地建設のためのステップ―調査・設計・開発・輸送・施工―が緻密に進められていく描写は、近未来SFというよりまるでヒューマンドラマのドキュメンタリーを見ているよう。資金調達、妨害工作、デブリ、事故、世論など次々に表面化する問題を乗り越えて、第六大陸が完成に近づく工程には目が離せない。国家の宇宙開発機関ではなく、日本の民間企業に月面基地の建設を行わせることによって、人類の月進出・開拓の夢を別の切り口から魅せてくれる。
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飛躍のない科学技術に基づいて書かれた近未来SF小説。優れた宇宙開発についての考察、未来技術の描写が現実感を増している。宇宙開発に携わる技術者のみならず、多くの人に読んでもらいたい作品である。夢のある未来が、力を与える。
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これはいいローファンタジー.
地続きのSFっていうのかなあ.
着想は突飛かもしれないけれど,そこに向かって現実から一歩ずつ組み立ててるから,違和感がない.
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月面に結婚式場をつくるという幻想的な計画を現実可能な技術を取り入れながら、物語を描いていくのはさすがです。