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紙の本
政治・企業経営の指導者論−最高のリーダーとは
2003/08/11 17:56
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、中世の思想家マキアヴェッリが著した「君主論」や「政略論」などから抜粋したものである。抜粋といっても本文157ページ、183節で、「君主論(全訳)」などと比べ、マキアヴェッリの思想のポイントがよく集約されている。
国家指導者の心得などの指導者論になっているが、そのまま現代の政治・外交政策にも通じ、企業経営にも応用できるものである。組織のリーダーにとって座右に置ける書である。
まず、国家政策の基盤は「正義と力」だという。
また、「他国を支配下におく必要に迫られ、征服は成功したにしても、支配をつづけていくうえでの方策」について、「言語や風習や体制の異なる地方を征服した場合」、「これを保持するには、相当な幸運と大変な努力が要求されてくる」としている。歴史に照らしてみると、日本の朝鮮半島支配がまさにこれに相当する。日本にとっては莫大な資本をつぎ込んだあげくに、朝鮮民族に遺恨を残しただけの大失敗だった。当時の為政者の中に「マキアヴェッリ」を学んだ者はいなかったに違いない。
「自らの安全を自らの力によって守る意志をもたない場合、いかなる国家といえども、独立と平和を期待することはできない」。
「中立を保つことは、あまり有効な選択ではない」。
これらは現代や将来にも通じる外交・防衛政策の基本である。
「一国の国力を計る方法の一つは、その国と近隣諸国との間に、どのような関係が成り立っているかを見ることである。もしも近隣の諸国が……」という節は注意深く読みたい。現在の日本と近隣諸国との関係に照らしてみると、当惑させられてしまうからである。
「場合によっては、人を屈服させるのに、非情で暴力的な行為よりも温情に満ちた人間的なあつかいのほうが、有効である」という一節もある。なにやら、対北朝鮮太陽政策をも連想させる。一般論としてはこの通りであっても、対北朝鮮政策ではうまくいっていないようだ。
その一方で、次のような言葉もある。
「忍耐と寛容をもってすれば、人間の敵意といえども溶解できるなどと、思ってはならない。」「報酬や援助を与えれば、敵対関係すらも好転させうると、思ってはいけない。」国際関係にはこちらの言葉の方が当てはまるのだろう。
「外交担当者への提言」という4ページに渡る節がある。現代の外交に通じることはもちろん、ビジネスにも応用できるものである。
「人心を把握するには、厳格主義と温情主義のどちらが有効か……」「人の上に立つ者が尊敬を得るには、どのように行動したらよいか……」「突然に地位なりなんなりを受け継ぐことになってしまった者にとって、心すべき最大のことは……」「へつらいおもねる者たちから、どのようにすれば逃れられるか……」などは、企業経営者など、一般的なリーダーにとっても押さえておかなければならない重要なポイントである。
「自軍の力と敵の力を、ともに冷静に把握している指揮官ならば、負けることはまずない」
これは「孫子」の有名な一節、「彼を知り己を知れば、百戦してあやうからず」と同じことである。兵法書である「孫子」も組織の指導者論として応用できることはよく知られている。が、内容的な厚みでは本書の方がはるかに勝っている。
本書の中で共感する言葉を一つ一つ紹介していてもきりがないのだが、最後に一つ。
「人間にとって最高に名誉ある行為は、祖国のために役立つことである」。
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